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[No.007-1]せいじゅうろう

No.007-1

『あら、こんなところにも、せいじゅうろうがいてはる』
菜緒からメールの返事が届いた。
「なんだよ・・・せいじゅうろうって?」
(もしかして、これのことか?)

1週間前に菜緒に逢った時、ケータイに見たことがあるキャラクターがぶら下がっていた。
「これ、いいでしょう!」
菜緒は満面の笑みで、そのキャラクターを見せつける。
「これ・・・リラックマ、だっけ?」
「そうだよ!こんばんわ・・・わて、こんなんやけど・・・」
菜緒はリラックマを巧みに動かし“一人芝居”を始めた。時々、子供以上に子供の仕草を見せる時がある。

「そう言えば、カエルのぬいぐるみはどうしたの?」
「ご隠居さんは、うちで寝てるねん」
(あのカエルは“ご隠居”と言う名前だったんだ・・・)
以前は逢う度に、そのご隠居が菜緒の一人芝居の役者であった。
(リラックマの登場で隠居させたから、ご隠居なんだろうか?)

「俺も買おうかな」
あまりにも菜緒が楽しそうにリラックマをいじっているのを見て、つい口に出てしまった。

(No.007-2へ続く)

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