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2018年6月

[No.845-1]すずめの親子

No.845-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「ちょっと、借りる」

反論する間もなく、食べているカレーパンの一部をもぎ取った。

「おいおい・・・」

理由は明白だ。
僕らの目の前に、すずめが二羽、寄ってきたからだ。

「ほんと馴れ馴れしいよな」

積極的に目を合わせてくる。
そんなハトはよく見かけるが、すずめは珍しい。

「かわいいやん!」

そう言うと、もぎ取ったパンを細かくして、足元に落とした。
当然、彼らがそれを見逃すはずもない。

「・・・あれ?」
「どうした?」

パンを突いているすずめを指さす。

「あれ、見てん・・・」

一羽のすずめが、もう一羽のすずめにパンを口移ししている。
よく見ると、移されているすずめは、体が一回り小さい。

「親子か!?」

そう考えるのが妥当だろう。
さっきから、頻繁に口移ししている。

「せやろな・・・」
「・・・」

急に、彼女のテンションが下がったように感じた。

(No.845-2へ続く)

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[No.845-2]すずめの親子

No.845-2

「ごめん・・・もしかして思い出させてしまった?」
「うん・・・ちょっとだけやけど」

彼女にとっての“親子”は、ある意味、タブーだ。
過去の嫌な記憶を思い出させてしまう。

「目の前で、こんなに仲良くされたらなぁ・・・」

すずめには罪はないが、想定外の展開になってしまった。

「それが普通やろ?それでええねん!」

彼女の純粋な言葉だろう。

「・・・だよな!」

つい、強い口調で返事をしてしまった。

「いつまでも仲良くするんやで!」

いずれ、子離れ親離れする日は来る。
知っていても、そう言わずにはいられなかったのだろう。

「・・・だな」

中途半端な返事になった。
でも、僕も彼女と同じ気持ちだ。

「お腹いっぱいになったやろか?」
「そりゃ、なっただろ?」

少し嫌味っぽく言った。
少ないながらも、カレーパンの一部を失ったわけだから・・・。

「じゃあ、借りた分、返すわ・・・ほいっ!」

彼女のカレーパンをちぎって、僕の口の中に押し込んだ。
さすがに口移しとは行かなかったが。
S845
(No.845完)
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[No.846-1]即・既読

No.846-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
以前、ある動画を見た。
その内容が、今、目の前で起きてしまった。
recycle
「ちょっと聞いてくれる!?」
「め、珍しいわね!?あなたの方からなんて」

いつもとは逆の立場だ。

「今思い出すだけでも恥ずかしい・・・」
「えっ・・・何したのよ?」

行為自体は、非常に小さい。
何かをした・・・というには程遠いほど、ささいなことだ。

「以前、LINEの“あるある動画”の話をしたじゃん?」
「あぁ・・・あの面白かったやつね」

LINEにまつわる“あるある”を再現した動画だった。

「女の子の演技が良かったよね~!」
「表情なんて最高・・・・って、おい!」

勢いで、ノリつっこみをしてしまった。

「もぉ!話が違う方向に行っちゃうじゃない・・・」
「・・・で、その“あるある”が実際に起きちゃって」

もちろん、“あるある”だけに、誰にでも起きる可能性はあった。
けど、実際起きて見ると、その恥ずかしさたるもの・・・。

「結局、何が起きたって言うの?」
「・・・たまたま・・・ね」

(No.846-2へ続く)

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[No.846-2]即・既読

No.846-2

ある男性のLINEを開いていた。
もちろん、ちゃんとした理由はある。

「好きだから?」
「ち、違うわよ!」

嘘じゃない。
好意はあっても、恋愛上の“好き”という感情ではない。

「まぁいいわ、続けて」
「以前、写真が送られて来てたのを思い出して・・・」

その写真が必要になった。
だから、彼のLINEを開いていた。

「そしたら、彼からLINEが来ちゃって」
「それって、もしかして・・・」

もしかしなくても、“即既読”というやつだ。

「LINEのやり取りの最中なら“あり”なんだろうけど」

それ以外なら、たまたまとは言え、誤解を招きかねない。

「狙ってた?」
「ま、まさか!」

それに関しては、完全に否定できる。

「で、彼の反応は?」
「・・・今までとなにも変わらない」

実は、こっちの方が、もっと恥ずかしかった。
S846
(No.846完)
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ホタル通信 No.363

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.349 眼鏡で背伸び
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

実話度が高い割には、全体的にギクシャクしています。上手に
事実を小説化できていません。

事実だけで小説が成立する時もあれば、かなり脚色しなければ
ならない時もあります。経験上、前者の場合が多く、実話度が高
い小説は書き上げるのにそんなに苦労はしません。ただ、時より
小説化しにくい“事実”があり、ほぼそのまま再現すると何がなん
だかよく分からない小説が完成します。
今回の小説もこれに該当します。事実とは言え、そもそもインパ
クトが弱い題材を取り上げたため、ギクシャクしているというより
「どうでもいい」ような内容に仕上がってしまいました。

もちろん、当ブログは日常と言う、至って普通で、どうでもいいよ
うなネタを小説風にしています。ですから、その趣旨には沿って
はいますが、前述した通り、テーマが弱すぎました。
脚色すればよかったのですが、脚色するネタも余り思い付かず
こんな感じに仕上がってしまいました。テーマが弱い分、アチコ
チで、説明調の文章が見られます。

ほぼ実話なので、買い替えの目的も小説の通りです。少しでも
那央(なお)に良いところを見せようとして、アダルトな雰囲気が
漂う眼鏡を購入しました。
T368

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[No.847-1]小さな庭

No.847-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
「楽しみに待ってたんだ!」

いつになく目がキラキラしている。

「そんなにぃ!?」
「だって、すごいだろ!?」

二人ともつい声が大きくなってしまう。
人通りが多い、ショーウィンドウの前だからだ。

「そうなんだろうけど・・・」

個人的には、あまり興味はない。
これよりも普通に、装飾品の方がいい。

「去年も今頃だよな?」

デパートらしく、毎月、ショーウィンドウの内容が変わる。
初夏には、これが登場することが多い。

「去年は5月だったよ」
「なんだよ、結構、気にしてるじゃん!」

去年もこの調子だった。
これだけ騒がれると、その気がなくても記憶に残る。

「ふぅ~・・・まぁ、いいわ・・・」

大したことでもない。
しばらく彼に付き合ってみることにした。

(No.847-2へ続く)

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[No.847-2]小さな庭

No.847-2

「憧れるよな・・・」

目の前に、ファンタジー風の小さな庭が見える。
一見すると意味不明な物が、逆にそれらしさを演出する。

「不思議な空間ではあるわね」
「ある意味、僕の理想だな!」

何となくこんな感じが好きなのは知っていた。
芸術的なセンスが彼にはある。

「広々とした庭より・・・」
「狭いくらいがちょうどいいんでしょ?」

私もどちらかというと後者だ。
その点に関しては、彼と意見が合う。

「そう!それそれ!!」

良く言えば、お互い物に囲まれて生活したいタイプだ。
その方が妙に落ち着く。

「お楽しみのところ悪いけど・・・」
「そろそろ行かない?」

お腹がペコペコだ。
そもそも、目的地はここではない。

「ごめん、ごめん!けどさぁ・・・」
「来年は実際にこんな庭で暮らしてみないか?」

S847
(No.847完)
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[No.848-1]小鳥のさえずり

No.848-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
友人だからこそ言わなくてはならない。
ただ、友人だけに言いづらいのも確かだ。

「ちょっと気になってることがあるんだけど・・・」
「えっ!・・・やっぱり、気付いてた!?」

友人から意外な返事が返ってきた。

「・・・私も、そうじゃないかと思ってたんだ」

それなら話が早い。
今のうちに、サラッと言ってしまおう。

「は・・・」
「ちょっと、太ったんだよね・・・」

友人に発言を遮られてしまった。

「これからの季節、目立つよね?」
「ん・・・いや、まぁ・・・そうね」

話が思わぬ方向に進み始めた。
気になっていることは、それじゃない。

「言ってくれてありがとう!」
「持つべきものは友人ね!」

完全に誤解されている。

「そうじゃなくて・・・」

早めに話を戻した方がいいだろう。

「違うの!?」
「チッ・・・なによ、もう・・・恥ずかしいじゃない!」

その、気になっているものが、たった“今”出た。

(No.848-2へ続く)

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[No.848-2]小鳥のさえずり

No.848-2

「それよ!そ、れ!」

勢いで、口から出てしまった。

「・・・なによ、それって?」

急に友人のテンションが下がる。
でも、もう引き下がれない。

「さっき、なに言ったか覚えてる?」
「“恥ずかしいじゃない”とは言ったけど?」

そうじゃない。
一番最初の言葉だ・・・いや、正確には言葉じゃない。

「言葉じゃない?」
「チッ・・・なぞなぞのつもり?」

また、それが出た。

「あなたの悪い癖よ、舌打ちするの」
「・・・」

さらに、テンションが下がっている。
友人とは言え、指摘されるといい気はしないだろう。

「そうなんだ・・・」
「ごめん、全然、気付いてなかった」

ただ、言葉とは裏腹に、申し訳なさそうな雰囲気はない。
逆に、何か吹っ切れているように見える。

「でも、そんなに気になる?」

今度は開き直ろうとしている。

「小鳥のさえずりと思えば、かわいいものでしょ?」
S848
(No.848完)
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ホタル通信 No.364

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.342 気遣い 
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

冒頭から言い訳がましいですが、比較的初期の作品ということ
もあり、プアな内容ですね。

実話度が示す通り、ほぼ実話に基づいているのですが、以前も
お話しした通り、当事者同士の目線で書いているため、読者には
ピンと来ない内容に仕上がっています。
ザッと整理すると「由佳(ゆか)と会う約束をしたけど、次の日に
試験を控えていたので、何となく煮え切らない態度になっていた。
それを察してか、後日、彼女の方から予定変更の連絡が入った」
という感じです。

予定変更自体は、珍しくもなかったのですが、タイミングからすれ
ば、余計な気遣いをさせてしまった可能性が大いにあります。
もともと、気遣いができる女性だったので、なおさらそう思っていま
した。逆に、言わなくても良かったことを言ってしまった、自分に対
して、若干、腹立たしくも思えました。
試験の前日にジタバタしても、結果がそう大きく変わることもありま
せんが、焦りからでしょうか・・・こんな行動を取ってしまいました。

最後に、ラスト一行に触れておきますね。
どうでもいいことですが、僕から由佳への気遣いは・・・見事成功し
ました。
S364

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[No.849-1]潮干狩り

No.849-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
少なくとも中学生になってからは行った記憶はない。
そう考えると、・・・年ぶりに来たことになる。

「私なんか、一度も来たことがなかったよ」

僕の場合、実家が海に近い。
加えて、小学校の行事にもなっていた。

「そこそこ距離はあったけど」
「歩いて行けない距離ではなかったな」

ワイワイと騒ぎながら歩けば、そのうち着いてしまう。

「私の場合、海は遠かったな・・・」
「・・・だろうな」

彼女の地域は、内陸に位置していた。
僕もそこに住んでいたことがあるからよく分かる。

「それに、そんな季節も短いからね」
「そもそも、やってたのかな?」

あえて調べたこともないから、何とも言えない。

「でも、急にどうしたの?」
「うん・・・なぜだか、妙に行きたくなって」

テレビとかで見掛けたからではない。
何らかの感情が心の底から、沸々とわいてきたからだ。

(No.849-2へ続く)

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[No.849-2]潮干狩り

No.849-2

「何らかの感情?」

言葉では説明しにくい。

「少なくとも、懐かしさとは違う」

ある意味、何かに“せかさせている”ような感じだ。

「“久しぶりに行ったら?”と、言われているような・・・」

もちろん、オカルト的な要素は一切ない。
ただ、何となく、天の声と言うか・・・。

「世間では、それをオカルトと言うんじゃない?」
「あはは・・・だろうな」

とにかく、誰かに背を押されてここに来てしまった。

「まぁ、大した準備も必要ないし」

唯一、熊手を買ったくらいだ。
2本買っても、1000円で十分お釣りが返ってきた。

「ようやく実現した・・・って感じかな」

実は数年前からそんな気持ちになっていた。
それが今、叶った。

「けど、二人で来ることは想定外だったぞ」
S849
(No.849完)
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[No.850-1]横を向いてばかりで

No.850-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「見て見て!」

彼女が向こう岸に群がるカメを指さす。

「甲羅干ししてるんだよ」
「そうなの!?」

それにしても相変わらずの数だ。
視野を広げれば、あちこちに群れができている。

「ほら、大きな魚も居るよ!」

僕にとっては見慣れた光景だ。
学生時代、この川沿いの道が通学路だったからだ。

「・・・見慣れてるよな?」

彼女も僕と同じ通学路だった。
ただ、学校が違ったせいで、方向は真逆だった。

「見慣れてるような・・・見慣れていないような・・・」

なんとも煮え切らない返事だ。
ただ、よく考えれば彼女の言う通りかもしれない。
カメだの魚だの、騒ぐのは男子だけだろう。

「まぁ、女子向きじゃないのは確かだな」
「でも、さぁ・・・」

今更、反応を示すのも不思議だ。

「大人になって、カメとかが好きになったの?」
「まさか!」

それにしては、そこそこのはしゃぎっぷりだ。

(No.850-2へ続く)

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[No.850-2]横を向いてばかりで

No.850-2

「正直に言えば、当時・・・」

あまり、川の生き物を見ていなかったと言う。

「あらためて見ると、結構居るんだなぁ・・・と思って」
「・・・まぁ、そうだな」

昔と変わらない光景だ。
もしかすると、昔よりも生き物は増えたかもしれない。

「なかなかワクワクする川だろ?」
「そうね!」

今なら、ある意味“インスタ映え”するかもしれない。
甲羅干しするカメの数は圧巻だ。

「けど、なんで当時は見てなかったの?」

今の姿とは対照的なだけに、つい深掘りしたくなる。

「前を見てたからだよ」
「あっ・・・そ、そうなんだ・・・」

味気ない答えが返ってきた。
当たり前と言うか、面白みに欠けると言うか・・・。

「なのに、あなたは横を向いてばかりで」
「えっ!?どういうこと?」

何だか話が急展開してきた。
彼女の話している内容が理解できない。

「でも、今になってその気持ちが理解できたわ」
「ちょ、ちょっと待てよ・・・何の話?」
S850
(No.850完)
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ホタル通信 No.365

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.345 行く手をさえぎる者
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:女性

お馴染みのハトの話ですね。決して好きでもないし、好かれても
いませんが、憎めないやつらです。

人物設定はさておき、前半の出来事はほぼ事実です。ハトの群
れに行く手をさえぎられ、急ブレーキを掛けました。
時より「ポォポォ」と、独特な鳴き声を出しながら、何事もなかった
ように、目の前をウロウロする様に怒りよりも笑いをこらえる方が
大変でした。
冒頭、好かれてもいない・・・と書きましたが、もしかしたら好かれ
ているのかもしれません。人間には好かれませんが、動物には
好かれることが多い私です。

逆に後半は、100%創作です。
以前、ホタル通信で「作者は少なくとも学生ではない」とお伝えし
ています。今回の人物設定は女子高生ですから、完全な作り話
です。
なぜ、女子高生にしたのかは、正直覚えていませんが、イケメン
話を絡ませたかったのでしょうね、きっと。

最後に、ラストの一行ですが、意味は分かりますか?何のひねり
もない、読んだ通りの内容です。
右手に・・・なので、左肩にハトのフンが落ちていたことにしてみま
した。イケメンの妄想を一気に覚めさせる目的で。
T365

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