お知らせ

『冬のホタル』に、ご訪問頂きありがとうございます
道端の石ころも、磨けば宝石に負けないくらいの輝きを生むことだって・・・そんなブログです。

小説の楽しみ方について
・文字の色は話の牽引役が黒、その相手は茶、その他の登場人物が居る場合は適当に色を付けています。
・「話の牽引役」は主人公ではなく物語を“引っ張る人”です。つまり、一人称小説における語り手になります。
・登場人物は =男性 =女性 を表しています。
マークは現時点から時間や場所の変化があったり、回想シーンに入った時や戻って来た時にも挿入しています(No.200~No.359までは、マークを使用)
マークはNo.200より対応、これ以前は未対応です。

「ホタル通信」について
・2010年01月からスタートさせたコーナーで掲載済み小説の舞台裏やエピソード、作者の想いなど紹介しています。
・小説の実話度に応じて、0%~100%の表示と「★マーク」を付けています(★ひとつの実話度は20%)
・小説の牽引役が語り手となり作者を代弁しています。

「せいじゅうろう」シリーズについて
・せいじゅうろうとは菜緒(なお)が名付けたリラックマの名前。
・彼女と彼?が繰り広げる、なんとも愉快な日常。そしていつもそれに巻き込まれてしまう“俺”・・・。

2023/11/17 
本日より掲載を再開します。
2023/11/11  
都合により11月11日~11月16日までお休みします。再開は17日を予定しています。

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[No.1227-2]どぶ掃除

No.1227-2

「小川はまだあるの?」
「あるよ、でも・・・」

小川の幅は狭くなり、逆に道は広がった。
元は、車一台がやっとの道だった。

「どぶ掃除の必要もなくなって」
「本来の小川に戻ったのかもな」

でも、ちょっと寂しい気がした。
理由は自分でもよく分からないけど。

「それが最近、また狭くなって」
「小川そのものが消えようとしてる」

実家の周辺も環境が大きく変わった。
昔の面影はその小川だけだったのに。

「それは残念ね」
「だから、思い出すんだよ」

町内総出でどぶをさらう。
今では考えられない光景がそこにあった。

「綺麗な川もいいけど」
「生活感のある川も・・・」

環境には優しくはない。
それを分かった上での発言だ。

「・・・でも、分かるな、その気持ち」
「俺も年を取ったってことかなw」

つまらないことほど、よく覚えている。
J1227
(No.1227完)
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[No.1227-1]どぶ掃除

No.1227-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「どぶ掃除って知ってる?」
「・・・何となくわかるわよ」

実家に向かう道沿いに小川が流れていた。
道沿いゆえにコンクリートの川が。

「子供の頃さぁ・・・」

1年に1度、その川を掃除していた。
つまり、どぶ掃除だ。

「どぶ・・・って最近聞かないよね?」
「確かにな」

当時、生活排水を流してたと思う。
土地柄、下水が整備されていなかったからだ。

「だから、まさしく“どぶ”だったんだよ」
「小川と言えば聞こえはいいけどなw」

川底のヘドロをスコップでさらい、道路に広げる。
これを延々と続ける。

「どれくらい?」
「50メートルくらいかな」

だからと言ってこれが嫌いだったわけじゃない。
これも一種の町内のイベントだった。

「今もやってるの?」
「ううん、もうやってないよ」

実家を離れてから数年後に下水が整備された。
同時に“小川”の役目も終わることになった。

(No.1227-2へ続く)

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[No.1226-2]置き土産

No.1226-2

「それより早く追い払ってよ」
「・・・ったく」

まぁ、虐待するわけじゃないからその点は安心だ。

「分かったよ」
「あまり驚かしちゃダメだよ」

矛盾しているとも言えるセリフが聞こえた。
それが彼女の良いところでもあるが。

「はいはい」
「ちょっと待ってて・・・」

驚かさないようにごく自然にドアを開ける。
すると、スズメは一目散に飛び去ってしまった。

「・・・飛んでったよ」
「そう!ありがとう!」

毎日とは言わないが頻繁に飛んでくる。
そして、ベランダの手すりの上で休んでいる。

「ここ7階だろ?」
「彼らにとってはオアシスなんじゃないの?」

猫に襲われる心配も人間にイタズラされることもない。
ただ、ひとり彼女のことを除けば。

「何だか私が悪者に聞こえるんだけど?」
「かもしれないなw」

まぁ、彼らのことだから懲りずにまた来るだろう。

「彼らだって感謝してるんだよ」
「その証拠に、置き土産がおいてあるからw」

小指のつめの先程度の“フン”という名の置き土産が。
J1226
(No.1226完)
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