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[No.12-1]卒業

No.12-1

「ねぇ、奈美の卒業ソングってなに?」

毎年、この時期になるとテレビやラジオで、卒業にまつわる特集が始まる。
“卒業ソング”もその一つだ。
ただ、誰もが学生時代を思い出し、懐かしむわけではない。
私もその一人だ。

「私はね・・・ほら、あの歌・・・なんだっけ・・・」
寛子は、なかなか思い出せない自分を楽しんでいるようだ。
「私は、どれも違うかな」
私は少し考える振りをして答えた。
「違う?」
「そ、違うの。まぁ、いいじゃないの、人ぞれぞれなんだしね」
寛子の話をさえぎった。

私にとっての卒業ソング・・・正直、私に当てはまる歌はない。
歌詞がどうとか、メロディーがどうとかではない。
(私ね、高校中退なんだよね)
つい、言ってしまおうか、悩む。
「じゃ、中学とか小学校とか、あるんじゃん」
多分、寛子ならこう聞いてくるだろう。それはそれでめんどくさい。
中学生の頃は、まだ子供だったから、卒業にそれほど深い意味も想いも残していない。
(私にとっての卒業ソング・・・か)
寛子と別れた後、帰路に付く電車の中で、つい考えこんでしまった。

(No.12-2へ続く)

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