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2018年9月

[No.872-2]雨男の彼女だけに

No.872-2

「あの時・・・」

僕が家を出た瞬間、空模様が急激に変化した。
それまでは、そこそこ晴れていたのに。

「やっぱり!」
「なんだよ・・・その“やっぱり!”って」

予想された反応だけど、あっさりと認めたくない。

「だって・・・」
「時間的にそうなんじゃないかって思ってた」

待ち合わせの時間から逆算すればそうなるだろう。

「あの天気の変わりようだもん!」
「あなた以外に考えられないよ」

もちろん、単なる偶然に過ぎない。
ただ、状況によっては自信を失うこともある・・・今回のように。

「うぅ・・・」

特にゲリラ豪雨だっただけに、雨男が際立ってしまった。

「ごめん・・・俺のせいじゃないけど」

おかしな謝罪になった。

「相当、濡れただろ?」

自分自身もズブ濡れになってしまった。
自分が呼び寄せた雨に濡れた・・・何とも笑えない結果だ。

(ん?・・・いや、待てよ・・・)

全くと言っていいほど、彼女は濡れていなかった。
S872
(No.872完)
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[No.872-1]雨男の彼女だけに

No.872-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・」

久しぶりに、その力を発揮したような気がする。

「また、台風が来てるんだって!」

今年は台風やら大雨やら、何かと物騒だ。

「僕のせいじゃないぞ」
「そうなの?」

軽くイジられている。

「あのね・・・」

今年は出掛ける前に、雨が降っていることが多かった。
そのため、“雨男”にならずに済んだ。

「だって、最強の雨男でしょ?」
「おいおい・・・」
「冗談よ、冗談!」

僕にはとても冗談に聞こえない。
多少、やましい気持ちもあるからだ。

「まぁ、強く否定もできないけど・・・」

つい最近も雨男の所以たる出来事があったばかりだ。

「デートの日、大雨降ったよね?」

いわゆるゲリラ豪雨だ。
自分が住んでいる一帯が局地的な豪雨に見舞われた。

「あれ、凄かったよね!」

彼女も、近くに住んでいるから知っているはずだ。

(No.872-2へ続く)

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[No.871-2]思い付かない選択肢

No.871-2

「さて・・・と・・・」

まず、ページ数を確認する。
この時点で、弱腰の自分が見え隠れしている。

「20ページ読んだとしたら・・・」

それでも、10日ほど掛かる。
ただ、あくまでも毎日読んだ場合だ。

「う~ん・・・・」

うなってみても始まらない。
けど、うなりたくもなる。

「とにかく・・・毎日、少しでも刻んで行こう!」

1ページだけでも刻んで行けば、いずれ読み終えられる。
長い道のりだけど、今日から始めよう。

「じゃあ、記念すべき1ページ目は・・・」

あれから、約3週間が経過した。
何とか予定通りに読み終えることができた。

「明日の社内便で送り返すね」
「うん、わかった」

実用書だけに、知識の幅が広がった気がする。
頑張って読んだ甲斐があった。

「勉強になったよ」
「ちゃんと読んだのね、偉い偉い!」

(・・・そうか!)

“読んだふりをする”という選択肢を思い付かなかった。
S871
(No.871完)
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[No.871-1]思い付かない選択肢

No.871-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「えっ!・・・そ、そうだね」

予期せぬ展開になってきた。

「じゃあ、社内便で送りますね」

大したことじゃない。
でも、まるで学生時代に戻ったかのようだった。

「2~3週間、借りてて大丈夫?」

最近、本らしい本を読んでいない。
そのため、読破するのに慎重になった。

「全然、大丈夫ですよ」

それに夜遅く帰宅してから本を読むのは至難の業だ。
格好の睡眠薬になるからだ。

「ありがとう」

彼女が最近読んだ本の話をしてきた。
その話に何となく付き合っていた。

「じゃぁ、楽しみに待ってる」

その割には、調子良く答えてしまった。
大袈裟だけど、罪の意識を感じずにはいられない。

(・・・とは言え、読むのは大変そうだな)

小説ではない、いわゆる実用書だ。
それも、全くの専門外だ。

「ふぅ~」

話がついた後、何とも表現しがたい感情が表に出た。

(No.871-2へ続く)

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ホタル通信 No.375

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.433 3つの願い事
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

うそのような本当の話です。今でも少し、神秘的な力を信じてい
ないわけではありません。

ただ、事実はこうです。一度に3つの願い事をしたのではなく、
毎年1つ願い事していました。毎年と言っても、具体的なお願い
をしたのは2年、つまり2回だけでした。
そして、その2回の願い事がほどなくして叶いました。ひとつ目が
「自転車が欲しい」、ふたつ目が「あの人と付き合いたい」でした。
これは小説の通りです。

願いが叶ったことは、もちろん単なる偶然です。冒頭、神秘的な
とは書きましたが、本気でそう思っているわけではありません。
ただ、どちらも自分の力だけで叶うものではなかっただけに、当
時は結構、信じていました。
実はこれに味をしめて、3回目の願い事をしようかと計画は立て
ていました。そう遠くない場所にあったので、その気になれば年
1回とは言わず、毎日通うことも可能です。でも、そこは信心深く
ない私でも“ずうずうしい”と感じていたので、年1回にかけること
にしました。

で、その3回目ですが、結局、そこを訪れることなく、私は実家を
離れました。3回目の願い事も女子には在りがちな内容ですが、
あえて隠しておきます。
T375

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[No.870-2]宇宙人の話

No.870-2

「結構、覚えてるじゃん!」

その宇宙人から地球を守るのが私達の役目だった。

「そうそう!それに悪い宇宙人と言えば・・・」
「火星人?」

彼が驚いた顔をしている。

「良く知ってるね!?」
「逆に金星人なんかは良い宇宙人」

設定が、火星人だったのを覚えていたからだ。
それに当時の子供向けの科学雑誌もそんな感じだった。
侵略してくるのは、もっぱら火星人だった。

「あくまでもイメージだけどね」

ただ、このイメージが今でも根付いているのかもしれない。

「火星人にしてみれば、迷惑な話ね!」
「・・・だよな!」

もし、本当に居たら・・・の場合だが。

「ねぇ、もし、本当に宇宙人が侵略してきたら」
「あの時のように、私を守ってくれる?」

怯える私を、宇宙人から守ってくれた。

「・・・まぁ、もし、そうなったら・・・な」
「うん・・・」

宇宙人の話も、たまには悪くない。
S870
(No.870完)
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[No.870-1]宇宙人の話

No.870-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
彼が大きくうなづき始めた。

「・・・だよな、確かに」
「テレビでなにか言ってたの?」

さっきからテレビに釘付けになっている。
逆に私は全く興味がない。

「ほら、宇宙人ってさ・・・」

どうして男子は、宇宙人とかが好きなんだろう。

「・・・でね・・・の場合・・・」

話が理解できないわけじゃない。
でも、話半分どころか、ほとんど入ってこない。

「宇宙人のイメージってさ、“タコ”だよね」
「・・・たこ?」

何のことだが、ピンと来ない。

「・・・ごめん、ごめん、ほら、宇宙人と言えば」

タコのように足が何本も生えているイメージと言う。
確かに・・・言われてみれば何となく記憶に残っている。

「ほら、僕らが幼稚園に通ってた時・・・」
「・・・あぁ!あれね」

何かの時間に、先生が宇宙人の恰好をした。
その姿が、タコのようだったことを思い出した。

「色は・・・緑だったかな?」

地球を侵略に来た、悪い宇宙人の設定だっだと思う。

(No.870-2へ続く)

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[No.869-2]敏感なのか鈍感なのか

No.869-2

「あの時計は・・・だし、微かな香水も好印象ね!」

偶然近くにいたのか、近づいたのかはあえて聞かない。

「でも、悩み事でもあるのかな~?」
「どうしてですか?」

先輩曰く、時より、険しい表情を浮かべていたらしい。

「よく気付きますよね!?」
「でも、目は燃えてたわよ!」

どうやら、相当近い距離に居たようだ。

「そ、そこまで・・・」
「何か大きな仕事を任されてるんだわ!」

普通の人なら、単なる妄想で終わる。
でも、先輩の場合、あながちそうとも言えない。

「カバンからすると営業ね」
「良い感じに使い込まれてるから」

観察力と言うか、何かを敏感に感じ取る能力は高い。
逆にこれがなければ、単に面倒な先輩で終わる。

「彼女は・・・多分いないね」
「それまで分かるんですか!?」

何度も言うが、何かに“気付く”ことに長けている。

「明日もイケメンを見つけるぞ!」

ただ、そのわりには、ウンザリしている私には気付いてくれない。
S869
(No.869完)
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[No.869-1]敏感なのか鈍感なのか

No.869-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「・・・でね、それでさぁ・・・」

興味がないわけではない。
でも、何度も同じような話をされると正直うんざりする。

「ん?興味ない?」
「えっ!?ど、どうかな~」

(あ、あぶない・・・)

見透かされているみたいだ。

「ないわけじゃないですけど・・・」
「でしょ~!」

この決めつけ感がすごい。

「今日のイケメンは、俳優で例えるとね・・・」

週3ペースで、イケメン報告をしてくれる先輩が居る。
主に通勤途中に出会ったイケメン。

「・・・似、かな?」
「そ、そうなんですね」

先輩だけに、無視するわけにはいかない。
それどころか、逆に話に“乗る”必要がある。

「私も見たかったなぁ~」
「でしょ、でしょ!!」

さらに、ノリノリになってきた。

「結構、いいとこの会社に勤めてるわよ」

いつもながらその観察力には目を見張るものがある。

(No.869-2へ続く)

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ホタル通信 No.374

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.402 前方後円墳
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

当ブログの小説は、決して悲しい涙で終わることはありません
が、この作品に関して言えば、ややしんみりムードです。

かなりピンポイントな話題ですが、今でも鮮明に覚えています。
社会のテストでそれが出題され、結構、自信を持って“かぎ穴”
と答えました。
その後、先生からフォロー?みたいなものがあって、その時に
それが“前方後円墳”だと言うことを知りました。もちろん、初め
て聞く言葉でした。ただ、小説に書いてある通り、私が聞き逃し
ていた可能性も否定できませんが、古墳そのものが授業に登
場しなかった記憶が残っています。つまり、何の情報も与えら
れずにテストが行われました。

ところが・・・みんな知らないはずなのに、正しい答えを書いて
いる人が結構いました。確かに、テレビや雑誌などを見て知っ
ていたのかもしれませんが、その顔触れは、塾に通っていた
人たちばかりでした。私の友人もそうでしたから、余計に印象
として残っています。
この時、子供ながら、かなりショックを受けましたし、相当な距
離も感じました。昔は今ほど過激ではありませんでしたが、振
り返るとこの辺りから学力に差が付き始めるんでしょうね。

大袈裟ですが、競争社会に飲み込まれて行くそのプロローグ
を描いた小説かもしれません。ですから、冒頭に書いた通り、
どこかしんみり感が漂っているのかもしれませんね。
T374

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[No.868-2]むぎむぎ

No.868-2

(さて、そろそろネタばらしと行くか・・・)

ドッキリとは言えないが、似たようなシチュエーションだ。

「毎日、むぎむぎを作ってくれるの?」
「そうだよ!愛されてるわぁ~」

全く気付いていない。
それどころか、ますますノリノリになっている。

「私にも、愛情を分けてよ?」

それらしく友人のマイボトルに手を伸ばした。

「だ~め!いくら親友でも、このむぎむぎだけはダメ!」
「もう!ケチね!」

ここまで持ち上げておけばいいだろう。

「だって、愛情タップリのむぎむぎなんだもん!」

(今だ!!!)

「ところで・・・“むぎむぎ”ってなに?」
「えっ!?あっ・・・」

友人の顔が真っ赤になった。

「・・・で、どっちが言い出したの?」
「彼・・・のほうかな?」

無意識のうちに、彼の口ぐせが移ってしまったようだ。
そんなふたりの姿が目に浮かぶ。
S868
(No.868完)
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[No.868-1]むぎむぎ

No.868-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ふぅ・・・生き返るよぉ~」

友人がマイボトルで何か飲んでいる。

「やっぱり、夏は“むぎむぎ”ね!」

(・・・むぎむぎ?)

でも言葉の響きと状況から判断すれば、容易に想像できる。
おろしろそうだから、しばらく泳がせておこう。

「始めたの?マイボトル」
「うん、今年は猛暑だったでしょ?それに・・・」

猛暑にあわせてマイボトルデビューを果たしたらしい。

「なにか言いたそうね?」
「分かる!?プレゼントされたの、彼から!」

なるほど・・・目の前で飲んで見せたのはそういうことらしい。

「うらやましいなぁ~」

しばらく泳がせておくために、さりげなくご機嫌をとる。

「それに・・・むぎむぎも作ってくれるんだ!」

まだまだ我慢だ。
ここで突っ込んではいけない。

「やさしいね」
「でしょ?」

友人には同棲している彼氏が居る。
だから、むぎむぎを作ってもらっているようだ。

(No.868-2へ続く)

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[No.867-2]モンブラン

No.867-2

「なになに!?」
「ごめん!モンブランというのは・・・」

ケーキではなく、アイスクリームの商品名だ。

「アイス?」
「うん、多分、ローカルの」

小さい頃に帰省先でしか食べたことがない。

「・・・確かに聞いたことも食べたこともない」

ただ、その会社の名誉のために言っておきたい。
あくまでも個人の感覚だ。

「それがさぁ、何とも美味しくて・・・」

まず、パリッとした触感が印象的だ。

「気を抜くと、そのコーティング部分が落ちちゃうんだよね!」
「一人で盛り上がらないの!」

完全に友人を置き去りにしてしまった。

「もう少し詳しく教えなさいよ!」

食いしん坊の友人が食いついてきた。
とは言え、私の記憶も曖昧になっている。

「あぁ~、もう頭から離れないよ!」

友人の中では、もはやモンブランはケーキではなくなったようだ。
S867
(No.867完)
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[No.867-1]モンブラン

No.867-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、モンブランって知ってる?」

友人が怪訝そうな表情で私を見つめる。

「失礼ね!スイーツにうとい私でも、さすがに知ってるよ」
「特にこれからが美味しい季節だよね」

(これからが美味しい?)

どちらかと言えばシーズン真っ盛りは過ぎている。

「そうかな?」
「まぁ、北国では・・・」

それ系は夏よりも冬の方が、売れ行きが良いと聞いたことがある。

「北国?」
「場所はあまり関係ないと思うけど・・・」

何だか話が噛み合わない。

「関係あ・・・」

途中であることに気付いた。
肝心な部分を話していない。

「ごめん・・・共通語みたいにしゃべっちゃった」
「・・・共通語でしょ?モンブランって?」

逆に“方言ってあるの?”とでも言いたげな表情だ。

「ちょ、ちょっとタイム!」

自分から話題を振っておきながら、強引に割って入った。

(No.867-2へ続く)

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ホタル通信 No.373

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.464 ぶたカバン
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

当ブログのテーマと言える“日常”を描いたお手本のような作品
です。日常だけど今でも鮮明に覚えています。

いつの頃からか、カバンをペシャンコにするようになりました。
他の学校がどうであったか分かりませんが、少なくとも私たちの
学校は、それが一種の伝統でした。
先輩から後輩へ、ごく自然に伝染して行ったのでしょうね。気付
けば私もそうしていました。ペシャンコをキープするために、クり
ップで挟んだり、重しを載せてクセ付けしたりしていました。
ペシャンコのカバンですから、ノート程度しか入りません。でも
お弁当は毎日、持参していました。では、そのお弁当は・・・。

答えは簡単です。カバン以外に入れ物を持ち歩いていたからで
す。とは言え、当時と今とでは流行?が異なり、私たちの時代は
紙袋が主流でした。紙袋に諸々を入れ、カバンはペシャンコにす
る、これが定番でした。
ただ、振り返ると、化粧メーカーやブランド品のコンパクトな紙袋
ではなく、それこそ“ザ・紙袋”のような、大きめのサイズを持ち歩
いていました。今の若者すれば、ダサいと言われ兼ねません。
実はこの紙袋にスポットをあてた小説も書いているんですよ。よ
ければ探してみて下さい。

ラストはお決まりの、何となく良いことを言い放って締め括ってい
ます。手前味噌ですが、よくもまぁ、ぶたカバンのテーマでそれな
りに締め括れたなと感心しています。
T373

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[No.866-2]茜色の空

No.866-2

そもそも家を出るのが遅かったのが真の原因だ。
ある意味、電車は“隠れ蓑”になっている。

「本当は・・・」
「電車が遅れなくても・・・」

罪の意識を感じる、大袈裟だけど。

「・・・間に合わなかった?」
「うん・・・」

あえて言わなくても良かったのかもしれない。
丸く収まっていたのだから。

「バカ正直ね」

いずれにせよ、今日は遅れて来る運命にあったようだ。

「だから、ごめん!」
「そこまで言うなら、いちおう怒っておこうかな?」

そういうと、僕の頭をコツンと叩いた。

「はい、これで終わり!」
「じゃ、どこに食べに行こうか?」

彼女とディナーの約束をした。
でも、あえて予約をせず、成り行きに任せることにしていた。

「そうだな・・・」

何となく、魚介系が食べたい気分だ。

「偶然!私も、そう!」
「じゃ、あの店で決まりだね」

茜色の空には、絵にかいたようなうろこ雲が広がっていた。
S866
(No.866完)
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[No.866-1]茜色の空

No.866-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「ごっ、ごぉめん!!」

約束の時間より1時間近くも遅刻してしまった。

「ほんとにごめん!」

電車が大幅に遅れたのが原因だ。

「大変だったわね?」
「・・・怒ってないの!?」

拍子抜けするほど、落ち着いた対応だった。

「だって、あなたのせいじゃないでしょ?」
「う、うん・・・」

ただ、手放しでは喜べない。
家を出た時間も決して早くはなかったからだ。

「ごめん、もう少し早く家を出てたら・・・」

電車の遅れに巻き込まれることもなかった。

「それは結果論」
「いつも最悪の事態を想定しておくわけにもいかないでしょ?」

彼女にしては、珍しく冷静な発言だった。

「それに、今まで遅れてきたこともないからね」

今までの信用も大きいようだった。

「だから、別に気にしてないよ」

とは言え、どうもすっきりしない。
電車の遅れがなくとも、間に合わなかった可能性があるからだ。

(No.866-2へ続く)

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[No.865-2]彼との出会いも

No.865-2

「で、ある時、偶然その曲の“先”を聞いちゃったんだ」

FM放送だったと思う。
店内に、その曲が流れ始めた。

「別に耳をふさぐ理由もないから」
「そりゃそうよね」

特に意識もせず、聞いていた。

「そしたら・・・」
「もしかして・・・いい曲だったとか!?」

私が言うまでもなく、友人が先に答えてくれた。

「そう!すごくいい曲で」

触手が向かなかったイントロさえ、そう感じるようになった。
そうなると、“いい曲感”が止められない。

「言わば、食わず嫌いだったみたい」
「でも、その時々の心境も影響するんじゃない?」

友人にしては珍しく良いことを言った気がする。

「そうね・・・それはあるかもしれない」

いずれにせよ、時々、こんな経験をする。

「私と彼の出会いもそんな感じだったなぁ!」
「・・・聞いてないし!!」
S865
(No.865完)
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[No.865-1]彼との出会いも

No.865-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
つい最近も経験した。
私の中では、“音楽あるある”だと思っている。

「ねぇ、こんな経験ない?」

誰かに話さずにはいられない。
いや、どうしても聞いて欲しい。

「どんな?」
「この前、アルバムを聞いてたんだけど・・・」

かなり昔に買ったものだ。
CDだけど、それこそ擦り切れるほど聞いている。

「いつも飛ばす曲があって」

好きなアーティスでも、好みの曲ばかりではない。

「へぇ~そうなんだ?」

そんな曲は、大抵イントロを聞けば分かる。
さらに歌い始めればそれが確定する。

「だから、最後まで聞いたことがない曲があるんだ」

自分でも不思議に思うくらい徹底している。
強情と言うか、頑固と言うか・・・。

「もしかして、それが“あるある”?」
「ううん、違うの」

この話にはまだ先がある。

(No.865-2へ続く)

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ホタル通信 No.372

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.481 電話の向こうで
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

その昔、あるところに、ひとりの女性が勤務していました。
その人は無愛想で有名な方でして・・・。

仕事で事務所に立ち寄るまでは、彼女とは面識がなく、ごく
稀に電話する程度の関係でした。面識と言っても対面した
わけではなく、「彼女が例の人か・・・」と、腫物を触るかのご
とく遠くから見ていたのが実情です。
噂通りの無愛想な方で、事務的とはまた違う感じでした。悪
く言えば高圧的に感じるし、要件が上手く伝えられないと「で、
結局何が言いたいの?」と、逆ギレされそうな感じもあります。
経験と先入観から、ますます電話するのが苦手になり、そん
な心の内が、相手にも届いてしまう・・・という、まさに悪循環
の見本のような関係でした。

そんな時、彼女から思わぬ言葉が発せられました。当時は
深くは考えなかったのですが、今思えば、なぜ僕のことを知
ってたのか、不思議です。
事務所に立ち寄った時も、自己紹介したわけでもなく、「○月
○日に○○さんが来る」程度の情報しかなかったはずです。
確かに、見掛けない顔の人が居ればその人を僕と思うかもし
れません。でも、電話口では「もしかして来ましたよね?」で
はなく「来てたでしょ?」と言われています。

他の人に「あの人、誰?」と聞いている可能性が濃厚ですが
それでも、少しでも興味を持ってくれたことで彼女との距離が
少し縮まったような気がしました。
そんな彼女は、今、比較的近い距離で仕事をしています。
T372

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[No.864-2]いつの頃からか

No.864-2

特に7月に入ってからは、毎日、届くようになった。

「まぁ、今年は猛暑だったしな」

猛暑に関して過去形ではなく、進行形とも言える。
とにかく、例年よりも早く夏が来たのは確かだ。

「これだけでも話題には事欠かないけど」

今年は良くも悪くも猛暑が話題になった。
お互いの気温を教え合うことも、今年ならではだ。

「ただ・・・」

別にその土地に居なくてもアプリで確認できる。
わざわざ、送ってくる意味は薄い。

「それにしても、いつまで届くのかな?」

そうこうしているうちに夏は終わり、冬がやって来る。
そうなると、今度は向こうが主役になる。

「もっと送られてくるかもな!」

さすがに冬場は勝ち目がない。

「来なきゃ来ないで寂しくもあるけど」

もしかしたら、そう思わせる高等テクニックかもしれない。

「とりあえず・・・明日も気温が上がりそうだな!」

いつしかそれを心待ちにしている自分が居る。
S864
(No.864完)
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