カテゴリー「(023)小説No.551~575」の50件の記事

[No.575-2]紅葉狩り

No.575-2

「せやね・・・満員電車はいややと思うし」
「カバンの外なら、迷子になってしまう可能性もあるだろ?」

外れて失くしてしまうのではない。

「スマホにも付けられないし」

もともと、ガラケーにかろうじて付けていた。

「紅葉でも見せてあげたいなぁ」
「・・・紅葉?」
「それなら来週、みんなで行こうか?」

色々事情があり、菜緒(なお)としばらく出掛けていない。

「・・・ごめん、うちは無理やねん」
「そっか・・・」
「みんなで行きたいねんけど」

紅葉はもって、後数週間だろう。

(さて・・・どうしたものか・・・あっ!そうだ)

「ちょっと、待ってて!」

今ならいくらでも落ちている。
S575
(No.575完)
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[No.575-1]紅葉狩り

No.575-1  [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「最近、せいじゅうろうはどう?」

ためらいもなく聞ける自分に、頼もしささえ感じる。

「そう言えば、遊んであげてへん」

最近は専ら、ご当地リラックマの話をしている。
仕事上、出張が増え、全国を飛び回ることが増えたからだ。

「だろ?」
「俺も連れて歩いていないし」

以前は、出張に連れて歩いていた。
菜緒(なお)が、俺のカバンにコッソリ入れたことが始まりだ。
それ以来後、連れて行くようになった。

「しばらく、ここに座ったままだよな?」

一応、パソコンデスクの上が彼らの居場所だ。

「連れて行ってあげたいけど・・・」

荷物が多く、カバンの中に居るには窮屈だろう。
けど、決して“つぶされる”からとは表現していけない。
彼らは“物”ではないからだ。

(No.575-2へ続く)

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[No.574-2]転勤を知る

No.574-2

「それに、誰にも・・・という割には、しゃべってない?」

これでふたつ。

「そんなことより、びっくりよねぇ~」

私としては目の前の同僚の方が、よほどびっくりだ。

けど、転勤って案外、そんなところがある。
私も似た経験があるからだ。

「私も・・・人づてに転勤を知ったもん」

相手は当然、私は知っているものだと思っていた。

「だから、“えぇぇー!”って、なったもん、お互い」
「でも、そんなこと多いよね」

そう・・・あらためて考えると、そんなことだらけだ。
転勤する本人より、他人の方が先に知ることが多い。

「けどさぁ、ひどい話よね?」
「一応・・・聞くけど、何がひどいの?」
「だってさ、他人から知らされるわけじゃない!」

その原因を作っているのは、一体、誰なんだと・・・。
S574
(No.574完)
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[No.574-1]転勤を知る

No.574-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、ねぇ・・・知ってる?」

同僚が小声で話掛けてきた。
・・・となれば、内容はいくつかに絞られる。

「で、今度は誰と誰が付き合ったわけ?」
「違うわよ」
「じゃあ、別れたの?」

社内一の情報通だ。
まれに有意義な情報を運んでくることがある。

「営業の・・・さん、転勤なんだって」
「うそぉ!」

そんなに親しくもないが、色々とお世話にはなった。

「本人もまだ知らないから、誰にも言っちゃだめだよ」

そのセリフにふたつの矛盾を感じる。

「本人が知らないのに、よくあなたが知ってるわね?」

これがひとつ。

(No.574-2へ続く)

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[No.573-2]祝電

No.573-2

「それで印象に残ってるわけね」

色々あったからこそ、逆に信頼関係が生まれた。

「その中でも特に彼女は・・・」

人懐っこくて、誰に対しても分け隔てなかった。

「そっか・・・なら、気合入れて考えなきゃね!」

会社の先輩として、そして夫婦の先輩としても。

「ご結婚おめでとうございます。
 
先輩からのアドバイスです。
夫婦喧嘩をしたら、夫から先にあやまること。
そして妻は許してあげること。
そのあとに、妻もあやまること。
そして夫は最後にもう一度あやまること。
そしたら、もう喧嘩のことは忘れること。
でも、時々思い出して二人で笑うこと」


「へぇ~・・・あなたにしては考えたわね?」

あれから数日間、悩んだ。
そして出した結論がそれだった。

「だろ?」

「でも、私たちみたいなのは気のせいかしら?」
S573
(No.573完)
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[No.573-1]祝電

No.573-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・そうね」

祝電と言えば、定型文しか送ったことがなかった。
ただ、今回はそうはいかない。

「確か・・・元、教え子だよね?」
「あぁ、もう10年前になるけど」

僕が、まだ新入社員の教育係りだった時代の話だ。
彼女は教え子のひとりにすぎない。

「それにしては、肩入れしてない?」

それは自分でも分かっている。

「けど、変な意味じゃないよ」

それも分かっている。
教え子はそれこそ大勢いる。
だからこそ、なぜ彼女だけ・・・ごく自然な疑問だ。

「当時、彼女を含めて・・・」

ある年、男性社員に混じって6名の女子社員が入社した。
一度に入社する数としては異例だった.

「ほら、数が居ると・・・やっぱりね」

色々なトラブルが起きた。
笑えるものから、笑えないものまで。

(No.573-2へ続く)

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[No.572-2]ドクターイエロー

No.572-2

「・・・で、どうなの?」

友人の言いたいことは分かっている。

「それは・・・」

程度に差はあれど、毎日、良いことも悪いこともある。

「宝くじ当たったとか、お金拾ったとか」
「どっちもだよ」
「・・・うそ!!」

(だから、程度に差があるって・・・)

「3000円当たって、10円拾ったけど?」
「・・・び、微妙!」

これくらいなら、何度もある。
ドクターイエローに出会う前から。

「他には、なにかないわけ?」
「彼が・・・できたよ」
「な~んだ・・・えっ!うそぉ!?」

友人の目に黄色い電車が見えたのは気のせいだろうか?

「これは・・・間違いないね!」
「だから、これくらいなら何度もあるって!」
S572_3
(No.572完)
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[No.572-1]ドクターイエロー

No.572-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
それは突然の出来事だった。

「あっ・・・あぁぁ!!」

奇声にも似た私の声も、駅のホームには勝てなかった。

「幸せになれるって、噂もあるよね?」

そのことは何となく知っていた。

「うん、いわゆる都市伝説だけど」

至極、日本的な発想だ。
珍しいものには、神秘的な力を求めずにはいられない。

「けど、よく遭遇できたわね?」

最近、仕事の都合であちこち出張するようになった。
でも、月に一度あるかないか・・・そんな程度だ。

「でしょ!私もびっくりしたもん」

降り立った駅のホームの目の前にそれが居た。

「思わず、声が出ちゃったもん!」

特別、興味があったわけじゃない。
それでも、さすがにそれを目の前にすると声が出てしまった。

(No.572-2へ続く)

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[No.571-2]予行演習

No.571-2

「名前は分かんないけど・・・」

朝方、ある鳥の鳴き声で目が覚める。
さえずりという優雅なレベルではない。

「それがさぁ、半端なく甲高くて」

それこそ、耳をつんざく鳴き声だ。
一度、目が覚めたら二度と眠りに付けない。

「それは大変ね・・・」

もともとかなり神経質なことも災いしている。
少しの物音でも寝られないタイプだし、目も覚めてしまう。

「ここ数日、寝不足で・・・」

それに、イライラ度も頂点に達しようとしている。

「慣れるしかないんじゃない?」
「・・・私には無理ぃ!」

不思議なことに、慣れれば慣れるものだ。
あの鳥の鳴き声が気にならなくなっていた。

「最近、顔色もいいじゃない?」
「そ、そうかなぁ」
「ところで、彼とは上手くやってけそう?」

最近、彼と結婚を前提に同棲を始めた。
彼のいびきが気にならないのは、あの鳥のお陰だ。
S571
(No.571完)
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[No.571-1]予行演習

No.571-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」

さっきから、目は覚めている。
ただ、目覚めは最悪だった。

「ねぇ~、ちょっと聞いてよ!」
「なによ、朝からうるさいわね・・・」
「うるさいぃぃ!?」

今、一番聞きたくない言葉だ。

「ちょ、ちょっと・・・過剰反応過ぎない?」
「だ、だって!」

ここ数日間、ある音に悩まされている。

「・・・なんの音?」
「まぁ・・・音と言うより鳴き声なんだけど」

最近、引っ越しをした。
あれこれ詮索されたが、特に意味はなかった。

「イヌそれともネコ?」
「ううん・・・どちらでもない」

同僚が不思議そうな顔をしている。

「まさか、ニワトリ!?」
「私、どこに住んでるのよ!?」

でも、あながちハズレてはいない。

(No.571-2へ続く)

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