[No.56-1]エンドロール
No.56-1
ポインセチアの花を置いた。
なぜ、そんなことをしたのか自分でも分からない。
当時、好きだったアーティストの歌詞に出てきた花だ。
名前の響きが良かった・・・ただ、それだけだ。
「それ、どこに置いたの?」
話の流れで高校時代の恋バナになった。
「彼のバイト先・・・ファストフード店の入り口よ」
「なんでそんなことしたの?」
「さぁ・・・今でもわかんないよ」
別に何かを隠しているわけではない。
なぜ、あんな行動に出たのか、今でも理由が見つからない。
花を置いた時、彼とはもう別れていた。
少しでも、自分の痕跡を残したかったのだろうか・・・。
「手紙とか付けた?」
「付けたよ。でも・・・」
「名無し・・・ってことね?」
「それに・・・」
私の名前は書かなかった。
それに、彼の名前も書かなかった。
「みんな悩んだんじゃない?」
誰から誰に対しての贈り物なのか・・・。
花言葉を考えた人も居たかもしれない。
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