[No.625-2]歴史の時間
No.625-2
「それに僕の場合、苗字だけじゃなくて」
下の名前も該当する人物がいる。
「・・・かなり有名じゃん!」
かなりどころか、戦国時代では一位、二位を争う有名人だ。
「だから、歴史の時間は結構、大変だったんだよ」
先生が苗字や名前を口にするたびに、教室がザワつく。
でも、先生も手馴れたもので、その場をうまくおさえてはくれた。
「それでも、結構、イジられたよ」
「小学生なら仕方ないよ」
でも、実はそんなに悪い気はしていなかった。
逆に少しだけ、時の人になった気分が味わえた。
「私はそんな苦労はなかったな」
彼女の苗字と名前は、これといった特徴はない。
「でも、これから先、苦労しそうなんだよね」
「これから先?」
何を言っているのか、すぐには理解できなかった。
「苗字が変わる可能性があるでしょ?」
「・・・それとも、あなたが変えてくれるの?」
「えっ!?」
突然、逆プロポーズされた。
「苗字が変わったら、とある女優と同姓同名になっちゃうからね」
(No.625完)
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