[No.004-1]パンドラの箱
No.004-1
「水に注意と出ています」
(天気予報で、夜、雨の確立80%って言ってたけど)
「仕事でトラブルが起きそうです」
(仕事してたら、多少のトラブルが無いことのほうが珍しいと思うけどなぁ)
「近々、悲しいことがありますよ」
(近々って、いつ?そりゃ、小さいことまで含めたら、一つや二つあるのが普通でしょ)
それからも当たり障りのない結果ばかり続いた。それも悪いことばかり。
(こんなの素人の私だって言えるわよ!それに何なの、暗い話ばかりじゃない!)
「恋愛・・・」
「わ、わかりましたから!もう結構です」
あまりにもベタな内容に、これ以上結果を聞く気にもならず、思わず話をさえぎった。それでも、構わず占い師は話しを続けた。
「恋愛のことですが・・・」
「“運命的な出逢いがある”と、出ましたか?」
私は少し嫌味っぽく応えた。
占い師は、顔色一つ変えずにこう言った。
「近い将来、運命的な出逢いがある」
(そら、きた。あのね、だから近い将来っていつなのよ!運命的な出逢い?どうやって判断するのよ!)
「だから占いって・・・こんなのばかり!!」
足早にその場を離れ、はき捨てるように、つい言葉が出てしまう。
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