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[No.009-1]リグレット

No.009-1

歌声が夜の街から聞こえてくる。

♪後悔はココロのしおり
  みんなひとつもっている
  別れをひとつ経験したら、あの日の涙は消えていく  
  夢を失くしてしまったら、あの日の別れは消えていく
  だから、みんな一つだけ
  いつまでたっても ひとつだけ・・・

(今日もいるのね・・・)
1ヶ月ぐらい前から毎日、彼を見かける。
いつも足早に通り過ぎるはずの私が、なぜだか今日は足が止まる。
自分の意思とは関係なく、足が動かない。
歌詞が心の奥に染み込んでくるのが分かる。
でも、心地よいのではない。逆に苛立ちさえ覚える。

(これ以上聞きたくない・・・)

それでも、足が動かず、ここから立ち去ることができない。
次第に全身から力が抜けていくのを感じた。
私は、その場に崩れ落ちるように、しゃがみ込んでしまった。
「大丈夫ですか?」
彼は音楽を止め、心配そうに声を掛けてきた。

(No.009-2へ続く)

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