[No.008-1]銀河鉄道の夜
No.008-1
「誕生日のプレゼントは何がいい?」
僕はストレートに聞いてみた。
欲しいものがあれば、それを贈るのに越したことはない。
(とは言うものの、ブランド品は勘弁してくれよ)
奈々子は多少考える素振りを見せたが、すでに心の中では決まっていたようだ。
「私ね、“銀河鉄道の夜”が欲しいな」
意味ありげな目付きでこちらを見ている。でも、それっきり、何も教えてくれなかった。
「“銀河鉄道の夜”って、一体なんだよ」
パソコンに問い掛けるかのように、“銀河鉄道の夜”で検索してみる。
大体、予想された検索結果が表示された。
どれも、奈々子の趣味や興味とは違う気がする。
(銀河・・・夜・・・だから、星?キラキラ・・・転じて、アクセサリー?)
「うーん、好きだったかなぁ・・・」
改めて、奈々子の普段の格好を思い出してみる。ヒカリもののイメージはまるでない。
それからも、ネット上で色々調べてみても、それらしいものは見つからなかった。
(素直に、本か写真集だろうか?)
「会社の女の子に聞いてみるか」
誕生日まで、あと2週間しかない。とにかく、早く結論を出さなければ。
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