カテゴリー「(028)小説No.676~700」の50件の記事

[No.700-2]グリーティングカード~玲奈~

No.700-2

「これで・・・よし・・・」

達也の24回目の誕生日にグリーティングカードを送ることにした。
日時を指定し、自動的に送るように設定した。

「これは、ちょっと後に届くように・・・と」

もう一通はほんの少しだけ遅れて届くように設定した。
内容は相当悩んだ末にアレに決めた。
達也なら、きっとそうくると思って・・・。

「後は当日を待つだけね」

その当日までには約半年ある。

(・・・でも、本当は届かないで欲しいな)

出来ればカードじゃなくて、直接祝ってあげたい。
23回目の誕生日のように。
でも、半年後、私はもうこの世には居ない。

達也が私の名前を叫んでいる。

(そんなに大きな声出さなくても聞こえてるわよ・・・)

薄れて行く意識の中で、彼のことを想う。

「達也・・・それ、つまんないよ」

半年後、出会える時を信じて、私は永遠の眠りについた。
S700
(No.700完)
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[No.700-1]グリーティングカード~玲奈~

No.700-1   [No.01-1]グリーティングカード

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
薄れて行く意識の中で、彼のことを想う。

「達也・・・それ、つまんないよ」

「誕生日おめでとうぉ!!」
「ちょ、ちょっと・・・恥ずかしいだろ・・・」

今日は彼の23回目の誕生日だ。
付き合い始めて、これで2回目の誕生日でもある。

「いいじゃん!事実なんだし」
「う、うん・・・仕方ないなぁ~」

人目を気にするところは彼らしい。
でも、言葉とは裏腹に表情は明るい。

「初デートはこの店だったよね・・・覚えてる?」
「もちろんだよ!店を選ぶのに苦労したからね」

始めて聞いた裏話だった。

「かなり探したんだよ、雑誌で」
「そしたら、雰囲気が良い店を見つけて」

確かに、カジュアルな中でも落ち着いた感は今も健在だ。

「それに、ワイン好きだろ?」
「知ってたの!?え~!いつからぁ?」
「いつからでも、いいだろ?」
「やだぁ!聞きたい!」

周りから見られていることを忘れるほど楽しい時間が過ぎて行った。

(No.700-2へ続く)

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[No.699-2]暗号なの?

No.699-2

今度は応接室のテーブルの下の写真だ。

「・・・なに?」

意味不明だ。
それに、アングル的に気になることがある。

『寝てる?』

そのアングルで撮影するには、寝転ぶ必要があるからだ。
その答えはスタンプで返ってきた・・・“Yes”と。

『そうなんだ(汗)』

とりあえず当たり障りのない返事を返す。
それにしても適当なのか、何か意図があるのか・・・。

「・・・何だよ、次は!?」

床にスマホや筆記用具が散乱している写真が送られてきた。

『もしかして、荒れてる?』

彼女の性格は知っていた。
予想通り、“Yes”のスタンプが返ってきた。

それからも頻繁に写真は送られてきた。
もちろん、説明は一切ない。
今日も一枚の写真が送られてきた。

「だから何だよ、これ!?」
699
(No.699完)
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[No.699-1]暗号なの?

No.699-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
最近、LINEで送られてくる写真に説明が付かなくなった。
それでも、何とか会話は成立していた。

『気持ち良さそうに寝てるよね』

見たままを返した。
たまに飼っている犬の写真を送ってくる。

『歳のせいか、最近、良く寝てるんだ』

送ってきた意図は不明だが、会話は成立した。

(・・・ここどこだよ?)

見覚えがある、高級そうな椅子が写っていた。

「応接室の椅子・・・?」

ここに転勤してくる前の職場にあった椅子だ。

(何の意味があるのだろう?)

いつも以上に意図がつかめない。
こんな時は、いつもの手を使うしかない。

『応接室の椅子だよね?』

疑問形で返した。
すると彼女からは文字ではなく、写真で返事が来た。
返事と言うより、次の写真と言うべきだろうが・・・・。

(No.699-2へ続く)

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[No.698-2]謝るタイミング

No.698-2

「・・・彼女でもない?どういうこと?」
「そういうことだよ」

直接ではないけど、確かに話をするようになった。

「さっき、多分って言っただろ?」
「もしかして・・・」

順序が逆とでも言えばいいのだろうか?

「仲直りは・・・まだなんだ」

絶縁状態でも、数週間に一度くらいはLINEを入れていた。
もちろん、返事はなかったが・・・。
でも、いつの頃からか返事が徐々に返ってくるようになった。

「じゃぁ、謝ってないんだ?」
「お互いと言うか・・・少なくとも僕はね」

結局、仲直りするタイミングを失い、今に至った。

「おかしな話だろ?」

彼女も僕も特別、意地っ張りな性格ではない。

「別にいいじゃん!」
「無かったことにしたいと思ってるのよ、彼女」

ある意味、都合の良い話に聞こえなくもない。
ただ、謝るタイミングが難しいことは確かだ。
S698
(No.698完)
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[No.698-1]謝るタイミング

No.698-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、その後、彼女とはどうなったの?」

仲が良い女子社員から声を掛けられた。

「どう・・・って」
「ほら、ケンカ中だったわけじゃない?」

確かに半年前に大きなケンカがあった。

「仲直りできてる、多分・・・」
「多分?」

しばらくの間、ほぼ絶縁状態が続いていた。

「最近、少しづつ話をするようになったんだ」

とは言え、直接ではない。
メールやLINE越しに、文字やスタンプとして。

「でも良かったじゃん!」
「けど、謝るタイミングは難しいよね」
「・・・で、どっちから謝ったの?やっぱりあなた?」

正直、ケンカの真の原因は不明だった。
とにかく、僕の何かが気に触ったらしい。

「僕じゃないよ」
「それなら、彼女?」

いや、彼女でもない。

(No.698-2へ続く)

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[No.697-2]分かっていたけど

No.697-2

「それは心配ね」
「うん、だから・・・」

昨日の朝、立ち止まり、近づいてみた。

「そしたら、反応はしてくれたんだけど」

顔を上げ、キョロキョロし始めた。
ただ、すぐにまたうずくまってしまった。

「でも、眠いのか弱ってるのかは分からなかったわ」

とにかく、何らかの反応があってまずはホッとした。
見ようによっては、死んでいるようにも見えたからだ。

「今日、帰りに寄ってく?」

そうくるのも当然だろう。
友達も放っておけないタイプだからだ。

「本当はダメなんだろうけど・・・」
「・・・食べ物、与えるってことだよね?」

友達が小さくうなづく。
でも、これはこれで無責任な行為だと思っている。

「ありがとう・・・でも、とりあえず大丈夫みたい」
「・・・大丈夫?」

昨晩、無責任な行為だとは分かっていたけど・・・。
S697
(No.697完)
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[No.697-1]分かっていたけど

No.697-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
気になり始めたのは、5日ほど経過した時だった。

「私も時々、見掛けることがあるよ」
「確か・・・三毛猫だったよね?」

通学路の途中に、小さな公園がある。
その公園に三毛猫が住み着いていた。

「うん、私も時々しか見かけなかったんだけど」

朝、公園の中を通っている時に、たまに見掛ける程度だった。
でも、このところ毎日、見ている。

「嫌いじゃなかったよね?」
「そうなんだけど・・・ちょっと気になることがあって」

今までは、バッタリ目があう感じだ。
向こうは向こうでビックリしている。

「最近、ずっと草むらでうずくまっているんだ・・・」

猫の生態は知ってはいる。
小さい頃、飼っていたこともあるからだ。

「寝てるだけでしょ?」
「うん・・・そうだとは思うけど」

ただ、このところ毎朝 、同じ場所でうずくまっている。
弱って動けないようにも見えなくもない。
それに、以前よりもかなり痩せてもいる。

(No.697-2へ続く)

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[No.696-2]余裕な発言

No.696-2

「え~、どんなこと?聞きたい!」
「まぁ、焦らないで・・・」

ここまで話しておきながら、急にブレーキを掛けだした。

「その人、最近、彼氏と別れたらしいんだ」
「ごくありふれた話よね?」

その別れ方が、修羅場だったとでも言うのだろうか?
衝撃を受けるくらいだから・・・。

「そうなんだけど、次に聞いたセリフがさぁ・・・」
「衝撃的と言うか、余裕と言うか・・・」

「・・・余裕?」

一体、どんなセリフを言ったのだろうか?

「もったいぶらないで、続きを聞かせてよ!」
「もうひとりが“新しい彼を見つけなきゃね?”と言ったんだ」
「そしたら、その人・・・こう言ったの」

思わず、ゴクリとつばを飲み込んでしまった。

「・・・楽しむんだって」
「えっ!?」
「“もう少し、ひとりを楽しんでみようかな?”だってさ!」

(・・・・ひとりを楽しむ?)

すぐには意味が分からなかった。
でも、ジワジワと込み上げてくるものがあった。

「あぁ!なにその余裕な発言!」
S696
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[No.696-1]余裕な発言

No.696-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ごめん!遅れちゃって・・・」

電車に乗り遅れて、待ち合わせの時間にも遅れた。

「ねぇねぇ、どう思う?」
「えっ!どう思うって・・・」

会話が成立していない・・・よくあることだが。

「あっ!そうだった」
「話を聞いてなかったもんね」

どうやら、私を待っている間に何かあったようだ。

「OLらしき二人の会話なんだけどさぁ・・・」

見た目ではなく、会話の内容からOLと判断したらしい。

「好きだね・・・そういうの」
「だって、隣でしゃべってるんだもん!仕方ないでしょ?」
「で、何を話してたの?」

会社の上司や先輩社員の悪口を始めたらしい。

「まぁ、普通よね?」
「そのうち、恋愛話になったんだけど・・・」

これもごく普通だ。
私と目の前の友人も、いつもこんなパターンだ。

「それでね、ひとりの女子がこんなこと言い出したの」

友人曰く、その言葉が衝撃的だったらしい。

(No.696-2へ続く)

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