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2016年9月

[No.712-2]一号店

No.712-2

「実家の近くに、一号店があるんだよ」
「そうなの?」

住んでいた頃は、その店が一号店だとは知らなかった。
つい最近、その事実を知った。

「なかなかないだろ?一号店が近くにあるなんて」
「・・・それはそうよね」

ありそうでないのが、チェーン店の一号店だ。

「だから、つい感慨深くなってしまって・・・」
「それで、ジロジロ見てたわけ?」

繰り返しになるが、嘘じゃないけど本当でもない。
いわば照れ隠しの行動だったのかもしれない。

「でも、何か隠してるでしょ?」
「えっ!?・・・それは・・・」

別にやましいことを隠しているわけではない。
ただ、今は言うタイミングだと思っていないだけだ。

「そのうち、話すからさぁ・・・」
「今じゃだめなの?」

彼女にしては珍しく追求してくる。
もう、バレているのかもしれない。

「それなら・・・言うけど、今度一号店に行ってみないか?」
「一号店だけでいいの?」
S712
(No.712完)
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[No.713-1]おふくろの味

No.713-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「私はね・・・」

流れで、“おふくろの味”の話になった。
テレビ等ではよく見聞きする話題だ。

「あなたは?」
「・・・そうだな」

今まで考えたこともない。
でも、すぐにある料理が思い浮かんだ。

「鶏のあし・・・」
「・・・あし?」

“骨付きのもも肉”と言えば良いのだろうか?
スーパーなどに普通に売られているものだ。

「早い話、クリスマスとかに、“かぶりつく”やつだよ」
「あぁ、アレね!」

その味付けに特徴があった。
多分、一般的なものではないだろう。
実家を離れて以来、それを口にしたことも店で見かけたこともない。

「どんな味だったの?」
「正確じゃないんだけど・・・」

微かな味の記憶を辿る。

「多少甘みがある、しょうが効いた味だったと記憶している」

醤油を使っていないためか、スープは透明に近い。
それで軽く煮込んだ料理だった。

「へぇ~何だか、美味しそうね」

味の記憶は不確かでも、美味しかった記憶は確かだ。

(No.713-2へ続く)

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[No.713-2]おふくろの味

No.713-2

「話を戻すけど、実家を離れてから、一度も食べてないの?」

微妙な部分を突いてきた。

「・・・う、うん・・・まぁ・・・」
「実家には帰っているんでしょ?」

頻繁ではないが、それでも年に一度は帰っている。

「それなら、言えばいいじゃない?」
「・・・なにを?」

一応、分からない振りをして、とぼけてみた。

「それを“食べたい!”って」

確かに、言ったことはない。
けど、言い難い状況がある。

「言い難い?」
「あぁ、気遣ってくれているだけに」

たまに実家に帰っても外食が多い。

「分かる、それ・・・うちもそうだから」

決して楽をしたいからではない。

「美味しいものを食べさせてあげたい・・・親心だと思う」
「だから・・・なかなか言えなくて」

そこには照れくささもある。

「思い切って言ってみたら?喜ぶと思うわよ」
「・・・そうだな」

なんだか、無性に食べたくなってきた。

「次、帰った時に、リクエストしてみようと思う」

「それなら、ついでにレシピも聞いておいてくれない?」
S713
(No.713完)
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ホタル通信 No.296

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.348 女友達
実話度:★★★☆☆(60%)
語り手:男性

タイトルにもなっている“女友達”は実在の人物です。ただ、
何がきっかけで友達になったのかは覚えていません。

覚えていないというより、きっかけそのものがなかったよう
に記憶しています。気付いて見れば・・・そんな言葉が良く
似合います。
さて、その女友達との会話そのものは創作ですが、出てく
るエピソードはほぼ事実です。
女友達に何人か彼女を紹介してもらいましたが、全員ダメ
になりました。高校生でしたから、つきあうのも別れるのも
言葉は適切ではありませんが“軽い”ものでした。

当時、良く言えば“クール”だし、悪く言えば“無口”な自分
でした。女子も会話も苦手としていたのは、小説に書いて
ある通りです。
そんな中で、女友達だけは苦手意識がなく、会話もごく自
然でした。なぜ、そうなのか理由は分かりませんが、だか
らこそ、友達になれたのかもしれませんね。
実はこの女友達が紹介してくれた彼女の友達とも付き合う
ことになったことがあります。このエピソードはすでに発表
していますので、探してみて下さい。
一時期、俗に言う三角関係になっていました。現在であれ
ば、“ゲス”と言われそうですね。

ラストは創作です。特別「そうなって欲しかった」という希望
的観測やそれらしき事実があって書いたのではなく、単に
小説的な展開として書いています。
S296

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[No.714-1]モンシロチョウ

No.714-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
ベランダで、モンシロチョウが死んでいた。
recycle
「死んでても珍しくはないよね?」
「普通ならね」

誤解を招きそうな表現だとは分かっている。

「変死・・・ってわけでもないよね?」

さながら、サスペンスドラマのような展開になってきた。

「そっち系じゃなくて」
「もう!早く答えを教えてよ」

昨日、ベランダでモンシロチョウが死んでいるのを見つけた。
ただ、そこはマンションの10階だ。

「えっ!?そんな所まで飛んできてたの・・・」

当然の反応だった。

「・・・みたいだな」
「確かに“普通”じゃないわね」

自由に飛びまわれる彼らだ。
10階に飛んできても不思議ではない。

「ただ、相当な高さだろ?」

それに、高く飛ぶ理由もないだろう。
子孫を残すのであれば、地上が理想だ。

(No.714-2へ続く)

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[No.714-2]モンシロチョウ

No.714-2

「だから、なんでここまで来たのかな・・・って」

モンシロチョウにも変ったやつが居たのだろうか。

「そうね・・・」
「上でも目指していたのかしら?」

もし、そうであっても理由を知るすべはない。
そもそも、彼らに意思などあるはずもない。

「そうかな?」
「そうだろ!?」

そんな話は聞いたことがない。

「じゃ、迷い込んだだけなのかな?」
「そう考えるのが妥当だろ」

単に強い風にあおられただけかもしれない。

「まぁ、なににせよ、関係ない話だけどね」

ベランダで虫が死んでいた・・・ただ、それだけだ。

「・・・とは言え、同情してるように感じるんだけど?」
「えっ!?まぁ・・・そうかもな」

確かに“ゼロ”ではない。
だからこそ、こんな話をしたのだろう。

「あっ!ほら、あれ見て!」

モンシロチョウが空高く遠ざかって行く。
まるで何かを追いかけるように。
S714
(No.714完)
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[No.715-1]変わらないもの

No.715-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
最近、スマホで音楽を聴く機会が増えた。

「便利な世の中になったわよね~」
「おいおい・・・現代人とは思えない発言だな」

彼に呆れられた。

「でも、実際そうじゃない!」
「よくよく考えれば、“電話機で音楽”を聞いてるのよ?」

よくよく考えなくても言った通りだと思う。

「そりゃそうだけど・・・」
「それに、レコードやカセットテープの世代からすれば・・・」

今や音楽は単なるデータに過ぎない。
音楽そのものを実感することさえ希薄になっている。

「実際、ネットで音楽が買えちゃうわけだし」

そう考えれば、世の中は一変した。

「こんな便利になるなんて、想像もしてなかったよ」
「・・・まぁ、確かにな」

ただ、どこか寂しいような気もする。

「それは、昭和の人にありがちなノスタルジア?」
「言わないの!」

当たっているだけに、反論できない。

(No.715-2へ続く)

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[No.715-2]変わらないもの

No.715-2

「時代は変る・・・変って当たり前だよ」
「・・・そうよね」

日々、緩やかに変化をしている。
気付かないレベルで。

「カセットテープを何本も持ち歩いてた頃が懐かしいね」
「あぁ・・・レーベルには曲名書いたよな」

今じゃ、音楽に“もれなく”付いてくる。

「そうそう!あれ書くのも楽しみのひとつだった」

今の若者に聞かれると笑われそうな話だ。

「でもさぁ、変らないところもあっただろ?」
「えっ!?なにが・・・」

彼が急に、問い掛けてきた。

「僕たちが付き合うようになった、きっかけ・・・覚えてる?」
「もちろんよ!」

彼が私に音楽を聞かせた。
ヘッドフォンの片方を私の耳にあてて・・・。

「あっ!昔からある常套手段だよね!」
「・・・だな」

そのバラードは愛の告白を歌ったものだった。
S715
(No.715完)
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ホタル通信 No.297

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.224 落としたメモリー
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

同じUSBメモリーを持っていたことは事実ですが、それを
知ったのは、“拾ったから”ではありません。

知るきっかけは、彼女がUSBメモリーを見せてくれたから
です。なぜ、見せてくれたのかは、正直覚えていません。
たかが、同じUSBメモリーを持っていただけに過ぎないこ
とですが、掃いて捨てるほど種類がある中で、偶然を超え
た何かを感じずには居られませんでした。

この小説は、オチを最初から決めてから書き始めました。
USBメモリーから、“記憶”というメモリーを連想し、さらに、
記憶を“想い出”に置き換えました。
ラストの一行は「記憶媒体を落としたら大変」という意味と
「想い出を落としたら(失くしたら)大変」のふたつの意味を
持たせてあります。

小説では、USBメモリーの中身を見せてもらっていますが
実際は見ていませんし、何が入っていたか分かりません。
彼女は彼女で隠そうとする素振りはなく、僕は僕で知ろうと
もしていませんでした。よくよく考えなくても、個人の持ち物
ですからね。
T297

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[No.716-1]本気の勝負

No.716-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
バトミントンで遊ぶ子供たちが増えている。
多分、オリンピックの影響だろう。
recycle
「それは言えてるよね」

すぐに始められるスポーツでもあることも関係しているのだろう。

「昨日ね・・・子供たちのそばを通りかかった時に」

何やら意味深な言葉を聞いた。

「なんて言ってたの?」
「“これ、本気の勝負だよね”と」

女の子同士の会話だった。
見た目から判断すれば、小学生の低学年だろう。

「確かに意味深ね・・・」
「私もそう思った」

素直に聞けば、その通りの言葉だ。
遊びは遊びでも、“真剣にやろう”ということだ。
ただ、考えようによっては、深い意味があるように思える。

「・・・何かをかけた勝負?」
「そう!それも物ではなくて・・・」

つまり、人だ。

「好きな男子・・・って、こともありえる」

こう思うのには理由がふたつあった。

(No.716-2へ続く)

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[No.716-2]本気の勝負

No.716-2

「そばに男子がひとり、居たんだよね」

それが何とも違和感があった。

「バトミントンをするわけでもなく、ただ、座ってた」

単に仲が良い友達との見方もできる。
でも、そうは感じなかった。

「・・・もうひとつの理由がそれね」
「うん」

かつて、私もひとりの男子をめぐって争ったことがある。

「その時の雰囲気によく似てたの」

同じテニス部ということもあり、テニスで勝負をつけた。

「・・・で、結果は?」
「惨敗・・・だった」

ただ、それは勝負をする前から分かっていたことだ。

「実力が違いすぎていたからね」
「それなら、テニスで勝負しなきゃよかったじゃん?」

けど、何かで白黒をつける必要があった。

「あなた・・・譲ったんでしょ?彼女に」
「そ、そんなんじゃないわよ!」

本気の勝負・・・相手を負かすために“本気”を出すのではない。
S716
(No.716完)
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[No.717-1]行きと帰り

No.717-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「あれぇ!?」

彼女から焦りにも似た声が聞こえてきた。

「どうした?」
「お醤油が切れてるの・・・」

これから彼女の手料理をご馳走になる。

「えぇ~!だって魚の煮付けだろ?」

醤油がなければ始まらない。

「う、うん・・・ごめん」

彼女らしいといえば彼女らしい。
でも、腹ペコの僕としては無視できない事態だ。

「どうする?」
「・・・悪いけど、買ってきてくれない?」
「僕が!?」

別に嫌じゃないけど、一応、“お呼ばれ”した身分だ。
多少、配慮も欲しい。

「だって、他の料理の準備もあるから・・・」
「ねっ!お願い!」

煮付け抜きでと言いたいが、それはメインディッシュだ。

「・・・分かったよ」
「ほんと!?ありがとう!」

ただ、近くにはスーパーどころか、コンビニもない。
そう考えると、気が滅入ってくる。

(No.717-2へ続く)

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[No.717-2]行きと帰り

No.717-2
recycle
(ハァ~なんでこんなハメに・・・)

ため息のひとつやふたつ、出ないはずもない。

「とにかく・・・・急ごう!」

小走りに外に出た・・・その時だった。

「わぁ!?」

うろこ雲が夕日に照らされ、何とも幻想的な空が広がっていた。
recycle
「買ってきたよ」
「ありがとう!助かるわ~」

これでお目当ての料理にありつける。

「・・・何だか、すがすがしい顔してない!?」

もうすぐ料理を食べられるともなれば、そんな顔にもなるだろう。

「そうか?」
「そうよ!行きは、シブシブだったくせに」

どうやら、バレていたようだった。

「だって、もうすぐ食べられるだろ?」

ただ、自分で言っておきながら、何か引っ掛かる。

「いや・・・それもあるけど」

独り言のようになってしまった。

「あまりにも、空が綺麗でさぁ・・・」
S717
(No.717完)
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ホタル通信 No.298

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.227 いたずら
実話度:★★★★☆(80%)
語り手:男性

ホタル通信を書くにあたって読み直してみると、リアリティ溢れ
る作品であると、あらためて感じました。

実話度の通り、約80%は事実です。小休止のために入ったカ
フェで彼女がコースターに何やら書き始めたのが発端です。
冬のホタルは嘘っぽい話ほど、本当のことが多いのも特徴で
す。想像の世界だけでは描ききれない、リアルな現実を描くこ
とをテーマにしています。
小説の前半はほぼ100%実話で、後半特にラスト付近は創作
になります。

彼女との出会いはコースターではなく、別のきっかけでした。
従って、彼女がコースターにイタズラ書きする姿を見て、アイ
ディアを思いつきました。
正直、ラスト付近は暗い話です。「あの日、ひとつの火が消え
なくて済んだ」は、皆さんが察している通りの内容です。また
この部分は創作であることに間違いはないのですが、彼女が
その影に怯えていたのも事実です。

タイトルは“イタズラ”で、内容もコミカルに展開してはいるもの
の、本当は少々、重い話に仕上げています。でも、決して悲し
い話ではなく、むしろ生きることに前向きなんです。
T298

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[No.718-1]わずかな隙間

No.718-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「あれ見て・・・」

友達とベランダで雑談をしていた時だった。

「・・・ハトだよね?」

紛れも無くハトだ。
向かいの家の出窓に二羽、座り込んでいる。
それも出窓の僅かなひさし部分に。

「何だか窮屈そうだよね」
「・・・だね」

まるで肩を寄せ合うかのようだ。
それが微笑ましくも見える。

「落ちないかしら・・・」
「彼らには、ムダな心配じゃない?」

確かにその通りだ。
でも、つい心配してしまう。

「相変わらずハトにはやさしいよね?」
「そ、そうかな・・・」

そんなつもりは毛頭ない。
けど、憎めないやつらなのは確かだ。

(No.718-2へ続く)

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[No.718-2]わずかな隙間

No.718-2

「わざわざ、あんな窮屈な場所を選ばなくてもいいのにね」
「あはは、それは言えてる!」

おそらく彼らにとって、安全な場所なのだろう。

「恋人同士?それとも夫婦かな?」
「友達同士・・・ってこともありえるわよ」

それにしても仲睦まじく座っている。
ことの真相は彼らに聞くしかないだろう。

「ほんと、憎めないやつらね」
「でしょ~!」

通勤途中に自転車の進路を妨害する・・・。
ベンチに座っていると、物欲しそうに寄ってくる・・・。

「案外、一番身近な動物なのかもね!」

それに、飼いならしたわけじゃないのに、妙に馴れ馴れしい。

「わかる、わかる!私はあんたの飼い主じゃない!ってね」

でも、寄って来なければ来ないで寂しいかもしれない。

「とにかく・・・いつまでも仲良くね!」

向かいのハトと・・・ついでに隣に聞こえるように叫んだ。
S718
(No.718完)
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[No.719-1]一生の戦い

No.719-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
大袈裟だが、いずれこんな日が来ると思っていた。

「いよいよね」

もともとは彼女から仕掛けられた闘いだ。
社内きっての“晴女”の彼女に。

「そ、そうだな・・・」

正直、気乗りはしない。
彼女と周囲に押し切られるような感じで、この闘いを受けた。
“雨男”の自分としては。

「・・・本気・・・だよね?」
「もちろんよ!」

降水確率が午前も午後も50%の時・・・勝負する約束だった。

「雨男が勝つか、晴女が勝つか・・・なんてさぁ・・」
「くだらなくない?」

お互い、その方面では社内でも有名人だった。
その関係で表に引っ張りだされた。
創業50周年のイベントのひとつとして。

「なに言ってるのよ!?社長も注目してるんだから!」
「そ、そうなの!?」

色んな意味で心配になる。

「とにかく、もうすぐ闘いのゴングが鳴るわよ!」
「ちょ、ちょっと!」

その言葉通り、始業を知らせるチャイムが鳴り始めた。

(No.719-2へ続く)

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[No.719-2]一生の戦い

No.719-2
recycle
お互いの力が均衡しているせいだろうか・・・。
雨が降るわけでもなく、晴れるわけでもない、曇り空が続いた。

「さすが、やるわね!」
「はぁ・・・」

驚くほどノリノリの彼女だ。
一体、何が彼女をそうさせているのだろう・・・。

「ちなみに、引き分けの場合は?」
「もちろん、再戦よ!」

一応、ルールは決められているようだが見てはいない。
いや・・・そもそも見ようとも思わない。
どうせ、負けたとしても、くだらない罰ゲームくらいだろうから。

「終業時間までだったよな?」
「そうよ・・・残り1時間くらいだね」

曇り空は相変わらずだ。
波風が立たないように、“このまま”終わって欲しい。

「負けたらどう・・・あっ!」

言い終わる前に、空が急激に暗くなってきた。
その直後、大粒の雨が地面を叩き始めた。
俗に言う、“ゲリラ豪雨”だ。

「やだぁ・・・」
「まぁ、勝負は勝負だからね」

とにかく、勝負はついた。
勝ったことより、正直終わって、ホッとした。

「ちなみに、負けたらどうなるの?」
「勝つまでやれって」
S719_2
(No.719完)
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ホタル通信 No.299

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.312 重なるイメージ
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

あるべき建物が無くなっている・・・まさしく日常を切り取った話
であり、テーマとしては何度か登場しています。

見ているようで見ていない・・・思い出せない時、苛立ちにも似
た気持ちになります。思い出せないことに苛立ちを感じるので
はなく、見ていなかったことに対してです。
単に建物が無くなっただけに過ぎないのでしょうが、そこには
誰かの人生があったはずです。何度だかそれさえも、否定し
ているような気持ちになります。

実話度は低めですが、無くなったと勘違いしていた建物や新
しく建てられた店は事実です。周りの環境も随分変っていた
こともあり、店一軒分の不自然な空間を見た時、かつてここに
店があったように反応してしまいました。
小説ではその場で、思い出せていますが、実際はかなり後に
なって思い出しています・・・というより、この近くに住む知人に
聞いてようやく事実が判明しました。

そんなこんながありながら・・・でも、いまだに、見ているようで
見ていません。それが建物であり、人であったり。
T299

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[No.720-1]ありがとうと言いたくて

No.720-1

登場人物
?=牽引役  ?=相手
-----------------------------
「まだブログは続けてるの?」
「うん、続けてる」

始めてから、丸7年以上経過した。

「小説・・・書いてるんだよね?」

実は親友にも詳しい話をしていない。

「そうだよ、小説“風”だけど」

実話や実話をベースにしている小説だ。
内容が内容だけに、たとえ親友でも教えられない。

「相変わらず、秘密主義?」
「うん・・・ごめん」

決して、身近な人を“悪く”書いたりはしない。
だから、見られても何も問題はない・・・・でも・・・。

「自分の本音やダークな部分も書いてるから・・・」

知人に見られているという意識が、内容に制限をかけてしまう。
それを避けたいがためだ。

「それにしても、よく続けられるよね?」
「もともと、そんな気はなかったんだけど」

単に自己満足の世界だ。
読んで欲しいというより、書き続けることに価値を見出している。

「ただ・・・」

こんな私に付き合ってくれる人がいる。

(No.720-2へ続く)

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[No.720-2]ありがとうと言いたくて

No.720-2

「頻繁に“拍手”をくれる人が居るんだ」
「・・・誰?」

誰かは分からない。
多少なりともブログ仲間がいるので、その人かもしれない。

「もしかしたら、あの人かな・・・って思うこともあるけど」
「多分、見ず知らずの人だと思う」

特にコメントを残してくれるわけでもない。
ただ、拍手ボタンを押してくれる。

「へぇ~、あなたが謎の人なら、その人も謎の人ね」
「そうなるね」

こんなつたない“小説もどき”のブログに付き合ってくれる。
自己満足で良いとは言え、嬉しくないわけがない。

「コメントを・・・欲しいな・・・と思ったこともあったけど」
「今の距離感が丁度、いいのかもしれない」

近づけば遠のいてしまうような気がしている。

「距離感か・・・分かるような気がする」
「それでも、日頃のお礼はしたいので」

それなら、いっそのこと、小説で伝えようと考えた。

「あなたらしい考えだね!」

直接的に書くのも照れくさい。

「とにかく、“ありがとう”と言いたくて」
S720
(No.720完)
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