カテゴリー「(025)小説No.601~625」の50件の記事

[No.625-2]歴史の時間

No.625-2

「それに僕の場合、苗字だけじゃなくて」

下の名前も該当する人物がいる。

「・・・かなり有名じゃん!」

かなりどころか、戦国時代では一位、二位を争う有名人だ。

「だから、歴史の時間は結構、大変だったんだよ」

先生が苗字や名前を口にするたびに、教室がザワつく。
でも、先生も手馴れたもので、その場をうまくおさえてはくれた。

「それでも、結構、イジられたよ」
「小学生なら仕方ないよ」

でも、実はそんなに悪い気はしていなかった。
逆に少しだけ、時の人になった気分が味わえた。

「私はそんな苦労はなかったな」

彼女の苗字と名前は、これといった特徴はない。

「でも、これから先、苦労しそうなんだよね」
「これから先?」

何を言っているのか、すぐには理解できなかった。

「苗字が変わる可能性があるでしょ?」
「・・・それとも、あなたが変えてくれるの?」

「えっ!?」

突然、逆プロポーズされた。

「苗字が変わったら、とある女優と同姓同名になっちゃうからね」
S625
(No.625完)
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[No.625-1]歴史の時間

No.625-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「思い出すなぁ・・・」

テレビで戦国武将の特集をしている。

「戦国生まれだっけ?」

面倒なのでスルーすることにした。
彼女もこれくらいなら心得ているからだ。

「ほら、僕の苗字・・・」
「それが?」
「戦国武将じゃないけど」

この言葉で彼女が気付いたようだ。

「確か・・・平安時代とかだっけ?」
「そうだね、それくらい」

この際、正確な時代は必要ない。

「小学生って、そんな程度でザワつくだろ?」

“そんな”に該当する説明はまだしていない。

「“同じ名前!”ってわけね」

でも、話は通じているようだ。

「言わば、“歴史あるある”ね」

教科書を開いた時点で、何となく皆がソワソワしている。
もちろん、この僕も同じだ。

「・・・で、先生がそれを読み上げると」

待ち構えていたかのように、誰もが“キター!”となる。

(No.625-2へ続く)

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[No.624-2]ネコの親子

No.624-2

「ここから・・・見守ろうよ」

こちらの存在に気付いてないわけじゃない。
けど、まだ距離があるせいか、警戒心は薄い。

「そうだね」

親子水入らずを邪魔しちゃ悪い。

「うらやましいなぁ」
「・・・思い出させちゃった?」

昨年、母親を亡くした友人には、そんな風に映るみたいだ。

「仕方ないよ、そんな季節だし」

そのせいだろうか・・・
最近、友人に元気がない。
それもあって、今日は無理矢理にでも散歩に連れ出した。

「でも・・・ありがとうね」
「ん?なにが?」

一応、とぼけてみたが、バレてはいるだろう。

「・・・とにかく、今日は暑いわね~!」

私たちをさえぎるものは何もない。
時々、心地よい風が私たちを通り抜けて行く。

「あのネコもその風のひとつね」

友人がポツリとつぶやいた。
S624
(No.624完)
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[No.624-1]ネコの親子

No.624-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
多少、離れていてもそれが何なのか分かる。
だからこそ、足を止めた。

「どうしたの?急に立ち止まって」
「ほら・・・あれ・・・」

友人はまだ気付いていないらしい。
それもそのはずだ。
友人の目線はスマホにあったからだ。

「・・・ん?イヌ・・・ネコ・・・?」
「ネコよ、それも親子のね」

小川沿いの小道でネコの親子がじゃれついている。
二匹とも同じ毛並みだ。

「なかなか見られない光景ね」

確かにそう言える。
テレビならまだしも、生でしかも野生だ。

「もっと近くで見てみない?」
「ちょ、ちょっと!」

歩き始めようとしていた友人の腕を反射的につかんだ。

「飼いネコだって、外では逃げちゃうくらいなんだから」

よほど人に馴れていない限り、逃げられるのがオチだ。
ましてや子供連れだ。

「・・・そうね、子供がいるもんね」

普段よりも警戒心は強くなっているはずだ。

(No.624-2へ続く)

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[No.623-2]ダイエットの教訓

No.623-2

「それに、教訓も学んだし・・・」

毎日、アプリへ入力していたことであることに気付いた。

「どんな?」
「さっき、“グラフも表示できる”って言ったでしょ・・・」

縦軸は体重、横軸は日にちになっている。
横軸の目盛りは1週間、1ヶ月・・・といくつか変えることができる。

「1週間だとね、減っていないように見えても」

1ヶ月、90日・・・と目盛りを変えると徐々に減っているのが分かる。

「それ、案外盲点ね」
「そう!体重なんて日々増減するから・・」

挫折しそうな気持ちをそれが支えてくれた。
私のしていることは間違っていないのだと。

「それが教訓ってわけね」
「・・・まぁ、“反対の意味の”だけど」

できればもう少し早くその教訓に出会いたかった。

「彼との関係も徐々に冷めてたみたい」

忙しい毎日に忙殺され、変化に気付けなかった。

「距離を置くとか・・・視点を変えるべきだったな」

ダイエットから意外な教訓を学んだ。
S623
(No.623完)
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[No.623-1]ダイエットの教訓

No.623-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
ダイエットから学んだ意外な教訓がある。

「よく続けられるよね!?」

ダイエットを始めてから、かれこれ5ヶ月になろうとしている。

「まぁ、何とか・・・」

ことの発端は至ってシンプルだ。
体重が大台を突破したからだ。
それ以前に、見た目が怪しくなってきたせいもある。

「尊敬しちゃうよ!秘訣、教えてよ?」
「そんな秘訣なんてないよ」

カロリーの摂取量を抑え、軽めの運動を行う。
時々、自分にご褒美を与えながらも、これをしっかり守る。
これの積み重ねしかない。

「ほんと?」
「そのためにも、体重の管理はキッチリしたよ」

毎日体重計に乗り、体脂肪と共に測定する。
その結果をスマホのアプリへ入力もしている。

「へぇ~そんなアプリもあるんだ」
「うん、グラフも表示できて、色々メッセージも表示されて」

増えたとか減っただけじゃなく、応援もしてくれる。

「それならやる気も出るわね」

そのうち、これらが習慣化し、継続へと繋がった。

(No.623-2へ続く)

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[No.622-2]気になる視線

No.622-2

それから数ヵ月した頃から、彼女らは姿を見せなくなった。

「普通に考えたら・・・振り向いてもらえなくて」
「諦めたパターンでしょ?」

上から目線だけど、そう考えるのが妥当だった。

「でもな、見る以外の行為は何もなかったんだよ?」
「・・・それが乙女心じゃない?」

確かにそうと言えなくもない。
ただ、少なくても彼女はそんなタイプじゃない。

「それに他の二人だって」

決して大人しいタイプではなかった。

「結局あれは何だったのかな?って・・・」
「今でも思い出すことがある」

好意を寄せられていたのか、それとも・・・。

「・・・それとも?」

中学生と言えば女子の方がいろいろな面で大人な時期だ。

「スッキリしない出来事も、青春の1ページだろ?」

一応、強がってみる。
彼女らの行動に応えるのがこわかったことを隠すために。S622
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[No.622-1]気になる視線

No.622-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
その三人の内、一人は顔見知りだった。
中学校に入る前の2年間は同じクラスでもあった。

「最初はさぁ・・・元クラスメートってことで」

単に僕の教室を覗きに来ているのかと思っていた。

「そうね・・・私も経験あるわ」

自分のクラスに馴染むまで、他のクラスの顔見知りに会いに行く。
入学してからしばらくはそんな行動をとることが多い。

「ところが・・・」

数ヵ月経ってもその行動は変わらなかった。
それどころか、人数が二人増えた。

「それが、その三人ね」
「あぁ・・・それに外で遊んでても」

校舎の陰から僕を見てる。

「勘違いかな?とも思ったんだけど」
「友達・・・の方?」

有りがちなパターンだ。
自分ではなく、いつも行動を共にしている友人の方を・・・。

「それで、わざと別の友人を誘ってみたんだ」

それでも彼女らの行動は変わらなかった。

(No.622-2へ続く)

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[No.621-2]二人連れ

No.621-2

案の定というか、不安がそのまま現実となった。

「・・・今日も居ないわね」

あれから一週間が過ぎようとしている。
相変わらず相棒の姿はそこにはなかった。

「もしかして、入院でもしてるのかも・・・」
「明日、聞いてみる!」

彼女たちとは知り合いでもなんでもない。
単にすれ違うだけの関係だ。

「うん、そうしよう!」

突拍子もない友人の考えに肯定的な自分がいる。
自分自身がそんなことを経験しているからだろう。

(あれ!?)

あの日と同じように友人と顔を見合わせた。

「相棒も笑顔も復活してる!!」

つい、彼女たちにも聞こえる声でしゃべってしまった。
けど、彼女たちは何事もなかったようにすれ違って行った。
そこに何があったのか・・・想像はできる。
S621
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[No.621-1]二人連れ

No.621-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・あれ!?)

声こそ出なかったが、併走する友人と顔を見合わせた。

「どうしたんだろう・・・」

友人も同じことを考えていたらしい。

「・・・そうね」

通学途中にすれ違う女子高生。
・・・とは言え、私も女子高生のひとりだ。
いつも二人組みとすれ違っていた。

「心配だね」
「喧嘩でもしたのかな?」

その言葉には理由がある。
数日前から、彼女たちから笑顔が消えた。
いつもなら、おしゃべりしながら併走していたのに。

「じゃなきゃいいけど」
「今日はタマタマひとりだけかもしれないし」

たった一度だけで物事を決め付けるのは良くない。
けど、心配せずにはいられない。

(No.621-2へ続く)

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