[No.300-2]天空のホタル
No.300-2
「それはそうと星って、昔から色んな人を照らして来たんやろな」
「そうだね、今の僕らのように」
加えて、星の輝きは目印にもなる。
輝く光で数多くの人を導いても来たはずだ。
「みちびく?」
「ほら、実用的なものだけじゃなく・・・」
光り輝く星は、まず方角として人を導く。
「それに・・・心情的にもね」
占いを代表とする、神秘的なシンボルとしても人を導く。
「逆もあるやん」
「逆?」
「惑わすこともあるやろ」
確かに、たかが星占い、されど・・・という面もある。
「うちは、そんなに光ってなくてもええねん」
そう言うと、夜空を指差す。
どこかの星を指差しているように見える。
「・・・どれ?名前は?」
「名前・・・は、やね~」
そう言うと、夜空を差していた指を、フラフラと動かし始めた。
そして、その指を僕の目の前で止めた。
「ほい!ホタルの光、みっけ!」
「小さな光やけど、うちにとっては一番や!」
照れくさい言葉に、今だけは赤く光ってるのかもしれない。
(No.300完)
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