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[No.905-2]ぼっこ

No.905-2

「仕方ないぁ・・・」
「聞き耳を立ててごらん」

彼が私を軽く引き寄せる。

「ほら、彼女たちの話・・・」

どうやら観光のために、ここを訪れているようだ。
冷静になってみれば、スーツケースだって持っている。

「・・・あっ!」
「だろ?」

彼が言った“言葉”の意味が分かった。

「道産子?」
「・・・多分な」

その言葉に混じって、ローカルな話題も出ていた。

「私も久しぶりに聞いたよ、その言葉・・・」

もう何年間も口に出したことがない。

「俺らも、こっちの言葉に染まっちゃったからな」
「・・・そうね」

忘れたつもりも忘れるつもりもなかった。
けど、結果的にそうなってしまった。

「二人でいる時くらいは、昔に戻らないか?」
「私も同じ考えよ」

そう言えば彼と知り合うきっかけもこの言葉だった。
S905
(No.905完)
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