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[No.68-1]ドキドキ感

No.68-1

電車が揺れる度に、あの人の背中に触れる。

(大丈夫よね・・・)

車内は多少、混んでいる。
それでも、不自然にならないように、うまく演じてみせた。
微妙な距離は、心のドキドキ感と反比例する。
二人の距離が減って行けば、ドキドキ感は増して行く。

きっかけは、単純だった。

「あ!ご、ごめんなさい」
電車が大きく揺れ、あの人の背中にぶつかった。
「大丈夫か?」
第一印象はちょっと、ぶっきらぼうな感じだった。

同じ時間、同じ車両・・・。
通勤や通学は、だいたいそうなると聞いたことがある。
だから、毎朝、こうやっていられるのかもしれない。
けど、間もなくそれも終わる。
ホームの階段を駆け上る、あの人の姿を見送る。
あの人は共学に通い、私は女子高へ通う。

「早く明日になればいいな」

「ん・・・?何よ急に・・・」
(いけない!つい口に)
駅で待ち合わせていた友人に、変な目で見られた。
「何・・・あの人?」
友人には、以前から話している。

「そろそろ、名前ぐらい聞いたら?」

確かに、いまでも“あの人”と呼んでいる。

(No.68-2へ続く)

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