カテゴリー「(021)小説No.501~525」の50件の記事

[No.525-2]鶏が先か卵が先か

No.525-2

「どっちなんだろうね」

それが分かったとしても、何かが変わるわけではない。
でも、気になる。

「一目ぼれ・・・だったしな」

女友達の紹介だった。
会った瞬間、好きになった。

「だったら、やっぱりアイドルが先じゃ・・・」
「どうして?」
「知らないうちに刷り込まれていたんじゃない?」

そのアイドルはデビュー当時から知っている。
元カノに出会ったのは、それから2年くらい経過した後だった。

「確かに時間的な流れで言えばそうかもしれない」

でも、デビュー当時から好きだったというわけではない。

「鶏が先か卵が先か・・・みたいになっちゃったわね」
「・・・ところで私は?」

ある程度、予測された展開になった。

「元カノ似?それともアイドル似?」

いじわるな質問だ・・・どちらにも似ているからだ。
それに、どちらを選んでも似ているから好きになったことになる。

「・・・どうやら、新種が誕生したみたい」

たまたま、目に入った週刊誌の見出しを読み上げてみた。S525
(No.525完)
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[No.525-1]鶏が先か卵が先か

No.525-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
高校2年生の時に、初めて女性と付き合った。

「確か、当時のアイドルに似てたんだよね?」

流れで、元カノの話になった。

「うん・・・って、いう人だよ」

そっくりとは言えないまでも、雰囲気はそのものだった。

「だから、そのアイドルまで好きになって」
「・・・あれ?」
「どうかした?」

いまさらながら、引っ掛かるものがある。

「・・・どっちが先なんだろう?」
「どっち?」

彼女を好きになったから、アイドルも好きになった。
今まではそう考えていた。
でも・・・その逆もありえる。

「アイドルを先に好きになった?」
「・・・かもしれない」

好きになったタイミングは同じだ。

「どうやら、それが起源みたいだな」

自分ではあまり意識したことはない。
でも、付き合う女性は皆“顔的”に似ている。
今思えば、この時が始まりだったようだ。

(No.525-2へ続く)

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[No.524-2]元祖の存在

No.524-2

「外出するときは、カバンの中に入れといて」
「あぁ、今もそうしてる」

けど、他人には知られたくない。
秘密とまでは行かないまでも・・・。

「でも、何だか悪い気もする」

それこそ真っ暗なカバンの中に閉じ込めている感じだ。
そう感じること自体“危ない”のかもしれないが・・・。

「せやったら、やっぱりここやん!」

また、胸ポケットに入れた。

「おいおい・・・」

・・・とか言いながらも、本当はそうしたい。

「じゃあ・・・休みの日だけでもええから」
「・・・それなら、まぁ、多分・・・大丈夫」

胸ポケットから顔が出ないようにすればいいだろう。

「よかったやん!せいじゅうろう!」

日曜日、菜緒(なお)と出掛けた。
もちろん、せいじゅうろうを胸ポケットに入れて。
幸いにも顔は出ていない。
ただ、俺のポケットに話しかけるのはやめて欲しいが・・・。Image_12
(No.524完)
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[No.524-1]元祖の存在

No.524-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
本来、せいじゅうろうと呼んでいいのは、こいつだけだ。
それだけ特別な存在でもある。

「随分、増えたやん!」

菜緒(なお)が言う通り、確かに増えてきた。
そのため、数日前に収納ボックスを買った。

「散らからないように箱へ入れるようにしたから」

透明だから、中身はよく見える。

「せやね!でも、せいじゅうろうだけは入れたらアカンよ」

せいじゅうろうとは、菜緒が名付けたリラックマの名前だ。
でも、全てがそうではない。
あくまでも、こいつだけが“せいじゅうろう”だ。

「それなら、どこに置いておくの?」
「せいじゅうろうは、ここ!」
「ここ!って・・・」

俺のワイシャツのポケットの中に入れた。

「今はここ」

よく意味が分からないが、都度移動させるらしい。

「着替えたいんだけど?」
「せやったら、ここ」

机の上に、チョコンとせいじゅうろうを乗せた。

(No.524-2へ続く)

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[No.523-2]気の早い桜

No.523-2

「それにしても、まだ早いよね?」

動き出した車の中で、さきっきの光景を振り返った。

「そうね、確かに」

自宅の周辺に、ちょっとした桜の名所がある。
それを見る限り、そんな気配はまるでない。

「それにしても気が早い桜だね」
「でも、気付けてよかったじゃん」
「気付けて?・・・それもそうだね」

鮮やかに咲いていなければ気付かなかっただろう。
ましてやあの場所だ。

「主張したかったのかもしれないね」

誰よりも早く咲くことで、存在を知らしめたのかもしれない。

「・・・ねぇ」
「私もそう考えてたところ!」

なぜだか、お互い答えを言わなかった。
それでも答えは同じはずだ。
友人が車をUターンさせたからだ。
S523
(No.523完)
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[No.523-1]気の早い桜

No.523-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
信号待ちの交差点で何気なく、窓の外を見た時だった。

(ん?)

ひときわ目を引く“ピンク色”がそこにあった。

「ちょっと、あれ見て・・・」

視線の先を指差した。

「えっ・・・本物?」

あまりにも鮮やか過ぎて、作り物のように見えなくもない。

「・・・だと思う、地面から伸びてるから」

ただ、観賞用に植えられたような気がしない。
放置されている・・・そんな雰囲気が漂う。

「確かに場所が場所だもんね」

その桜はゴミ捨て場所のすぐ脇に植えられていた。

「ちょっと、かわいそうな気もするね」

ゴミの山に囲まれた桜が、不憫に見えた。

(No.523-2へ続く)

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[No.522-2]プレゼント

No.522-2

「プレゼントありがとう」

最近はもっぱらラインでやりとりしている。

「ホッコリすることも必要ですから」

それを贈ってくれた理由は、何となく分かってはいた。

「そうだね、今の自分に必要かも」
「結構、いいこと書いてあるもんな」

そのキャラクターが登場する自宅のカレンダーもそうだ。
毎月、格言めいたことが書いてある。
プレゼントされた本は、まさしくそれを目的としたものと言える。

「そうなんだよね、偉人の格言じゃなくて・・・」
「リラックマ・・・だもんな」

時には偉人を超える格言も少なくない。

「とにかく、ありがとう・・・気遣ってくれて」
「でも、お返しはキッチリ頂きますよ!」
「え、えっ~!?」

1ヵ月後、キッチリ、お返しをした。
元気を取り戻した自分の姿を見せることによって。
S522_3
(No.522完)
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[No.522-1]プレゼント

No.522-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
バレンタインデーにしては遅い。
だからと言って、3月中旬の誕生日にはまだ早い。

(何かな?)

多分、仕事に関係するものではないだろう。
根拠は無いが、経験上そう思えた。

「結構重いな・・・」

包装紙を開けていないので中身はまだ分からない。
ただ、見た目よりも重く感じる。

「今まではお菓子だったよな」

限定商品の発売に伴い、時々送られてきた。
お菓子の場合は逆に、見た目よりも軽い。

(とにかく開けてみるか・・・)

一応、周りの目を気にしながら包装紙を開けた。
色んな意味で“万一”ということも有り得るからだ。

「・・・ん?」

そこに、見慣れたキャラクターが現れた。
彼女から送られてくるとは想いも寄らなかった。

(No.522-2へ続く)

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[No.521-2]奥の細道

No.521-2

「ところで、なんで怒ってるわけ?」
「そ、そうだった!」

ついさっきも出た、新参者との攻防が昨日もあった。

「明らかに私の場所に置いてるのよ!」

盗難防止のチェーンも置いてある。
だから、その場所に先客がいることはわかるはずだ。

「頭に来たから、思いっきり、よけてあげたわ」
「・・・ここは私の場所!ってね」

そうこうしながら、ようやく今の場所に落着いた。

数日前から少し気になっていた。
あれだけの攻防を繰り返して来た駐輪場に空きが目立ち始めた。
特に私の隣に至っては、今は一台も置かれていない。

(・・・もしかして)

最近、引越しの車を見掛けることが多くなった。
おそらく、時期的にもそれが大きな理由だと思う。

「もう居ないんだ・・・」

なぜか、急に寂しさを感じた。
ふと、松尾芭蕉が詠んだ句を思い出した。
S521
(No.521完)
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[No.521-1]奥の細道

No.521-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
(・・・減ってる?)

それが確信に変わったのは数日後だった。

「ほんと、頭にきちゃう!」
「ど、どうしたの!?朝から・・・」
「昨日さぁ・・・」

住んでいる賃貸マンションの駐輪場での出来事だった。

「盗まれたの!?」
「それはあなたでしょ・・・」

いつも同じところに駐輪している。
でも、場所が決められているわけではない。

「早い話、どこに置いてもいいんだけど」
「ほら、暗黙の了解というか・・・」

みんな決まった場所に置く。

「引越してきた当初は苦労したわ」
「ある日、見慣れない自転車が・・・というパターンね」

友人の言う通りだ。
新参者扱いで、居場所を確保するまでしばらく彷徨った。

「逆に同じ新参者に追い出されたことも」

そんな情けないこともあった。

(No.521-2へ続く)

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