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2016年7月

[No.700-2]グリーティングカード~玲奈~

No.700-2
recycle
「これで・・・よし・・・」

達也の24回目の誕生日にグリーティングカードを送ることにした。
日時を指定し、自動的に送るように設定した。

「これは、ちょっと後に届くように・・・と」

もう一通はほんの少しだけ遅れて届くように設定した。
内容は相当悩んだ末にアレに決めた。
達也なら、きっとそうくると思って・・・。

「後は当日を待つだけね」

その当日までには約半年ある。

(・・・でも、本当は届かないで欲しいな)

出来ればカードじゃなくて、直接祝ってあげたい。
23回目の誕生日のように。
でも、半年後、私はもうこの世には居ない。
recycle
達也が私の名前を叫んでいる。

(そんなに大きな声出さなくても聞こえてるわよ・・・)

薄れて行く意識の中で、彼のことを想う。

「達也・・・それ、つまんないよ」

半年後、出会える時を信じて、私は永遠の眠りについた。
S700
(No.700完)
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[No.701-1]さすが雨男

No.701-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo
女性=相手
-----------------------------
「あっ!やっぱり、降って来たね」

もはや、一種の特殊能力として見られるようになった。

「・・・みたいだね」
「さすが雨男ね!」

今までイベントごとはことごとく敬遠されてきた。
雨男に何の科学的根拠がなくても。
それが今では・・・。

「ここまですごいと、もう尊敬の域だよね?」
「何度も言うけど、単なる偶然だよ」

ただ、偶然を超えた域にあるのは間違いない。
それが何かとは言わないが。

「でも、今みたいに外に出た途端、ポツリポツリ・・・」

それは否定しない。
昨日は、外に出た途端、大粒の雨に見舞われた。
・・・なのに、外から戻ってきたら、それが止んだ。

「誰か見てるのかもな」
「やっぱり、居るのかもしれないね!」
「雷様か?」

そうこう話している内に、雨は激しさを増してきた。

(No.701-2へ続く)

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[No.701-2]さすが雨男

No.701-2

「・・・悪いな」
「ん?雨のこと?」

自分のせいではないのは分かっている。
けど、誤らずにはいられない。

「雨男なんだから仕方ないでしょ?」

ここまで肯定的な人は始めてだった。

「そうだけど俺といると雨に祟られる可能性が高くなるぞ」
「別にいいよ」

まさか雨が好きってこともあるまい。
特に梅雨時期は、うっとうしい以外の何物でもない。

「ところで、ランチどうする?」
「しばらく止みそうもないぞ」

さすが雨男と言えば良いのか・・・。

「もちろん、食べるわよ」

仕方なく、傘を広げる。

「えっ?何だよ・・・自分の傘、使えよ」
「いいでしょ?忘れてきたんだから!」
recycle
後日、彼女は僕以上の“雨女”だと知った。
S701
(No.701完)
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ホタル通信 No.290

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.380 中途半端
実話度:☆☆☆☆☆(00%)
語り手:女性

実話度は、ほぼゼロに近いです。高校生の女の子とすれ
違ったこと、大人びた髪型や化粧だった・・・という事実を
もとに書いています。

これに限らず、「すれ違った」後に小説のネタが生まれる
ことが少なくありませんし、これを大切にしています。
“一期一会”という言葉がありますが、すれ違いの出逢い
は、“一期一会”をはるかに凌ぐ、短さです。
すれ違う瞬間に何かを感じるとること・・・小説を書き続け
て行くための大切な要素だと思っています。

さて、小説の内容ですが、二人の他愛もない話が、延々
と続く感じに仕上げています。
以前にも書きましたが、あくまで日常の会話を小説風に
仕上げているので、基本的に伏線があったりすることは
ありません。
ただ、余りにも日常会話的だと、展開や結末がグダグダ
になってしまいますので、ある程度、起承転結は意識し
て作っています。

ラストの“中途半端は若さの特権”の部分は、経験談で
もあります。ただ、途中で諦めたりする意味での中途半
端ではありません。
一生懸命だけど、それに“色々なものが付いて来ていな
い”という意味で書いています。
T290

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[No.702-1]閉じた店

No.702-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
“寝耳に水”とはこのことかもしれない。
ちょっと、大袈裟かもしれないが・・・。

「・・・えっ!?ウソでしょ・・・」

予期せぬ友人の言葉に、それ以上言葉が続かなかった。

「私も行ってビックリしたよ」
「だって、更地になってたんだもん・・・」

行きつけの店が、無くなっていたらしい。

「しばらく、通ってなかったもんね・・・」
「そうだね・・・半年くらい?」

特に通わなくなったことに理由はなかった。
単に、足が遠のいていただけだ。

「無くなるとは夢にも思わなかったよ」
「・・・それは私もよ」

店は結構、繁盛していた。
固定客も多かったと思う・・・私たちのように。

「私、あそこのパスタ以外、無理!」

大袈裟な表現ではない。
実際、いくつかの店を回っても納得できる味には出会えなかった。

(No.702-2へ続く)

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[No.702-2]閉じた店

No.702-2

「・・・なにかあったのかな?」
「私たちが行かなくなったせい?」

そうじゃないとは分かっていても、そんなことを考えてしまう。

「突然・・・?」
「どうだろう・・・」

もしかしたら、予告があったのかもしれない。
私たちが通わなかった時に。

「いずれにせよ、どうしよう・・・」

他の店では食べる気がしない。

「諦めて、新しく見つけるしかないかなぁ」

ただ、知りうる限りの店は回ったつもりだ。
その上での“あの店”だった。
だからこそ、見つけるのはそう簡単なものではない。

「無くなったら、余計に食べたくなってきちゃった!」

とにかく“一時代が終わった”そんな感じがする。

「もう見つけたよ、新しい店」
「えっ!?ウソ・・・」

その行動力は、友人の恋愛、そのものだった。
S702
(No.702完)
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[No.703-1]3-1=3

No.703-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「あれ?一匹足りない・・・」

少し前から、とらネコの親子を見かけるようになった。
ただ、子ネコは二匹いたはずだった。
recycle
「・・・それは心配ね」
「近くに国道も走ってるからね」

数日前から、子ネコが一匹居なくなっていた。

「近くに居るとは思うんだけど・・・」

まさに“やんちゃ盛り”といった子ネコだった。
アチコチ冒険の旅に出ていても不思議ではない。

「けど、もう一匹は親ネコにベッタリなんだよね」

性格の違いだと言えばそれまでだ。
でも、やんちゃ盛りとは言え、親に甘えたい“盛り”でもあるだろう。

「昨日の朝、ちょっと辺りを探してみたんだけど・・・」
「えぇ~!?昨日は遅刻の理由はそれ!?」

先生に対しては、“体調不良”だったことにしている。

「まぁ・・・そうかな?」
「全く、もぉ・・・相変わらずなんだから」

とにかく、ここ数日姿を見ていないので心配だ。

「仕方ないわね・・・いつも居るの?」
「多分、居ると思う」

通学の行き帰りに、ほぼ見かけることを考えれば。

「今日の帰り付き合ってあげるよ」

さすが友人・・・何だかんだ言いながらも助けてくれる。

(No.703-2へ続く)

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[No.703-2]3-1=3

No.703-2
recycle
「じゃぁ・・・始めますか!」

早速、手分けして探し始めた。
でも、夏ということもあり、草木が捜索の邪魔をする。

「・・・まさか!ってことないよね?」

それは保証できない。
子ネコが大人になれる確率は低いと聞いたことがある。

「その時はその時よ!」

覚悟を決めた・・・捜索にも熱がこもる。
でも、結局見つけることはできなかった。

「・・・大丈夫よ!どこかでふてぶてしく生きてるわよ!」
「うん・・・」

そう願いたいし、そう信じたい。
その時だった・・・。
一匹の子ネコが茂みから顔を覗かせた。

「こ、この子?」
「ううん、色が違う」

目の前の子ネコは、薄い茶色だった。

「けど、初めて見た、この子・・・」
「・・・おいで」

まだ警戒心が薄いせいだろうか・・・ヨチヨチを私に寄ってきた。

「新しい命が誕生してたんだね!」

彼らは人間が考える以上にたくましい。
あの子も、きっと・・・生き抜いている。
S703
(No.703完)
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ホタル通信 No.291

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.332 愛は悲しみより深い
実話度:★☆☆☆☆(20%)
語り手:女性

小説のタイトルは、ある歌詞のワンフレーズを、一部“字”を
換えて採用しました。

実話度は高くありません。どちらかと言えば小説のタイトル
から話を作り上げたようなものです。
前半は全体が伏線のような作りで、後半になると一気に話
が展開して行きます。このような展開方法は自分の中では
定番のやり方で、ひどい時には99%が伏線で、最後の1行
で話しが展開して、そのまま終話することも、珍しくはありま
せん。

冒頭の“どん底の底を見上げる”という表現は私が考えたも
のではなく、テレビからの受け売りです。
ただ、その表現に似た体験をしたことがあったので、タイトル
と相まって、小説が誕生しました。実話度は低いですが、多
少、思い入れがある小説のひとつです。
内容については、読んで頂いた通りです、特に大きなヒネリ
は入れていません。

ですが小説のラストは、ややヒネリを入れています。
とは言うものの、タイトルと同じ意味合いのオチを持ってきて
いますので、そんなに“?”なオチではないと考えています。
ただ、最初からそれを狙っていたわけではなく、たまたま話の
展開上、そうなったように記憶しています。
T291

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[No.704-1]まずい料理

No.704-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
“すれ違い”が始まりだすと、それが延々続くことがある。

(・・・もう、だめなのかな?)

遠距離恋愛中の彼と、もう半年以上、逢えていない。
別に彼だけのせいじゃない。
お互いの都合が合わないだけだ・・・多分・・・。

『ねぇ、来週の週末は逢える?』

LINEで確認する。
最近は直接電話することさえ、臆病になっている。

『今の所、大丈夫だよ』

半年前までなら、この言葉が覆されるようなことはなかった。
だから、一種の社交辞令のように聞けた。

『うん、分かった』

でも、今はかなりの不安を覚えしまう。
実際、ここ半年は“大丈夫”ではなくなっているからだ。

『今度こそ、お互い何もないよね?』

つい、心の声を文字にしてしまった。

『・・・だと思うけど』

仕事をしている以上、急に予定が入ることもある。
それが運悪く続いた・・・そう思いたい。

(No.704-2へ続く)

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[No.704-2]まずい料理

No.704-2

ただ、良くないことを考えてしまう。
ここまで、逢えない日が続いてしまうと・・・。

『晴れるといいね!』
『そうだな』

梅雨の真っ最中だ。
逢える日も、雨の可能性が十分ある。

『でも、雨でも二人で居れるならいいや』

特別なイベントなんていらない。
今は彼に逢いたい・・・ただ、それだけだ。

『その時は家で手料理でもお願いするよ』

今まで聞いたことがないセリフに、返信を打つ手が一瞬止まる。

『私の料理でも大丈夫なの?』

お世辞にも上手じゃない。
以前、手料理をご馳走したが、それっきりになった。
その理由は私が一番分かっていた。

『しばらく食べてないと恋しくなるよな』
『それって嫌味?』

仕方ない・・・私の“まずい”料理でもご馳走することにしよう。

『でも、どうしたの急に?』
『そろそろ体を慣らしておこうかと思って・・・君の手料理に』
S704
(No.704完)
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[No.705-1]スタブロ

No.705-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
「わぁ~!久しぶりに聞いたよ、その言葉!」

ほろ酔い加減の先輩の口調は軽やかだった。

「もしかして陸上部だったんですか?」
「そうだよ」

今日でかれこれ何回目の“歓迎会”だろうか・・・。
新入社員の私にとっては、何とも複雑な心境だ。

「見よ!鍛えられたこの肉体!」

そう言うと、Yシャツを脱ぎ始めた。

「ちょ、ちょっと!?」

大急ぎで止めに入った。
現役時代は確かにそうだったかもしれないだろう。
けど、今は・・・。

「なに?」
「い、いぇ・・・別に・・・」

心の声が顔に出ていたようだった。

「そ、それより、スタブロ!」
「おう!・・・そうだったな」

急いで話をもとに戻した。

(No.705-2へ続く)

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[No.705-2]スタブロ

No.705-2

「日常生活の中では使わない言葉だよな」

私だって、高校を卒業して以来、一度も使ったことがない。

「なんでまた急に思い出したの?」
「えっ・・・まぁ・・・テレビを見てたら・・・」

端的に言えば、青春ドラマをやっていた。
その際、スタブロが目に入った。

「それがアップになったシーンがあって」

もちろん、それ自体を目にする機会は全くないわけじゃない。
でも、今まで気に留めたことはなかった。

「そのドラマを見てて、色々思い出しちゃったのかな・・・」

当時、学校は違えど、付き合っていた彼も、陸上部だった。

「スターティングブロック・・・略して、スタブロ」
「・・・関係者しか分からないよね、きっと」

確かにそうだろう。

「思い出すよな・・・スタート時の緊張感・・・」
「そして、号砲で一気に飛び出す開放感!」

ここへ来て、先輩との距離がグッと近くなった。
今は思えば、この時、私たちの恋もスタートをきっていた。
S705
(No.705完)
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ホタル通信 No.292

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.311 右手の指輪
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

小説のようにかなり突っ込んだ話はありませんでしたが
相手の女性は実在の人物です。

指輪の位置に、男性が想像しているほど深い意味がな
いことを知ってはいたので、少し強引に、話を作ってしま
った感があります。
実際、小説の重要なポイントである「どの指から、どの指
に替わったのか」を書いていません・・・というより“書けな
かった”というのが正直な感想です。
本当は、友達と恋人を意味する指が明確に存在しておれ
ば良かったのですが・・・。

さて、この小説は比較的、気に入っています。よく読めば
辻褄が合わない部分がチラホラあるものの、何とか体裁
は整えています。
冒頭、実在する人物と書きましたが、この人は当ブログで
頻繁に登場する女性のひとりです。その女性の指輪がと
ても印象的だったので、このアイデアを思い付きました。
ただ、小説のような会話には進展せず、「聞くに聞けない」
状態でした。

彼女とは特別な関係ではありませんでした。別の見方を
すれば、彼女が僕に対して“牽制球”を投げていたのかも
しれませんね。その牽制球が、どちらの意味を持つのか、
真相は闇の中です。
T292

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[No.706-1]さながらホラー話

No.706-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo
女性=相手
-----------------------------
ふと思い出し、久しぶりにそれを見た。
recycle
「知ってるよ」

あっさり、彼女が答える。

「私もアニメは、嫌いなほうじゃないから」

たいして好きでもないよ、と言っているように聞こえなくもない。

「昨日、久しぶりに見たんだ」
「あなたのタイプでしょ?彼女」

だから女性はこわい。
話の確信どころか、まだ一言しかしゃべっていないのに・・・。

「よく分かったな!?」
「女性なら誰でも分かるわよ」

表情や仕草にでも出ていたというのだろうか?

「ところで、さっき“彼女”って言ったよね?」

そのアニメには、ヒロインと準ヒロインがいる。
その他に主役クラスの女性が4人。

「特定できてるの?」
「もちろんよ」

このアニメの話は初めてしたはずだ。
それに、好みのタイプも話したことはない・・・はずだ。

「俺・・・好みのタイプ、しゃべったことあった?」
「ううん、聞いたことないよ」

それなら、なぜ分かるのだろうか?

(No.706-2へ続く)

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[No.706-2]さながらホラー話

No.706-2

もしかしたら、好きな芸能人の話でもしたのかもしれない。

「知りたい?」
「あっ・・・う、ううん・・・」

どこかで、口を滑らせていなければいいのだが・・・。

「写真よ、写真!」
「写真?」

大急ぎで思い出す。

「アルバムって言ったほうがいいのかな?」
「・・・あっ!?あれかぁ~!」

以前、子供の頃のアルバムを見せたことがある。

「俺の部屋の写真・・・だよね?」
「そうよ」

高校生活の数少ない一枚だった。

「でも、よく覚えてた・・・というか、見てたな?」
「意外と気にするものよ、女子は」

知らなかった事実だ。

「けど、アニメだけに限らないけどね」
「えっ!?」
「アイドルでも、そうじゃない普通の人だって・・・」

この先は聞きたくないような気がする。

「・・・そんなに怖がらなくてもいいでしょ?」

さながらホラー話に聞こえるのは俺だけだろうか・・・。S706
(No.706完)
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