カテゴリー「(035)小説No.851~875」の50件の記事

[No.875-2]「ふ」から始まる友達

No.875-2

「・・・名簿が関係してるってことでしょ?」
「そうなんじゃないの?」

私もそうは思っている。
なにかにつけ、名簿順でことが進むことが多かったからだ。

「うん、単純に考えたらそうよね」
「一緒の班になったりすることも多かったし」

ただ、不思議なことに中学や高校ではその傾向が見られない。
それどころか、“ふ”から始まる友達はひとりも居なかった。

「そもそもクラスに居なかったとか?」
「ううん、居たよ」

特に高校の時は、覚えているだけでも4人は居た。
それに、名簿順で事が進むのは高校でも同じだった。

「3年間、クラス替えもなかったし」

よほど馬が合わなかったのかもしれない。

「子供の頃と多少大人になってからじゃ、違うんじゃない?」

なにが?と突っ込みたくなる。
でも、言いたいことは何となく分かる。

「まぁね・・・実際、あなたも“ふ”じゃないし」

目の前の友人は、“ふ”とは縁遠い苗字だ。

「それはどうかな~」
「まさか、ミドルネームでもあるの!?」

冗談だと思うが、相変わらず不思議ちゃんな友人だ。
S875
(No.875完)
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[No.875-1]「ふ」から始まる友達

No.875-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
昔のアルバムを整理している時だった。
ふと、あることに気付いた。

「そうそう!整理する手が止まっちゃうのよね~」
「そうじゃなくって・・・」

“アルバム整理あるある”のことを話したいのではない。

「よくよく考えたらね・・・」

今までの友達の名前を思い浮かべてみた。
すると、ある特徴があることに気付いた。

「みんなイケメンとか?」
「あのね・・・今と同じにしないでよ」

否定したものの自爆している。
ここはサラッと流してしまおう。

「私の苗字って、ふ・・・でしょ?」
「まじまじ言わなくても知ってるわよ」

その昔、友達にも、“ふ”から始まる人が多かった。

「幼稚園も小学校も・・・」

もちろん、“ふ”ではない人も居るが、明らかに偏りがある。
五十音ありながらも。

「偶然と言えば偶然なんだけど」
「でも、それってアレでしょ?」

友人が言いたいことは分かっている。
たぶん、私と同じ考えだからだ。

(No.875-2へ続く)

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[No.874-2]まわりくどい話

No.874-2

「で、何だよ?」
「何って何よ?」

やや、逆切れ気味に返してきた。

「だから、“甲羅干し”の話だよ?」
「そ、それはねぇ・・・」

何とも煮え切らない態度だ。

「単なる世間話よ」
「今朝、見たままを話しただけ!」

(はぁ?)

女子特有の特に意味がない話だ。
聞かれたら女子を敵に回しそうだけど。

「だったら、もういい?」

わざわざ呼び止めたくせに・・・これだ。
さっきから友達を待たせている。

「待ってよ!もう・・・」

これ以上、話に展開があるとは思えないが。

「ほら、人間も日光に当たらないといけないよね?」
「・・・だから?」

言い放った瞬間、意を決したような表情に変わった。

「つ、つぎの日曜日、日光に当たりに行かない!?」

デートのお誘いだということに、しばらくしてから気付いた。
S874
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[No.874-1]まわりくどい話

No.874-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「“甲羅干し”って、知ってる?」

案外、答えに困る。
知っていると言うより、見掛ける程度のレベルだ。

「亀・・・だよね?」
「そうだよ」

甲羅干しについて聞かれたことは初めてかもしれない。
これから先も、そう何度も聞かれることはないだろう。

「・・・飼ってないよね?」
「もちろん!逆に爬虫類は苦手・・・」

それなら、なぜこの話題なんだろうか。

「ほら、学校の近くにさぁ・・・」

確かに小川が流れている。
特別、綺麗な川ではないものの生き物で溢れている。

「亀も居るんだよね」
「知ってるよ、今時期、特に多いんじゃない?」

最近、甲羅干ししている亀を頻繁に見掛ける。

「日光に当たらないとダメなんだって」
「詳しくは知らないけど」

知らないくせに、あえてその話題を振ってくる。

「まさか・・・捕まえて来て欲しいとか?」
「だから、苦手だって!」

正直に言えば、僕も苦手だ。
でも、女子の手前、それは隠しておこう。

(No.874-2へ続く)

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[No.873-2]曖昧な恋

No.873-2

「逆にそんな曖昧なレベルでいいの?」
「うん!」

余計に危険な香りが強くなってきた。

「・・・それなら、小2かな?」
「間接的に、恋らしきものを知ったから」

積極的に好きになったのではない。
友達がその女子を好きになったことで、心がモヤモヤした。

「その時、好きなんだと気づいたんだ」

いわゆる嫉妬心だ。
友達に“気付かされた”と行ってもいい。

「その女子、マドンナ的存在やったやろ?」
「えっ!?よ、よく分かるね!?」

それに繋がる話はしていないはずだ。

「だいたい、そんなもんやろ?小学生は」
「あはは・・・かもな」

でも、何事もなく、時は過ぎて行った。
好きだったけど初恋とは違う・・・自分ではそう分析している。

「だから、初恋は中1の時」
「・・・こんな話でいいの?」

何が知りたいのだろう。
特別、隠していたということでもないのに。

「なぁ、うちはどないなん?」
S873
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[No.873-1]曖昧な恋

No.873-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「え?・・・初恋はいつかって?」

何の脈略もなく、話題が飛び出てくる。
だから、女性は怖い。

「えぇっと・・・」

ここは良く考えてから答えた方がいいだろう。
何となく危険な香りがする。

「中学1年の時かな?」
「遅っ!」

間髪入れずに、突込みが入る。

「そうかぁ!?」
「それ、リアルなやつやん!」

(・・・リアル?)

「どういう意味?」

包み隠さず、正直に答えているつもりだ。

「なんていうか、もっとお茶を濁した初恋」
「お茶を濁す?」

つまり、もっと曖昧な初恋と言うことだろうか。
一般的には、こっちの方が突っ込まれる。

「ほら、アイドルがよくゆう・・・・」
「“私はぁ~幼稚園かなぁ~”ってやつ!」

らしくない口調でしゃべり始めた。
どうやら、アイドルを真似ているようだ。

(No.873-2へ続く)

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[No.872-2]雨男の彼女だけに

No.872-2

「あの時・・・」

僕が家を出た瞬間、空模様が急激に変化した。
それまでは、そこそこ晴れていたのに。

「やっぱり!」
「なんだよ・・・その“やっぱり!”って」

予想された反応だけど、あっさりと認めたくない。

「だって・・・」
「時間的にそうなんじゃないかって思ってた」

待ち合わせの時間から逆算すればそうなるだろう。

「あの天気の変わりようだもん!」
「あなた以外に考えられないよ」

もちろん、単なる偶然に過ぎない。
ただ、状況によっては自信を失うこともある・・・今回のように。

「うぅ・・・」

特にゲリラ豪雨だっただけに、雨男が際立ってしまった。

「ごめん・・・俺のせいじゃないけど」

おかしな謝罪になった。

「相当、濡れただろ?」

自分自身もズブ濡れになってしまった。
自分が呼び寄せた雨に濡れた・・・何とも笑えない結果だ。

(ん?・・・いや、待てよ・・・)

全くと言っていいほど、彼女は濡れていなかった。
S872
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[No.872-1]雨男の彼女だけに

No.872-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」

久しぶりに、その力を発揮したような気がする。

「また、台風が来てるんだって!」

今年は台風やら大雨やら、何かと物騒だ。

「僕のせいじゃないぞ」
「そうなの?」

軽くイジられている。

「あのね・・・」

今年は出掛ける前に、雨が降っていることが多かった。
そのため、“雨男”にならずに済んだ。

「だって、最強の雨男でしょ?」
「おいおい・・・」
「冗談よ、冗談!」

僕にはとても冗談に聞こえない。
多少、やましい気持ちもあるからだ。

「まぁ、強く否定もできないけど・・・」

つい最近も雨男の所以たる出来事があったばかりだ。

「デートの日、大雨降ったよね?」

いわゆるゲリラ豪雨だ。
自分が住んでいる一帯が局地的な豪雨に見舞われた。

「あれ、凄かったよね!」

彼女も、近くに住んでいるから知っているはずだ。

(No.872-2へ続く)

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[No.871-2]思い付かない選択肢

No.871-2

「さて・・・と・・・」

まず、ページ数を確認する。
この時点で、弱腰の自分が見え隠れしている。

「20ページ読んだとしたら・・・」

それでも、10日ほど掛かる。
ただ、あくまでも毎日読んだ場合だ。

「う~ん・・・・」

うなってみても始まらない。
けど、うなりたくもなる。

「とにかく・・・毎日、少しでも刻んで行こう!」

1ページだけでも刻んで行けば、いずれ読み終えられる。
長い道のりだけど、今日から始めよう。

「じゃあ、記念すべき1ページ目は・・・」

あれから、約3週間が経過した。
何とか予定通りに読み終えることができた。

「明日の社内便で送り返すね」
「うん、わかった」

実用書だけに、知識の幅が広がった気がする。
頑張って読んだ甲斐があった。

「勉強になったよ」
「ちゃんと読んだのね、偉い偉い!」

(・・・そうか!)

“読んだふりをする”という選択肢を思い付かなかった。
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[No.871-1]思い付かない選択肢

No.871-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ!・・・そ、そうだね」

予期せぬ展開になってきた。

「じゃあ、社内便で送りますね」

大したことじゃない。
でも、まるで学生時代に戻ったかのようだった。

「2~3週間、借りてて大丈夫?」

最近、本らしい本を読んでいない。
そのため、読破するのに慎重になった。

「全然、大丈夫ですよ」

それに夜遅く帰宅してから本を読むのは至難の業だ。
格好の睡眠薬になるからだ。

「ありがとう」

彼女が最近読んだ本の話をしてきた。
その話に何となく付き合っていた。

「じゃぁ、楽しみに待ってる」

その割には、調子良く答えてしまった。
大袈裟だけど、罪の意識を感じずにはいられない。

(・・・とは言え、読むのは大変そうだな)

小説ではない、いわゆる実用書だ。
それも、全くの専門外だ。

「ふぅ~」

話がついた後、何とも表現しがたい感情が表に出た。

(No.871-2へ続く)

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