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2018年8月

[No.857-2]半々な気持ち

No.857-2

朝食時の出来事だった。
お皿の上に、パンがふたつ用意されていた。

「ひとつは好きだったパンで」

渦巻き状の形と小豆が特徴のローカルな菓子パンだ。
他では見掛けたことがない。

「嬉しかったな・・・覚えてくれて」
「その気持ち分かる!」

食感も味も変わっていなかった。

「けど・・・嬉しくもあり、悲しくもあり・・・と言うことは・・・」
「でね、もうひとつのパンなんだけど」

見た目は普通のロールパンだった。

「それで・・・パクついたわけよ」

すると、中に何やら入っていることに気付いた。

「もしかして・・・あの嫌いなやつ?」
「そう!」

バターのようなマーガリンのようなものが入っていた。

「嫌いなの、知っているはずなのに・・・」

でも、吐き出すこともできず、そのまま胃に流し込んだ。

「だから、嬉しくもあり・・・ってことね?」

結局、そのことは言えなかった。
でも、よくよく考えたら・・・。
S857
(No.857完)
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[No.858-1]洗濯ばさみの謎

No.858-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「これなに?」

彼女が僕のアルバムを見ている。

「なにって・・・ただの洗濯ばさみだよ」

彼女が言いたいことは分かっている。
わざと、とぼけてみた。

「そうじゃなくて・・・な・・・」
「“なんでこんなことしてるのか”ってことだろ?」

彼女じゃなくても、聞きたくなるだろう。
確かにインパクトはある。

「もう!いじわるね」
「ごめん、ごめん」

とは言うものの、実はその答えを持っていない。

「で、なんでこんなことしてるの?」
「・・・覚えていない」

その写真には僕と姉、そして近所の同級生が映っている。
皆、服を覆い尽くすほどの洗濯ばさみをくっ付けている。

「覚えてないの!?」
「うん・・・」

なぜ、そうしたのか・・・背景は覚えていない。
そもそも、そんな写真があることすら忘れていた。

(No.858-2へ続く)

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[No.858-2]洗濯ばさみの謎

No.858-2

「当時の流行りとか?」
「それはないな」

流行りについては、今でも鮮明に覚えている。
当時、いくつかの遊びや物がブームになった。

「さすがに、これは流行にはなかったよ」

色とりどりの洗濯ばさみが、キラキラ光っている。
それに負けない、三人の笑顔も輝いている。

「多分、何かの影響だとは思うんだけど」
「そうだろうね、子供のすることだもんね」

写真はこれ一枚きりだった。

「当時は、テレビの影響力が今以上にあったろうから」

何かを見てそれを真似たのだろう。
そう考えるのが妥当だ。

「でも不思議だよな」
「なにが?」

なぜ、こんな写真が残っているのだろう。

「ほら、写真を撮るためにこんなことをしたのか・・・」
「それとも、こんなことをしたから写真を撮ったのか・・・」

可能性としては後者だ。
写真を撮るだけなら、こんな手の込んだことはしないだろう。

「今で言う、インスタ映えでも狙ってたのかな?」
S858
(No.858完)
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ホタル通信 No.369

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.420 買えない自転車
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

事実となる出来事は小さいですが、思い出としてはかなり強く残
っていますので、実話度を少し高めにしています。

記憶にある限りでは、働きに出る前までに乗り換えた自転車は
3台です。最初の1台はもらい物か拾い物のどちらかだと思いま
す。それを塗り替えたのでしょうか・・・やけにペンキ感が強かっ
たことを今でも覚えています。
まだ、低学年ならいいのですが、高学年ともなると、その自転車
が恥ずかしくて恥ずかしくて・・・。同級生はアニメのキャラクター
の自転車だったり、カラフルで女の子らしい自転車だったりして
いましたからね。

ある日、とうとうそれに耐えられなくなり、それこそ号泣しながら
新しい自転車をねだりました。すんなりとは買ってもらえません
でしたが、何とか新品の自転車を購入することができました。
当時、自転車がどの程度の金額であったのか分かりませんが
決して安い買い物ではなかったと思います。でも、子供ですから
そんなことはお構いなしです。

家が裕福じゃなかったから・・・と言うことではなく、生活を切り詰
めるべき所は切り詰める、ただそれだけだったと思います。大人
になってようやくそのことに気付きました。小説のラストもこれで
締め括りました。両親への感謝を込めて。
T369

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[No.859-1]影響

No.859-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
自身のブログは、ある人の影響を受けている。
recycle
「ついに900話も夢じゃなくなったわね!」
「・・・別に数は目標にしてないけど」

数少ないファンの一人が友人だ。

「そうなの?」
「そうなの!私の中では結果に過ぎない」

少し、硬派を気取ってみる。
でも、その言葉に嘘はない。

「もしかしたら、明日にでも急に終わるかもしれないし」

だから、あえて目標は立てない。
日々、一歩一歩、前に進むだけだ。

「そう言えば・・・」
「ブログ始めた頃、よく訪問してくれてた人、居たよね?」

今も昔も訪れる人は少ない。
そんな中、開設当初によく来てくれるブロガーが居た。

「そもそもの繋がりは、ボトルメールだったかな?」
「懐かしいぃ~!久しぶりに聞いたわ」

確かに、久しぶりに口にした。

「ブログを始めた頃は、まだポリシーが固まってなくて」

試行錯誤を繰り返していた。

(No.859-2へ続く)

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[No.859-2]影響

No.859-2

「そんな時、彼女と知り合って」

彼女のブログの作り方がとても参考になった。

「参考というより、かなり似せちゃった・・・かな?」

お知らせのページを画面トップに固定する。
カテゴリなどがきれいに並ぶように番号を振る。

「トップページの雰囲気は彼女のページのまんまかもしれない」
「・・・性格が出てるよね」

確かに、キチンと並べたり、揃えたりしたい派だ。
当初、カテゴリが思う通りに並ばずに困っていた。

「彼女のページを見た時に」
「これだぁ!って、つい声が出ちゃったもん」

それから、ずっとそれを守り続けている。

「まぁ、はたから見れば、堅苦しく見えるかもね」
「でもさぁ、ここまでくれば圧巻よ」

このまま1000話まで行けるのか、私にも分からない。
本当に数を目指しているわけではないからだ。

「ところで、その彼女は?」
「止めたよ」

自然消滅ではなく、理由を告げ、ブログそのものを閉鎖した。
実はこの影響も大いに受けている。

「それって、“お休みのお知らせ”のこと?」
S859
(No.859完)
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[No.860-1]二代目のネコ

No.860-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
最近、見掛けなくなったネコがいる。
逆に、見掛けるようになったネコがいる。
recycle
「また、ネコと戯れてきたの?」
「えっ!?なんで分かるの」

同僚と会うなり、第一声がこれだった。

「そんなにたくさん、“毛”を付けてたら分かるよ」

慌てて全身を確認する。

「あっ!ほんとだ」

アチコチにネコの毛がまとわりついていた。

「時々、気にはなってたんだけどね」
「言ってよ!」

同僚曰く、言うタイミングがなかったらしい。

「今日は今までのネコと違うようね?」
「分かるの!?」

今日は驚きの連続だ。
確かに、いつものネコと違う。

「見てた?」
「あのね・・・私はあなたのストーカーじゃないわよ」

軽い冗談だ。
よくよく考えなくとも見ていたはずもない。

「毛の色が違うからね」

真っ白な毛がエアコンの風で、ふんわりとなびいていた。

(No.860-2へ続く)

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[No.860-2]二代目のネコ

No.860-2

「今までは茶色だったでしょ?」

確かに、あいつは茶色だった。

「今日は真っ白だし」

これまた確かに、あいつは白だ。

「最近、茶色のネコを見掛けなくなったんだよね」

それと入れ替わるかのように、今度は白いネコが現れた。

「それ以来、茶色のネコは見てないんだ」
「そう・・・それは心配ね」

縄張り争いにでも敗れ、去ってしまったのだろうか?
それとも人知れず寿命を全うしたのだろうか・・・。

「新天地で、よろしくやってるのかもしれないよ?」
「・・・それもそうね」

我々が思うほど、彼らはやわじゃない。

「で、白いネコはどんな感じなの?」
「それがさぁ・・・」

茶色のネコを白にしただけのような感じだ。
つまり、色以外は生き写しと言ってもいい。

「一言で言えば二代目って感じ?」
「それって・・・」

同僚が何やら考え始めた。

「本当に二代目ってことない?」
S860
(No.860完)
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ホタル通信 No.370

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.423 崩れた壁
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

当初、この小説は作ったもののボツにしていました。理由は簡単
です。余りにも自己満足な小説だと感じたからです。

硬派を気取れば、「読者に妥協せず我が道を行く」となりますが、
それでも公開をためらってしまう小説も少なくありません。出来栄
えの問題ではなく、着眼点があまりにも自分目線過ぎるからです。
ただ、小説上の私には崩れかけた壁が物理的なものではなく、家
族の崩壊として見えていました。
先に書いておくと、小説上の私は作者ではありません。つまり、他
人の心境を想像して書いています。とは言え、創作ではなく、事実
がもとになっています。

その他人が誰なのか、あえて書く必要もありませんよね。冬のホタ
ルではお馴染みの“彼女”です。崩れかけた壁が、彼女の言動を励
起させ、小説に仕立てました。彼女の言動がなければ書いていなか
ったと思います。
こんな小説ですが、拍手を5つもいただいています。「5つくらいで偉
そうに言うなよ」と怒られそうですが、当ブログでは大満足の数なん
ですよ。少なくとも5人の方々に共感していただけたと思うと、公開し
て良かった小説のひとつです。

実は、つい最近も一度ボツにした作品を復活させました。そう遠くな
い時期に掲載されますので、お楽しみに。
T370

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[No.861-1]褒められてる?

No.861-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「最初は、底が抜けちゃったんだよね」
「・・・なんの話?」

いつも唐突に話が展開する。

「鉄砲よ、鉄砲」
「はぁ?」

今日はいつにも増して、話が“ぶっ飛んで”いる
鉄砲だけに・・・。

「上手いこというね?」
「・・・それより、なに?」
「昔々・・・」

友人が延々と、鉄砲の歴史について語り始めた。

「・・・要するに、砲身の底が抜けたってこと?」
「そうそう!」

最初に作った鉄砲は、爆発の衝撃で底が抜けたらしい。
例えるなら、ワインのビンとコルクの関係だ。

「その失敗から・・・」

底の部分をネジ式にすることを思い付いたらしい。

「ネジ式だと、衝撃があっても簡単に抜けないからね」

大変、すばらしい話だ。
でも・・・。

「何なの、この話!?」

真昼間のおしゃれなカフェでする話とは思えない。

「あれ?三国志、好きだったよね?」
「そうだけど・・・」

(No.861-2へ続く)

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[No.861-2]褒められてる?

No.861-2

ただし、漫画版だ。
そこから、歴史は漫画で学ぶようになった。

「その話、本当なの?」
「何かの本で読んだ記憶があるんだ」

そう言われるとそんな気がしないでもない。

「う~ん・・・」
「あれ?歴史好きならたまらない話じゃない?」

確かに歴史は好きだ。

「好きだけど鉄砲って・・・なんなのさ?」
「鉄砲が歴史に与えた影響は大きいのよ!」

それは否定できない。
ただ・・・。

「いきなり鉄砲の話なんだもん・・・」
「だって、そんな気分だったからね!」

どんな気分になれば、鉄砲の話を思い付くのか。
心の中を覗いて見たくなる。

「歴史の陰に鉄砲あり・・・鉄砲の陰に歴史あり!ってことね」
「それらしくまとめるんじゃないの!」

まったく、友人の気ままな性格には呆れかえる。

「せっかくなので、調べてみるよ」

多少、興味をそそられなくもない。
とりあえず、持っている歴史の漫画を見直してみることにしよう。

「やっぱり、漫画みたいな歴史を持っている人は違うね~」
「・・・ん!?」

褒められてる?ディスられてる?
S861
(No.861完)
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[No.862-1]私にも見える

No.862-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
今時期、飛行機の中は、小さな子供連れが目立つ。
それもあってか、アチコチで泣き声が聞こえる。

「やっぱり気になる?」

彼女がおもむろに聞いてきた。

「・・・どうして?」
「だって、さっきから泣き声のする方をジッと見てるから」

そんなつもりはなかったが、どうやらそうらしい。
ただ、見ている先は鳴き声の“主”ではない。

「でも、“うるさい!”というわけじゃないからね」

場所が場所だけに、赤ちゃんは特に大変だ。
気圧の変化で、大人でさえ頭が痛い。

「ほんと、お母さんが大変だよな」

何とかあやそうとするも、そう簡単ではない。
誰かが泣くと、まるで連鎖反応のごとく、誰かが泣き始める

「あら、随分とやさしいのね?」

こんな時は、男はまるで役に立たない。

「母と言うか、女性は強いよなぁ~」

ひとり、ふたりと席を立つ人が目立ってきた。

(No.862-2へ続く)

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[No.862-2]私にも見える

No.862-2

「それと、もうひとつ・・・」
「なによ・・・神妙な顔しちゃって」

子供をあやすお母さんと彼女を重ねてみた。

「重ねて・・・?」
「・・・私がお母さん?」

彼女がキョトンとした顔をしている。
僕が彼女の立場だったら、そんな顔にもなるだろう。

「いや・・・その・・・ほら・・・」
「・・・で、重ねて見た結果はどう?」

今度は真剣な顔に変わった。

「えっ・・・うん、ピッタリ、重なった」
「そう!それは良かったわ」

ただ、言葉とは裏腹に、喜んでいるようには見えない。
今度は彼女が神妙な顔になってしまった。

「ごめん・・・なんか変なこと言って」
「・・・」

何も答えてはくれなかった。

「でも・・・」
「私には、あなたもあやしている姿が重なるけどな」
S862
(No.862完)
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ホタル通信 No.371

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.489 近くて遠い
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

何だかスッキリしない小説ですね。肝心な部分を隠したまま話が
進んでいますから。

小説的な狙いから隠したのではなく、正直に書けなかったのが本
音です。それに、ホタル通信で書くことも少しためらっています。
人物設定は実際とは真逆で、彼と小説上の私は反対の立場にい
ます。つまり、色々な事実を語るのが、“私”であり、その聞き役が
“彼”というわけです。ちなみに作者はこのどちらかです。これ以降
この立場で話を進めて行きますね。

私には結婚を前提にした彼がいる。彼と言っても、純粋な彼ではな
く、悪意を持って書けばある意味、彼に“飼われている”存在でした。
不自由でもないが自由でもない。逃げ出そうと思えば、いつでも逃
げだせる。でも、私自身、行くあてもない・・・そんな世界で生きてい
ました。
早い話、生きることを半分あきらめていたのかもしれません。そんな
中、聞き役の彼と出会ったのです。

この小説は、二人の距離が近づけば近づくほど、何かが遠のいて行
くさまを描いたものです。私に結婚を前提にした彼が居ること、そし
てもうひとつ、十代で結婚して、離婚の経験があること、これを聞き
役の彼に告白しました。
冬のホタルの原点とも言えるような小説です。こんな経験があった
からこそ、ブログを始めたとも言えます。
T371

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[No.863-1]今年の夏は

No.863-1     No.781-1  来年の夏も

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「それにしてもこの渋滞・・・何とかして欲しいよね」

友人の顔があからさまに不機嫌だ。

「仕方ないじゃん、お盆だもん」

広大な霊園にして、この車の量は半端じゃない。
さっきから全く動いていない。

「ようやく、バスに乗れたというのにねっ!」
「まぁまぁ・・・そう怒らないの」

送迎用のバスに乗り込むまでも大変だった。

「運転しない分、気楽でいいじゃん!」

特に帰路を急いでいるわけでもない。
それに、女性の運転手ということもあり、運転が丁寧だ。

「そう言えば、今年は何も起こらなかったわね?」
「・・・そうみたい」

不機嫌の原因は、多分、渋滞よりも、そこにあるのだろう。

「そりゃ、起こったら起こったで、アレだけど・・・」

毎年、共通の友人の墓参りに、ここを訪れる。
その時、必ずと言っていいほど不思議な現象が起こる。

「去年は、ちょうちょだっけ?」

墓参りの帰り道、一匹のもんしろちょうが寄ってきた。
まるで、私たちの歩調に合わせるかのように。

(No.863-2へ続く)

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[No.863-2]今年の夏は

No.863-2

「そう!あれは絶対彼女よ」

そう思い込むのも無理はない、場所が場所だけに。

「そう思いたいね」

友人もオカルト的なものを信じているわけじゃない。
そうあって欲しいと願っているだけだ。

「単なる偶然だったのかなぁ・・・」

一昨年は、ミツバチが供えた花に寄ってきた。
周りに、沢山の花があるのにもかかわらず。

「今年は彼女も忙しいんじゃない?」
「・・・そうかもね」

何となく場を繋いだが、そんなことあるわけがない。
それはお互い、分かっている。

「きっと、どこかで見守ってくれてるよ」
「そうね・・・そうよきっと!」

さっきまで不機嫌だった顔が明るくなる。
それに、そうこう話しているうちに、目的地に到着した。

「さぁ、降りるわよ」

その時、あることに気付いた。

「うそ・・・運転手の名前」

今年は運転手になって、私たちの前に現れた。
S863
(No.863完)
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[No.864-1]いつの頃からか

No.864-1

登場人物
shadow男性=牽引役
-----------------------------

相変わらず文字はない。
ただ、最近はスタンプでもない。
recycle
気になって、それの“最初”を探した。

「・・・これかぁ」

最初の日付は4月21日だった。
思っていた以上に、随分前から届いていた。

「気温は23度か・・・」

札幌にしては、例年の倍近い気温だ。

「これならLINEを送りたくもなるよな」

これを皮切りに、札幌の気温が届けられるようになった。
天気アプリで画面をコピーし、それをLINEに貼り付けている。

「僕もここからだな」

その返事として僕も画面をコピーして返す。
“数字”の上では、ほぼ負けることはない。
なにせ、ここは大阪だからだ。

「あはは・・・怒ってるよ」

僅差で負けた時は、怒りのスタンプが返ってきた。
もちろん、本気で怒っているわけではないが。

「でも、考えちゃうよな・・・」

どうでもいいようなLINEだとも思う。
それを送ってくれる意図がイマイチつかめないからだ。

(No.864-2へ続く)

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