カテゴリー「(029)小説No.701~725」の50件の記事

[No.725-2]営業中

No.725-2

「そこから、商談がまとまることもある・・・?」

同僚が大きくうなづいた。

「私もよく足を伸ばしたものよ」

確かに同僚の営業成績は抜群だ。

「それが秘訣なんだ!」
「まぁね・・・あなただけには教えるけど」

サボっているように見えたこともあった。
でも、それが営業活動だったとは驚きだ。

「だから、もう少しの行動が大切なの」
「そうね・・・私は予定通りにしか動いてない」

そう考えると、昨日の行動が悔やまれる。

「今からでも行動に移せばいいでしょ?」
「そ、そうね!」

さすが、考え方もスピーディだ。

「・・・で、今夜どうする?」
「今夜?」

同僚と何も約束はしていないはずだが・・・。

「もう少しの行動が大切って言ったでしょ?」
S725
(No.725完)
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[No.725-1]営業中

No.725-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「そう言えばさぁ・・・昨日、寄ってきた?」
「ううん・・・寄らずに戻ってきたよ」

昨日、仕事の都合で実家の近くまで行った。
ただ、近くとは言え車でも30分は掛かる距離だ。

「嘘でしょ?」
「だって、営業中だったから・・・」

取引先を何軒か回っていた。

「もぉ!分かってないんだから!」

同僚の口調がいつになくきつい。

「営業って仕事はね・・・」

いつものように語り始めた。
でも、今回はいつもと少し雰囲気が違う。

「ちょっと足を伸ばしたら、新しい出会いがあるのよ」
「出会い・・・イコール、商機だから」

分かるような分からないような・・・。

「どういうこと?」
「近所の人や昔の友達に会ったりすることもあるじゃない?」

何となく分かり始めてきた。

(No.725-2へ続く)

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[No.724-2]不完全燃焼

No.724-2

「ここのは、かなり本格的だよ!」
「・・・みたいだね」

遊園地顔負けの“お化け屋敷”がそこにあった。

「どうする?」

自分たちの学校にも、お化け屋敷があった。
目の前の物ほどでもないが。

「・・・そのつもりよ」

当時、付き合っていた彼とそこに入った。
言わば公認の仲だったから、特に騒がれることもなかった。

「いいの?」

ただ、そこで事件が起きた。
彼が今で言う極度の“ビビリ”でだったことが発覚した。

「彼が“別の意味”で、抱きついてくるんだもん・・・」

もちろん、入ることを拒むことだってできただろう。
それをしなかった点は評価している。

「でも・・・ね、やっぱり・・・」
「そういうところ、あるよね?」

それがきっかけで、彼と別れることになった。

「もう一度聞くけど・・・いいの?」
「うん・・・もう、過ぎたことよ」

ふたりでお化け屋敷に入った。

「ギャァァーーーーー!!!!」

当時の不完全燃焼は、今、完全燃焼に変わった。
S724
(No.724完)
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[No.724-1]不完全燃焼

No.724-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「へぇ~文化祭やってるんだ」

たまたま通りがかった高校で文化祭が開催されていた。

「ちょっと入ってみようか?」
「よしなさいってば!あまり時間がないんだから・・・」

もう一人の友人と待ち合わせ中だ。

「ごめん!そうだったわね」
「もぉ・・・」

とは言いつつも、後ろ髪を引かれる思いだ。

「覚えてる?」
「また、その話?」

誰だって、ひとつやふたつあるだろう。
文化祭の甘くて酸っぱい想い出が・・・。

「仕方ないでしょ?思い出しちゃったんだから!」
「ハァ・・・」

小さい頃からの友人だ。
小中高、それに大学まで同じだった。
ある意味、私よりも私の事情をよく知っている。

「少しなら時間があるよね?」
「えっ!?」

何だか無性に文化祭を見たくなった。

「懐かしいわね」

時代は変れど、中身はさほど変っていない。
昭和テイストと言うか、アナログ的と言うか・・・。

「ほら・・・やっぱり、あったわよ!」

程度の差はあれど、やはりあった。

(No.724-2へ続く)

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[No.723-2]邪魔者

No.723-2

「当時は、遊ぶことだけに夢中だったから・・・」

でも、所詮、ブームはブームだ。
冷めるのも早かった。

「1ヶ月もしないうちに、遊ぶ人が激減して」

いつも通りの光景に戻った。

「だから、作った人に感謝!なんて考えることもなかったね」

逆に、“邪魔者”扱いされて、倉庫の隅に追いやられた。

「その残酷さも子供ならではだね」
「私が卒業する前に・・・」

その“邪魔者”は倉庫から居なくなっていた。
いつ居なくなったかは知らなかった。

「・・・なんだが、寂しい話ね」
「そうね・・・こんな話をするつもりじゃなかったんだけど」

意外な展開に自分でも驚いている。

「ちなみに、どんな話をするつもりだったの?」
「・・・ごめん、忘れた・・・」

ただ、少なくともこんな話ではなかった。

「まぁ、いいじゃん」
「ごめん・・・」
「“忘れた”けど、思い出せて良かったじゃん!」
「・・・そ、そうね!」

これで“邪魔者”も少しは浮かばれるかもしれない。
S723
(No.723完)
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[No.723-1]邪魔者

No.723-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
私が小学5年生の時だったと記憶している。
学校に、“竹馬”がやってきた。

「へぇ~、良いわね」

どうやら、友人の学校では採用されなかったようだ。
地域によって、色々と事情もあるのだろう。

「そりゃもう・・・大ブームになったのよね」

物珍しさも手伝って、休み時間は竹馬で遊ぶ人で溢れかえった。

「数は足りたの?」
「うん、余るくらいだった」

それこそ、人数分用意されていたと言っていいくらいだ。
数は十二分にあった。

「それに本物の竹だったからね」

玩具ではなく、全て手作りの品だった。

「すごいね、それだけの量を」
「今思うと、そうよね・・・」

当時はそんなことを考えたこともなかった。

「作ってくれた人・・・居たはずだよね?」

誰が作ったかまでは知らされていなかった。

「もしかしたら、先生が作ったかもよ?」

夜なべ仕事だったかもしれない。
何だか、話の本筋じゃないところが気になり始めた。

(No.723-2へ続く)

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[No.722-2]学校の怪談

No.722-2

「それがさぁ・・・そんなことは無かったようなんだよね」
「・・・じゃぁ、どこの幽霊?」

ご近所の幽霊が居ついたとでもいうのだろうか?
“出る”には相応しい場所だということで。

「あはは!その発想笑える!」
「それなら、どうして旧校舎から出るのよ?」

何の縁もない場所に、居つくことがあるのだろうか・・・。

「昼間に出るって噂だった」
「昼間!?」

今まで聞いたことがない。

「それに、目をつぶった時に見えるんだって!」
「・・・どんなふうに?」

分かるようで分からない。

「どうだろう?私は見たことがないし・・・」
「それに、あくまでも噂だったからね」

実際に見た人は居なかったらしい。

「でも、まことしやかに語り継がれてるよね、この手の話」

この手の話がなければないで寂しい。

「今でもいるのかな?」
「居るよ、心の中に・・・ね」

“ニヤリ”と笑う友人の顔は、まるで別人のようだった。S722
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[No.722-1]学校の怪談

No.722-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
必ずと言っていいほど、学校には怪談話が付きものだ。

「もう、そんな季節じゃないでしょ?」
「残暑が厳しいから、いいでしょ?」

質問に対して、質問で返された。

「小学校の時ね」

加えて、勝手に話し始めた。
この手の話は好きじゃない。

「そんなたいした話じゃないわよ」

私にしてみれば、ホラー話に大きいも小さいもない。

「旧校舎がね・・・取り壊されずに残ってたんだ」
「・・・どうして?」

友人が“分からない”のような仕草を見せた。

「お金が掛かるからじゃないの?」

至極、まともな答えだ。

「そうだよね・・・」
「歴史的建造物って感じでもなさそうだったから」

ごく普通の建物だったらしい。

「・・・でね、その旧校舎に幽霊が出るって噂があって」
「その昔、何かあったんだ、そこで・・・」

定番だと、そこで誰かが“死んだ”ということになる。

(No.722-2へ続く)

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[No.721-2]空中一回転

No.721-2

「そこまで言われると気になるわね」

まさしく遠い記憶が蘇ろうとしている。

「・・・何らかの遊び・・・とか?」
「子供の頃なら、そうかもしれないよ」

確かにそんな感じもする。
子供の頃は、それこそ遊びの天才だった。
あるモノ、見るモノ、遊びに変えた。

「そうだな・・・傘なんて格好の的になるよね」

剣にもなるし、バットにもなる。
大人の真似をして、ゴルフのクラブにしたこともあった。

「けど、それならいつでも思い出しそうだけどね」
「・・・だよな」

もう一度、傘をマジマジと見つめてみる。
その時だった・・・さっき以上の突風が吹き抜けた。

「わぁっー!!」

傘が僕の手を離れ、宙を舞い始めた。
その瞬間、完全に“何か”を思い出した。

「空中一回転!」

開いた傘を宙に放り投げ、地面に落ちる前に一回転すれば成功だ。
名付けて“空中一回転”・・・僕が考案した遊びだった。
S721
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[No.721-1]空中一回転

No.721-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・何だろう?」
「どうしたの?傘なんか見つめちゃって」

急に雨が降り出してきた。
大急ぎで傘を広げたその時だった。

「・・・なにかを思い出したんだよね」

頭の中の記憶ではなく、体が何かを覚えていた。

「何かって・・・なに?」
「それが自分でもよく分からなくて」

体が何かを思い出そうとしている。
傘を広げた時に。

「傘を広げるなんて、日常茶飯事だよね?」
「そうなんだけど」

ただ、さっきは突発的な風にあおられて、傘が大きく揺らいだ。

「その瞬間なんだよね」

妙な感覚に襲われた。
体が何かに反応している。

「懐かしい感覚・・・と言ったほうがいいのかもしれない」

子供の頃、体験したような・・・そんな感覚だ。

(No.721-2へ続く)

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