[No.001-2]グリーティングカード
No.001-2
『達也、誕生日おめでとう!
去年は直接言えたけど、今年は言えなくてごめんね。このカードはね、24歳の誕生日に届くように書いたんだ。
達也と出逢って、しあわせだった。いっぱい話せた、話してくれた。勇気と元気をもらったよ。
でも、返せなくてごめん。本当なら、このカードは届かないで欲しい。
もし、このカードを達也が読んでるなら、私・・・もう、この世にはいないよ。
ずっと、ずっといっしょに、いたかったのに。
ううん、病気に負けたんじゃない。私、うんと頑張ったよ!』
「玲奈・・・!?」
思いがけないメッセージに、達也は崩れるように泣いた。
ケータイにボロボロと大粒の涙が、ひとつまたひとつこぼれ落ちた。
涙でローソクの炎がやけに幻想的に見える。
「玲奈・・・俺のケータイ防水じゃないよ・・・アハハ・・・」
達也は力なく、少しふざけたように笑った。
すると、まるでそれを見ていたかのようなタイミングで、次のメッセージが表示された。
『達也・・・それ、つまんないよ(笑)』
達也はケータイを、強く抱きしめた。
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