[No.550-2]下流のごみ
No.550-2
「ただ、川を眺めながら歩いてるだけよ」
お世辞にも清流とは言い難い川でも、生き物であふれている。
「鳥とか、カメとか、得体の知れない大きな魚とか」
「得体のしれない!?」
特に夏場は生き物でにぎわっている。
「それと、ついでにゴミもね」
下流になればなるほど、ゴミが多い。
「そりゃそうでしょ、上流から流れてくるんだから」
いつものルートなら、さほどゴミを見掛けることはない。
「二駅前から歩くようになって気付いたんだ」
言いようのない、虚しさを覚えた。
「そんなにエコを気にするタイプだっけ?」
「ううん・・・そうじゃないけど」
例え目の前でゴミを捨てたとしても、数分もすれば視界から消える。
「そんなことでいいのかな?って思うんだ」
物思いにふける季節ではない。
けど、にぎやかな季節ほど、少し考えたくなるときがある。
(No.550完)
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