« [No.007-1]せいじゅうろう | トップページ | [No.008-1]銀河鉄道の夜 »

[No.007-2]せいじゅうろう

No.007-2

『せいじゅうろうって、このリラックマのこと?』
菜緒に返信した。
2、3日前から風邪で体調不良だった菜緒に、数日前に購入した同じリラックマの写メを送った。
『そうだよ!アニメからとったのさ!』
歓喜の声が聞こえそうな勢いのメールの文章だ 。
『早く風邪が治ればいいね、菜緒』
『ありがとう。今度逢う時は、せいじゅうろうのご対面だね!』

「何だよそれ、汚れてない?それに、随分くたびれてるし」
同僚が指摘する。
「これで、いいんだよ。これで」
(2年も経てば、汚れもするし傷みもする)
「俺のせいじゅうろうは、元気にしてるだろうか?」
目の前のせいじゅうろうに語りかけてみる。
「わて、こんなんやけど、向こうも幸せに暮らしてはるよ」
菜緒をまねて、一人芝居をしてみた。
本当に、そう言っているかのように、せいじゅうろうはくたびれた顔でこちらを見ている。

『で、アニメって、何のアニメなの?』
あの時、この話で盛り上がったのが懐かしい。

(No.007完)
読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

| |

« [No.007-1]せいじゅうろう | トップページ | [No.008-1]銀河鉄道の夜 »

(S01)せいじゅうろう」カテゴリの記事

(001)小説No.001~050」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: [No.007-2]せいじゅうろう:

« [No.007-1]せいじゅうろう | トップページ | [No.008-1]銀河鉄道の夜 »