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2016年12月

ホタル通信 No.305

小説名:No.251 恐怖の日曜日
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:女性

小説の通り、その感覚は今でも上手に伝えることが出来ません。
それに「なぜ?」と聞かれても「そう感じたから」としか答えること
が出来ません。

病気で寝込んでいたこともあり、起きているのか寝ているのか、
どちらとも言えない中で、聞こえてきた友達のはしゃぐ声を今で
も覚えています。
今、振り返ると恐怖と言うより、孤独感だったのかもしれません。
それも自分だけが別世界に居るようなとても大きな孤独感です。
当時、テレビの影響を受けて子供心に四次元の世界を信じてい
ましたから、そこに居るかのような感覚だったのでしょうね。

今では少し難しいシチュエーションなのかもしれません。
子供の頃、自宅はいわゆる袋小路に位置しており、加えて周辺
は土手と畑しかない、のどかな環境でした。小説にも書いた通り
草木のこすれる音が聞こえるくらいでした。今は随分と拓けてし
まい、もう二度と体験することはできなくなりました。

子供の頃には「なぜ?」と聞かれても上手く答えられない体験を
いくつかしています。今、それらの光景を目に浮かべながらこの
ホタル通信を書いています。
T305

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[No.732-1]想いをのせて

No.732-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「・・・や、やだぁ!」

友人が何かを追っ払うような動作をし始めた。

「どうしたの?」
「何か虫が・・・ほら!」

確かに、蚊のような小さいな虫が数匹飛び交っている。

「・・・あれ?」

よく見ると、私にとっては見慣れたものだった。

「雪虫!?」
「なんでここに・・・」

北海道を離れて以来、ここでは一度も見た事がない。

「ゆきむし?」
「ほら・・・以前、話したことがあるじゃない?」

雪虫は冬の到来を知らせる、象徴的な存在だ。

「・・・これがそうなの!?」
「うん・・・でも、こんな所に居るなんて・・・」

北海道だけ・・・とは言わないが、雪国だけ居ると思っていた。

(No.732-2へ続く)

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[No.732-2]想いをのせて

No.732-2

「別の虫とか?」

確かに私自身もまだ信じられない。
もう少し、観察してみたほうがいいだろう。

「・・・でも」

専門家ではないが、数十年、彼らを見てきた。
目の前のそれに何の違和感も感じない。

「やっぱり、雪虫みたい・・・」

最近、急激に寒くなってきた。
冬の到来を告げに来たとでもいうのだろうか?

「居るんだ・・・ここにも」

もしかして、気付いていないだけだったのかもしれない。

「へぇ~何だか急に愛着を感じはじめたよ」
「少なくとも悪いやつらじゃないからね」

雪の妖精とも例えられる。
その正体がなんであれ・・・。

「あぁ~色々と思い出すな」
「何を?」

それには答えず、ただ目の前を漂う雪虫を目で追った。
S732
(No.732完)
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[No.733-1]本当の目的

No.733-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「楽しかったよね!」

付き合いの長い彼女から小旅行をプレゼントされた。

「また行きたいね」
「あなただけで良かったのに」

気ままな一人旅のつもりでプレゼントしてくれた。

「そういうわけには行かないだろ?」
「だって、私のワガママをいつも聞いてくれるし」

純粋に感謝の気持ちだったらしい。

「だとしても、二人の方が楽しいさ」
「ちょっと、引っ掛かるけど・・・まぁ、いいか!」
「・・・しばらく忙しかったもんね」

ここ数年、仕事に忙殺される日々が続いた。

「ごめんな・・・」
「仕方ないよ」

そんなある日、少し纏まった休みを取れることになった。
・・・とは言え、半ば“強制”だった。

「休まなきゃ休まないで、言われるんだから・・・」

何ともサラリーマンはつらい。

(No.733-2へ続く)

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[No.733-2]本当の目的

No.733-2

「そう言うものよ!」

同じサラリーマンとして理解してくれるところが嬉しい。

「けど、良かった・・・楽しめたようで」
「ストレスも発散できたよ!」

旅行の効果と言うより、彼女と過ごせた効果だ。

「私が居なかったら、もっと満喫できたのにね」
「かもな!」
「そ、そこは否定してよ!」

お互い手の内は分かっている。
冗談も言い合いも手馴れたものだ。

「でも、ありがとう・・・な」
「だから・・・それは私のセリフでしょ?」

そうじゃない。
小旅行にかこつけて、僕は目的を果たすことにした。

「・・・なに?」
「う、ううん・・・なんでもないよ」

彼女からのプレゼントは、僕からのプレゼントでもあった。
目的はそこにあった。
S733_2
(No.733完)
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ホタル通信 No.306

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.298 調整力
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

実話度は低めです。話の主軸になっているルービック・キューブ
は全くの創作です。

例えば、会議を開く場合、関係者のスケジュール、開催場所の
確保などが必要ですが、単純にそれぞれを準備すればいいも
のではありません。
それぞれを同時進行させながら、あるところでピタッ!と答えが
出ます。たかが、スケジュール調整ですが、大人数ともなると
そう簡単には行きません。もちろん会場も確保しておかなけれ
ばなりません。

このように、複雑に絡み合った事柄をルービック・キューブに例
えてみました。一面はそれだけに集中できるけど、二面になると
それぞれの都合を加味しなければなりません。
時には、それぞれをワザとずらしておいてから、最後の一手で同
時に揃える・・・話が長くなりましたが、この小説はこんなことを言
いたかったのです。

どちらかと言うと、真面目な展開なので、ラストは思いっきりふざ
けてみました。調整力を鍛えていたつもりでしたが、身に付いた
のは、二股力だったと。
T306

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[No.734-1]捨てたもんじゃない

No.734-1    [No.697-1]分かっていたけど

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「ねぇ、ねぇ、最近どうしてる?」

いつもの通り、何の脈略もなく話しかけられた。

「何の話?」

いくつか思い付くが、自ら言わない方がいい。
これで何度も墓穴を掘ったことがあるからだ。

「あら・・・慎重な反応ね」

案の定、それを狙っていたらしい。

「で、何の話?」
「そう、不機嫌な顔しないでよ」

いつも、本題に入るまでが長い。

「ほら、例の・・・三毛猫・・・」
「・・・公園の?」

以前、友達に話したことあった。
公園に住み着いている三毛猫の話を。

「・・・あれからどうなったかなって」
「う、うん・・・」

あれから、あえてそこを避けるようになった。
正直、そこから逃げ出したと言っていい。

(No.734-2へ続く)

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[No.734-2]捨てたもんじゃない

No.734-2

「逃げ出した?」
「だって、私にはどれも選択できなくて」

見捨てることもできず、救うこともできない。
ならば・・・無かったことにしようと思った。

「みんなそうなんじゃない?」

確かにそう簡単には答えが出ない話だ。
野良猫の扱いについては。

「けど、私は・・・」
「エサ、あげたことあるんでしょ?」

友達は分かっていたようだった。

「だって・・・」
「それがあなたのいいところじゃない!」

ただ感情に流されていただけだ・・・美談ではない。

「今日こそ、帰りに寄ってみる?」
「・・・うん!」
recycle
彼らの姿は見えない。

「・・・まさか」
「でも、大丈夫みたいだよ」

明らかに、意思を持って置かれたあるモノがその答えだった。
S734
(No.734完)
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[No.735-1]共通の友人

No.735-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「あれ・・・偶然だね!」

友人が、知り合いとバッタリ出会ったようだ。

「例の彼とデート?」

口ぶりと態度から、かなり仲が良さそうに見える。

「今度、いつもの店で話を聞かせてよ!」
「それじゃぁね!」

友人らしい怒涛の会話だった。
相手が一言も発する間もなく、会話を終了させた。

「デートだって・・・いいなぁ~」
「そ、そ、そうね・・・」

返事に詰まる。
勢いに呑まれたからじゃない。
私の知らない友人の一面を見たからだ。

「どうしたの?」
「う、ううん・・・」

友人は、私の友人でもあり、さっきの人の友人でもある。

「冷静に考えればそうなのにね」
「・・・どういうこと?」

友人は、私とさっきの人との共通の友人ということになる。

(No.735-2へ続く)

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[No.735-2]共通の友人

No.735-2

「共通の?・・・別に珍しくないよね?」

確かに友人の言うとおりだ。
私に限らず、ほとんどの人がそんな立ち位置だ。

「そうなんだけど・・・」
「早い話、やきもち?」

男女間のやきもちとは違うものの、本質的には同じだ。
さっきの人に、何らかの嫉妬を覚えた。

「まぁ・・・ね」

でも、親しく会話をしていたからではない。
私が知らない話題があったからだ。
それが当然のことだとしても・・・。

「私は喜んでいいかな?」
「ごめん・・・なんだか・・・」

友人を奪われた感覚に陥った。
妙な孤独感を味わったと言ってもいい。

「それだけ、大切に思われているってことかな・・・」
「・・・感謝しなきゃね!」

他人に聞かれると、疑われそうな話をしている。

「でも、さっきの人とのほうが仲が良かったりして!」
「も、もう!」

街はそんな共通の友人であふれている。
S735
(No.735完)
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ホタル通信 No.307

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.274 気になる写真
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

写真の存在、撮った経緯・・・そして、その写真がイマイチだった
ことは事実です。

この小説は、「せいじゅうろう」シリーズのひとつとして、発表する
予定でしたが、せいじゅうろう(リラックマ)が脇役にまわってしま
ったので、単独作品にしました。
「那央=菜緒」「那央が好きなキャラクター=リラックマ」の関係
がその名残りとも言えます。

さて、前述した通り、写真も現存しており、当たり前ですが、その
イマイチ感も健在です。
小説上では、そのイマイチ感を「ええよ!でも、また結婚式を思
い浮かべると緊張するやん」と、都合よく解釈したラストで締めく
くっていますが、事実はそうではありません。
写真が嫌だったわけではないのでしょうが、一言で表せば「心の
闇」が、そのような表情を生んだのかもしれません。

あの時、彼女が何を考え、何を見ていたのか、もう伺い知ること
は出来ませんが、結果的に、これが一緒に写った唯一の写真に
なってしまいました。
決して、表情は冴えないけれど、今でも胸を熱くする一枚です。
T307

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[No.736-1]流行語

No.736-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
「今年も残りわずかだよね」
「それにしても1年は早いよな」

後、1週間もすれば年末を迎える。

「ところでさぁ・・・」
「なに?」

いつになく神妙な顔をしている。

(ま、まさか、ここに来て・・・)

彼と付き合いだして、まだ半年しか経っていない。
それに私にとって初めての彼でもあった。
そんな、私じゃ物足りなかったかもしれない。

「年末になると必ず言うよな・・・さっきのセリフ」
「えっ・・・それ!?」

彼が今度はキョトンとした顔をしている。

「それって、なに?」
「う、ううん・・・気にしない!気にしない!」

危ないところだった。
けど確かに言ってしまうセリフだ。
私も、ここ数日で何度も口にした。

(No.736-2へ続く)

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[No.736-2]流行語

No.736-2

「12月に限定すれば・・・」
「流行語大賞、間違いないな!」

私たちに限ったことじゃない。
今頃は皆が口にする。

「・・・そうよね」

年末になると、過ぎた時間を色々と考えたくもなる。

「あなたも考えた?」
「もちろん!」

私の場合は、1年というより、彼と過ごした半年を考えた。

「どうだった?」
「・・・いつになく幸せな半年だったよ」

それは私も同じだ。

「そうだ!」
「な、なんだよ急に・・・」

流行語はもうひとつあった。

「ねぇ・・・だよね」

彼の耳元でささやいた。
S736
(No.736完)
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[No.737-1]秋祭り

No.737-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
実家の周辺には、神社やお寺が多い。
比較的、古い町だからかもしれない。

「だから、祭りも多いんだよな」

極端に言えば、一年中、何らかの祭りをやっている。

「私の所も祭りがあるにはあるけど・・・」
「祭りと言うより、“フェスティバル”って感じね」

確かに、僕のところもそんな雰囲気が出始めている。
それでもまだ、良い意味で“古びた感”は残っている。

「中でも、秋祭りが一番好きなんだよな」
「夏じゃなくて?」

こう言うと必ず、そう聞き返される。

「夏は好きじゃない」

少し肌寒さを感じる秋の方が、なんだか落ち着く。

「へぇ~そんなタイプだったんだ?」
「どんなだよ!?」

ただ、その言葉には少し嘘が含まれている。

「ところで、ここに来るのはどれくらいぶり?」
「そうだな・・・卒業以来かな?」

一応、考えるふりをした。
けど、本当はピンポイントで分かっている。

(No.737-2へ続く)

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[No.737-2]秋祭り

No.737-2

「確か・・・彼女、居たよね?」

けど、彼女とは一度だけしか祭りに行っていない。

「どうして?」
「当時な・・・」

好きな人が居た・・・彼女以外に。

「それって、今でいう“ゲス”ってやつ?」
「ち、ちがうけど・・・強く否定もできないな」

彼女から告白され、なんとなく付き合い始めた。
そんなある日、その祭りに足を運んだ。

「そしたら、好きな人が彼氏連れてて」

祭りでバッタリ会って、会釈までされた。
その瞬間、何かが崩れ始めた。

「・・・ごめん」
「別にいいよ、もう・・・年前の話だぞ」

ただ、あのシーンは今でも鮮明に覚えている。

「そんな僕を見ていた、“僕の彼女”も何か感じたんだろな」

それから数日も経たない内に、別れを告げられた。

「逆に肩の荷が降りたようでさぁ・・・」

何もかも暑かった夏を、忘れられる秋祭りが好きだ。
S737
(No.737完)
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ホタル通信 No.308

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.237 かごの中のネコ
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:女性

日中ではなく、深夜ということもあり、かなり驚いたことを覚えて
います。

小説にも書いた通り、向こうは向こうで驚いたと思いますが、遠
くまで逃げなかったのが印象的でした。
実話度の通り、ほぼ事実ですが、ラストは創作しています。実は
それ以来、その猫とは会っていません。もちろん、四六時中、駐
輪場に居るわけではありませんので、単に時間帯が合わないだ
けかもしれません。

さて、ラストのオチの意味は分かりますか?
自分で読み直しても、一瞬「?」となったくらいですから、伝わら
ないかもしれません。
中盤まで、猫のお気に入りの場所は、“隣の自転車のかごの中”
という流れで話を進めています。ところが、ある日、確認したら、
私の自転車のかごの中で寝ていた・・・よくよく考えると、あの日、
深夜の帰宅だったので、猫としては、私の自転車で寝ることがで
きず、仕方なく隣の自転車で寝た・・・というシチュエーションです。

“その時だけ、深夜近くの時間”が言うなれば、伏線みたいなもの
ですね。普段なら、あってしかるべき時間に自転車がなかったと
いうことを遠回しに表現しています。
T308

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[No.738-1]クリスマス・イブ

No.738-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「あっ・・・あぁー!」

見えていたはずなのに、止まれなかった。
そこで立ち止まるとは思ってもみなかったからだ。

「ご、ごめんなさい・・・」
「だ、大丈夫ですか?」

下りエスカレーターの出口でのひとコマだった。
僕が後ろから彼女に衝突した。

「・・・だ、大丈夫です」

多少、強めに衝突した程度で済んだ。

「すみません・・・」

こんな場所で、モタモタしていられない。
でも、一言、言ってやりたい。
原因を作ったのは、彼女だからだ。

「気をつけ・・・」

最後まで言い切るまえに、あることに気付いた。

(・・・なにしてるんだろう?)

彼女がその場で踏ん張っている。
まるでぬかるみに、はまったかのようだった。

「・・・あ・・・あぁー!!」

それに気付いた瞬間、反射的に彼女にひざまずいた。

(No.738-2へ続く)

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[No.738-2]クリスマス・イブ

No.738-2

「とれませんか?」
「・・・そうみたいです」

床のすきまにヒールのかかとが、はまっていた。
まるでドラマのワンシーンのようだった。

「ちょっと待って下さい」

彼女の片足を、ヒールごと持ち上げようとした。

「・・・け、結構、はまっていますね」

緩めの力では、どうにも抜け出せそうにない。
強めに持ち上げる必要がありそうだ。

「一気に行きますね!」
「うん・・・」

とは言うものの、かかとを折らないように注意が必要だ。
その上で両手でヒールごと足を持ち上げた。

「と、とれたぁー!!」
「やったぁ!!」

すぐに彼女の手を引き、その場を離れた。
喜びに浮かれていると、第二の“僕”を作りかねないからだ。

「本当にありがとうございます」
「それより・・・早く行ってあげてください」

明らかに男性物と分かるプレゼントを持っていたからだ。

「はい!・・・ありがとう!」

こんなクリスマス・イブも悪くない。
S738
(No.738完)
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