« [No.177-1]時の引換券 | トップページ | ホタル通信 No.028 »

[No.177-2]時の引換券

No.177-2

『・・・あかつき・・・』

祖父母が住んでいた長崎へ向かう列車の名前だった。

中学にあがる前までは頻繁に長崎へ連れらて行った。
それが卒業を機に足が遠のいた。
両親のせいでもない・・・誰がどうした、ということでもない。
でも、自然な流れと言ってしまえば、それまでになってしまう。。

誰にも責められたりしないのに、妙に言い訳したくなる。

『色々な意味で時代の流れなんでしょうね』

確かに大幅に時間は短縮された。
一晩掛けて辿り着いていた場所は、今や数時間あれば足りる。
けど、その時に失われたものも多いはずだ。
時間と引き換えに手にしたものは・・・そんなに多くない。

『今は予約が取り難いそうですね』

子供にとって列車の旅は案外きつい。
環境と心境が重なって、寝苦しかったことを特に覚えている。
子供心に寝台車を楽しむ余裕などなかった。

『夜行列車が昔のように増えるといいですね』

時間と引き換えに何かを取り戻したい。
そんな想いで人は再び切符を手にするのだろうか。

(No.177完)

読み終えたら、クリックして頂けると、励みになります。
ブログランキングへ ブログランキングへ web拍手 by FC2

|

« [No.177-1]時の引換券 | トップページ | ホタル通信 No.028 »

(008)小説No.176~200」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/104673/48713192

この記事へのトラックバック一覧です: [No.177-2]時の引換券:

« [No.177-1]時の引換券 | トップページ | ホタル通信 No.028 »