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2017年4月

[No.752-1]変なおじさん

No.752-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
通学路に、変わったおじさんがいる。

「どんな人?」

風貌が変わっているわけではない。
その点については、逆に普通以上に普通に見える。

「じゃぁ、なにが?」
「行動というか・・・」

“している”ことが変わっている。

「本を読んでるんだよね」
「・・・多分、週刊誌だと思う」

本の大きさや目に入る誌面からの推測にはなるが。

「普通よね?」
「週刊誌だけど、外で本を読むこと自体は・・・」

そう・・・読むこと自体は別に変じゃない。

「それがね」

座って読んでいるわけではなく、立って読んでいる。
それも仁王立ちと言わんばかりに。

「普通、ベンチとかで座って読むじゃない?」
「・・・まぁ、変と言えば変だけど・・・」

友人の反応がイマイチだ。
いつもなら、真っ先に食い付いてくる話題のはずだ。

(No.752-2へ続く)

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[No.752-2]変なおじさん

No.752-2

「十分、変でしょ!?」

それに、ほぼ毎日見掛ける。
けど、読んでいる場所はマチマチだ。

「読んでるだけ?」
「う、うん・・・」

友人が何を言いたいことはわかる。

「それなら別にいいじゃん」
「周りに迷惑を掛けているわけじゃないし」

そう言われると返す言葉がない。
確かに、私がそう思っているだけに過ぎない。

「そうかもね・・・」

よく考えれば、他にも大勢いる。
柔道着を着て、何やら不思議な動きをしている人とか・・・。

「えっ・・・その人の方がよっぽど変よ!?」
「そうなの!?」

私にはごく普通に見えた。

「どんな感覚してるのよ・・・まったく」
「まぁ、そのお陰で少々のことでは驚かないけどね」

(・・・そのお陰?)

その意味が理解できるまでに、数分を要した。
S752
(No.752完)
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[No.753-1]遅れた理由

No.753-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「わぁぁ!・・・・ビックリしたぁー!」

あまりの音の大きさに、思わず声が出てしまった。
recycle
「遅刻なんて、珍しいじゃない・・・」
「電車でも遅れたの?」

返答に困る。
本当のことを言うのは、何だか照れくさいからだ。

「ちょっと、体調がすぐれなくて・・・」

上司には、始業前に遅れる旨、連絡していた。
だから、何も問題はない。

「・・・風邪?」
「まぁ、そんなものかな・・・」

これ以上の追求は、できればして欲しくない。

「いつも遅くまで飲んでいるせいよ」

“遅くなるのは誰のせい?”と突っ込みたくなる気持ちを抑えた。

「そ、そうかもしれないね」
「それとも、なに?彼にうつされた?」

彼氏が居ないのを知ってて聞いてくる。
同僚のいつものパターンだ。

「はいはい・・・妄想の彼にうつされたの!」

これに関しては、あながち嘘じゃない。
妄想の彼はいる。

(No.753-2へ続く)

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[No.753-2]遅れた理由

No.753-2

「・・・で、本当のところはどうなの?」
「本当のところ?」

同僚が、ドヤ顔で聞いてきた。

「体調不良って、うそでしょ?」

それなりの演技はしたつもりだった。
オーバーアクションにならない程度に。

「・・・気付いてたの?」
「最初からね」

ばれるほど、まだそんなに会話はしていないはずだ。
さすが友人と言うべきかどうか・・・。

「実は・・・」

会社にくる途中、自転車同士の衝突事故があった。

「振り返ったら、女の子がふたり倒れてて」

幸い、大きなケガはなかった。
見た感じ、ふたりとも社会人1年生のようだった。

「でも、ひとり足から血が出てて・・・」

転倒した時に、足を切ったようだった。

「それなら、正直に言えばいいのに」

遅れる理由としては、逆に嘘っぽく聞こえると思った。
だから、ありきたりな理由にした。

「“血が出なかった”方は、もう来てるわよ」
753
(No.753完)
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ホタル通信 No.316

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.292 決意の花火
実話度:★★★★★(100%)
語り手:男性

実話度は、一部を除いてほぼ100%ですが、小説のタイトルを見て
もどんな話だったのか思い出すことができませんでした。

あらためて読んで見ると・・・自分で言うのもなんですが、胸が熱く
なりました。実話度が示す通り、ドラマのような展開が、現実に起き
ようとしていました。
彼女は彼と住んではいるものの、住んでいる理由はそう単純なモノ
ではありませんでした。端的に書けば行き場所がない彼女にとって
の“転がり先”だったわけです。多少の恋愛感情がなかったわけで
はないものの、“住まわせてもらっている”という、負い目からきた
感情だったのかもしれません。

冬のホタルの読者なら分かるとは思いますが、その彼女は“せいじ
ゅうろうシリーズ”の菜緒に他なりません。
大袈裟ですが、彼女の脱出劇はこの小説に始まったことではなく、
過去にも何度かありました。ただ、ここまで具体的に話が進んだこ
とはなかったため、その期待は大きく膨らみました。その分、未遂で
終ったときの落胆もまた大きなものでした。

あらためて読み返してみると、ラストに書いてある「真夏の逃亡劇」
というのが小説のタイトルに相応しい気もします。でも花火のように
派手に咲いて儚くも散った“私の心”を表現したかったため、今のタ
イトルにしたように記憶しています。
S316

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[No.754-1]同じパターン

No.754-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「・・・ん?」

テレビで、あるシーンを見かけた

「これって・・・」

僕としては、彼女が見ていないことを祈るだけだった。
recycle
季節の変わり目は、新番組の季節でもある。
それだけにおのずと、テレビの話題になりやすい。

「昨日さぁ・・・」

まさかとは思うけど一応、警戒しておいた方がよい。

「なに?」
「・・・なにか変・・・緊張してる?」

ごく自然に応えたつもりだった。

「き、緊張するわけないだろ?」
「噛んでるじゃん・・・」

とにかく、自然にやりすごそう。

「急に“なにか変”って言われると焦るだろ?」
「・・・まぁ、それもそうね」

一旦、落ち着きそうだ。

「ところで、昨日、あの番組見た?」

もしかして、あの番組のことだろうか・・・。

「何の番組?」

単なる連続ドラマの新番組であって欲しい。

(No.754-2へ続く)

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[No.754-2]同じパターン

No.754-2

「ほら、あの女優さんが・・・」

この時点で、あの番組ではないことがわかる。

「ごめん!見てないんだ」
「・・・何だか嬉しそうね」

自分としては隠したつもりだった。

「ところで・・・」

声のトーンが急に変わった。

「ある番組でさぁ・・・同じパターン・・・あったよね」

天国から地獄に突き落とされた気分だ。

「えっ・・・あっ・・・見たんだ」

隠し通せる自信がなかった。
だから、素直に白状した。

「けんかの原因だったから良く覚えているよ」
「私達だけじゃなかったんだね」

ある日、LINEのやりとりでオウム返しが始まった。
その途中に、僕は“好き”と入力した。
本気ではないにせよ、嘘でもない。

「あの時は・・・ごめん」

その言葉でオウム返しは終わった。
でも、それが発端で、彼女とはしばらく音信普通になった。

「もう気にしていないから」

何とか関係を戻すことができた。
以前と変わらぬ、仲が良い友人という関係を。
S754
(No.754完)
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[No.755-1]vs

No.755-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
答えはきっとある。
そう願わずにはいられない。
recycle
「ねぇ・・・どう思う?」
「・・・う~ん・・・」

ある立て札の前で、しばし考え込んでしまった。
この手の立て札は、時々見掛ける。

「あなたはどっちの味方?」
「味方って・・・」

言わば戦っているのは、人間同士だ。
それもご近所同士だろう。

「私は“立て札を立てた”側かな」

友人ならそう言うと思った。

「知ってると思うけど・・・」
「・・・三匹だっけ?」

友人が猫を飼っているのは知っている。
だからこその発言なんだ。

「私は無責任な行為だと思う」

猫にエサをあげないで下さい・・・立て札にこう書かれていた。

「数も・・・そこそこいる見たいだね」

今も数匹の猫があたりをうろついている。

(No.755-2へ続く)

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[No.755-2]vs

No.755-2

「私だって、本当は・・・」

実際に飼っているからこそ、余計に辛い決断だ。

「私なんか、すぐ情にながされて・・・」

無責任にエサを与えてしまう。
結果、生きながらえた彼らが子供を残すこともあるだろう。

「彼らになにも罪はないんだけどね」

一匹の猫が友人の足元でじゃれつき始めた。
私たちの悩みなんて、お構いなし・・・といった感じだ。

「ねぇ、あんた・・・その人は“立て札側”の人間よ?」 

じゃれつく猫に、イジワルく問いかけた。

「でも・・・悔しいけど、ちゃんと分かっているみたいね」

口先だけの人間とそうではない人間。
だから、その猫は友人を選んだ。

「いずれにせよ、彼らには関係がない争いね」

人間が手助けしようがしまいが、彼らは彼らで生を全うする。

「・・・ところで、あなたはどっちの味方?」

友人が話を戻してきた。

「私はやっぱり、与える側・・・」
「いいんじゃない・・・それで」

安堵の表情を浮かべる友人の顔が、とても印象的だった。
S755
(No.755完)
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