[No.350-2]どしゃぶりの雨の中で
No.350-2
「女子とは思えない行動ね」
確かに小学生の男子並みの行動だ。
「その発言、小学生の男子を敵に回すよ!」
とは言え、わんぱく少年そのものだ。
「それで?」
「・・・それで?って言われても・・・話は以上だけど」
「嘘付いてない?」
「嘘?・・・全部、ほんとだよ!」
事実、どしゃぶりの雨に降られて、それはもう・・・大変だった。
多少の脚色はあったとしてもだ。
「さっき話の最後になんて言ったっけ?」
「最後?・・・“もういいや”だけど」
明らかに何か言いたそうな顔をしている。
「“もういい”のは、雨に濡れること?それとも恋?」
「・・・そ、それは」
「私もね、したことあるんだ、同じこと」
聞けば、あえてどしゃぶりの雨を選んだと言う。
失恋の痛手をもっと自分を惨めにさらすことで乗り越えようとした。
「雨と一緒に苦しみも」
「・・・流れてしまえ・・・か・・・」
前の恋を今でも引きずっているのは事実だ。
無意識にどしゃぶりの雨に降られることを選んだのかもしれない。
「いずれにせよ、雨は避けるだけじゃなくて」
「たまには降られるのも良いかもしれない」
ただ、少し心配になった。
雨に苦しみや悲しみが混じっていることを考えたら・・・。
「大丈夫よ!地球には浄化作用があるからね」
(No.350完)
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