[No.011-1]記憶と想い出と
No.011-1
様々な想い出を残したまま、住み慣れた街を離れた。
あれから2年が過ぎた。
新生活を始めた頃、引越し祝いにも似た、激励のメールと電話が続いた。
数日も経過していないのに、懐かしさが込み上げる。
想い出はいつまでも色褪せない・・・その時は、そう強く感じた。
(私・・・あの街に住んでいたのかな?)
最近、ふと思う。
この街を好きになり、楽しい日々を過ごしているからではない。
逆に、ただなんとなく過ぎていく日常が、そう感じさせる。
「環境の変化が、想い出を希薄にするんじゃない?」
友人の一人がこう話してくれた。哲学的で妙に重みがある。
そうなのかもしれない。
でも、そうなってしまえば想い出は、もはや無機質な“記憶”にすぎない。
(人間関係も同じよね?)
友人に問いかけようと、口に出掛かったセリフを飲み込んだ。
彼との想い出も、記憶になりつつある。
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