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[No.003-1]過去へのゴミ箱

No.003-1

“タイムマシンがあったら何をしますか?”

あの日、私は入社試験の渦中にいた。
試験と言っても、問題はこれ一つだけしかなかった。
(タイムマシンがあったら・・・か・・・)
彼に別れを告げられたあの時、母を病気で亡くしたあの日、「ごめんなさい」と言えなかったあの瞬間・・・。

(やだぁ・・・過去のことばかり)

タイムマシンは未来にも行けるのに、どうして過去へ戻ることばかり考えるんだろう。
(やり直したいの?後悔してるの?そんなんじゃないけど・・・)
何もかも中途半端な今の私には、未来どころか今、ここに居る意味すら分かっていない。

「イタっ!」
私の右の頬に何かが当たった。
それはそのまま、試験用紙の上に転がり落ちた。
(もう、なによぉ!)
紙の切れ端を丸めたような、塊だ。学生時代によくやる例の伝言?のようだけど・・・。
一応、紙を開いてみる。そこにはこう書かれてあった。

“夢は何?”

(No.003-2に続く)

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