[No.007-2]せいじゅうろう
No.007-2
『せいじゅうろうって、このリラックマのこと?』
菜緒に返信した。
2、3日前から風邪で体調不良だった菜緒に、数日前に購入した同じリラックマの写メを送った。
『そうだよ!アニメからとったのさ!』
歓喜の声が聞こえそうな勢いのメールの文章だ 。
『早く風邪が治ればいいね、菜緒』
『ありがとう。今度逢う時は、せいじゅうろうのご対面だね!』
「何だよそれ、汚れてない?それに、随分くたびれてるし」
同僚が指摘する。
「これで、いいんだよ。これで」
(2年も経てば、汚れもするし傷みもする)
「俺のせいじゅうろうは、元気にしてるだろうか?」
目の前のせいじゅうろうに語りかけてみる。
「わて、こんなんやけど、向こうも幸せに暮らしてはるよ」
菜緒をまねて、一人芝居をしてみた。
本当に、そう言っているかのように、せいじゅうろうはくたびれた顔でこちらを見ている。
『で、アニメって、何のアニメなの?』
あの時、この話で盛り上がったのが懐かしい。
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