カテゴリー「(034)小説No.826~850」の50件の記事

[No.850-2]横を向いてばかりで

No.850-2

「正直に言えば、当時・・・」

あまり、川の生き物を見ていなかったと言う。

「あらためて見ると、結構居るんだなぁ・・・と思って」
「・・・まぁ、そうだな」

昔と変わらない光景だ。
もしかすると、昔よりも生き物は増えたかもしれない。

「なかなかワクワクする川だろ?」
「そうね!」

今なら、ある意味“インスタ映え”するかもしれない。
甲羅干しするカメの数は圧巻だ。

「けど、なんで当時は見てなかったの?」

今の姿とは対照的なだけに、つい深掘りしたくなる。

「前を見てたからだよ」
「あっ・・・そ、そうなんだ・・・」

味気ない答えが返ってきた。
当たり前と言うか、面白みに欠けると言うか・・・。

「なのに、あなたは横を向いてばかりで」
「えっ!?どういうこと?」

何だか話が急展開してきた。
彼女の話している内容が理解できない。

「でも、今になってその気持ちが理解できたわ」
「ちょ、ちょっと待てよ・・・何の話?」
S850
(No.850完)
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[No.850-1]横を向いてばかりで

No.850-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
「見て見て!」

彼女が向こう岸に群がるカメを指さす。

「甲羅干ししてるんだよ」
「そうなの!?」

それにしても相変わらずの数だ。
視野を広げれば、あちこちに群れができている。

「ほら、大きな魚も居るよ!」

僕にとっては見慣れた光景だ。
学生時代、この川沿いの道が通学路だったからだ。

「・・・見慣れてるよな?」

彼女も僕と同じ通学路だった。
ただ、学校が違ったせいで、方向は真逆だった。

「見慣れてるような・・・見慣れていないような・・・」

なんとも煮え切らない返事だ。
ただ、よく考えれば彼女の言う通りかもしれない。
カメだの魚だの、騒ぐのは男子だけだろう。

「まぁ、女子向きじゃないのは確かだな」
「でも、さぁ・・・」

今更、反応を示すのも不思議だ。

「大人になって、カメとかが好きになったの?」
「まさか!」

それにしては、そこそこのはしゃぎっぷりだ。

(No.850-2へ続く)

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[No.849-2]潮干狩り

No.849-2

「何らかの感情?」

言葉では説明しにくい。

「少なくとも、懐かしさとは違う」

ある意味、何かに“せかさせている”ような感じだ。

「“久しぶりに行ったら?”と、言われているような・・・」

もちろん、オカルト的な要素は一切ない。
ただ、何となく、天の声と言うか・・・。

「世間では、それをオカルトと言うんじゃない?」
「あはは・・・だろうな」

とにかく、誰かに背を押されてここに来てしまった。

「まぁ、大した準備も必要ないし」

唯一、熊手を買ったくらいだ。
2本買っても、1000円で十分お釣りが返ってきた。

「ようやく実現した・・・って感じかな」

実は数年前からそんな気持ちになっていた。
それが今、叶った。

「けど、二人で来ることは想定外だったぞ」
S849
(No.849完)
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[No.849-1]潮干狩り

No.849-1

登場人物
男性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
少なくとも中学生になってからは行った記憶はない。
そう考えると、・・・年ぶりに来たことになる。

「私なんか、一度も来たことがなかったよ」

僕の場合、実家が海に近い。
加えて、小学校の行事にもなっていた。

「そこそこ距離はあったけど」
「歩いて行けない距離ではなかったな」

ワイワイと騒ぎながら歩けば、そのうち着いてしまう。

「私の場合、海は遠かったな・・・」
「・・・だろうな」

彼女の地域は、内陸に位置していた。
僕もそこに住んでいたことがあるからよく分かる。

「それに、そんな季節も短いからね」
「そもそも、やってたのかな?」

あえて調べたこともないから、何とも言えない。

「でも、急にどうしたの?」
「うん・・・なぜだか、妙に行きたくなって」

テレビとかで見掛けたからではない。
何らかの感情が心の底から、沸々とわいてきたからだ。

(No.849-2へ続く)

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[No.848-2]小鳥のさえずり

No.848-2

「それよ!そ、れ!」

勢いで、口から出てしまった。

「・・・なによ、それって?」

急に友人のテンションが下がる。
でも、もう引き下がれない。

「さっき、なに言ったか覚えてる?」
「“恥ずかしいじゃない”とは言ったけど?」

そうじゃない。
一番最初の言葉だ・・・いや、正確には言葉じゃない。

「言葉じゃない?」
「チッ・・・なぞなぞのつもり?」

また、それが出た。

「あなたの悪い癖よ、舌打ちするの」
「・・・」

さらに、テンションが下がっている。
友人とは言え、指摘されるといい気はしないだろう。

「そうなんだ・・・」
「ごめん、全然、気付いてなかった」

ただ、言葉とは裏腹に、申し訳なさそうな雰囲気はない。
逆に、何か吹っ切れているように見える。

「でも、そんなに気になる?」

今度は開き直ろうとしている。

「小鳥のさえずりと思えば、かわいいものでしょ?」
S848
(No.848完)
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[No.848-1]小鳥のさえずり

No.848-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
友人だからこそ言わなくてはならない。
ただ、友人だけに言いづらいのも確かだ。

「ちょっと気になってることがあるんだけど・・・」
「えっ!・・・やっぱり、気付いてた!?」

友人から意外な返事が返ってきた。

「・・・私も、そうじゃないかと思ってたんだ」

それなら話が早い。
今のうちに、サラッと言ってしまおう。

「は・・・」
「ちょっと、太ったんだよね・・・」

友人に発言を遮られてしまった。

「これからの季節、目立つよね?」
「ん・・・いや、まぁ・・・そうね」

話が思わぬ方向に進み始めた。
気になっていることは、それじゃない。

「言ってくれてありがとう!」
「持つべきものは友人ね!」

完全に誤解されている。

「そうじゃなくて・・・」

早めに話を戻した方がいいだろう。

「違うの!?」
「チッ・・・なによ、もう・・・恥ずかしいじゃない!」

その、気になっているものが、たった“今”出た。

(No.848-2へ続く)

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[No.847-2]小さな庭

No.847-2

「憧れるよな・・・」

目の前に、ファンタジー風の小さな庭が見える。
一見すると意味不明な物が、逆にそれらしさを演出する。

「不思議な空間ではあるわね」
「ある意味、僕の理想だな!」

何となくこんな感じが好きなのは知っていた。
芸術的なセンスが彼にはある。

「広々とした庭より・・・」
「狭いくらいがちょうどいいんでしょ?」

私もどちらかというと後者だ。
その点に関しては、彼と意見が合う。

「そう!それそれ!!」

良く言えば、お互い物に囲まれて生活したいタイプだ。
その方が妙に落ち着く。

「お楽しみのところ悪いけど・・・」
「そろそろ行かない?」

お腹がペコペコだ。
そもそも、目的地はここではない。

「ごめん、ごめん!けどさぁ・・・」
「来年は実際にこんな庭で暮らしてみないか?」

S847
(No.847完)
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[No.847-1]小さな庭

No.847-1

登場人物
女性=牽引役  男性=相手
-----------------------------
「楽しみに待ってたんだ!」

いつになく目がキラキラしている。

「そんなにぃ!?」
「だって、すごいだろ!?」

二人ともつい声が大きくなってしまう。
人通りが多い、ショーウィンドウの前だからだ。

「そうなんだろうけど・・・」

個人的には、あまり興味はない。
これよりも普通に、装飾品の方がいい。

「去年も今頃だよな?」

デパートらしく、毎月、ショーウィンドウの内容が変わる。
初夏には、これが登場することが多い。

「去年は5月だったよ」
「なんだよ、結構、気にしてるじゃん!」

去年もこの調子だった。
これだけ騒がれると、その気がなくても記憶に残る。

「ふぅ~・・・まぁ、いいわ・・・」

大したことでもない。
しばらく彼に付き合ってみることにした。

(No.847-2へ続く)

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[No.846-2]即・既読

No.846-2

ある男性のLINEを開いていた。
もちろん、ちゃんとした理由はある。

「好きだから?」
「ち、違うわよ!」

嘘じゃない。
好意はあっても、恋愛上の“好き”という感情ではない。

「まぁいいわ、続けて」
「以前、写真が送られて来てたのを思い出して・・・」

その写真が必要になった。
だから、彼のLINEを開いていた。

「そしたら、彼からLINEが来ちゃって」
「それって、もしかして・・・」

もしかしなくても、“即既読”というやつだ。

「LINEのやり取りの最中なら“あり”なんだろうけど」

それ以外なら、たまたまとは言え、誤解を招きかねない。

「狙ってた?」
「ま、まさか!」

それに関しては、完全に否定できる。

「で、彼の反応は?」
「・・・今までとなにも変わらない」

実は、こっちの方が、もっと恥ずかしかった。
S846
(No.846完)
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[No.846-1]即・既読

No.846-1

登場人物
女性=牽引役  女性=相手
-----------------------------
以前、ある動画を見た。
その内容が、今、目の前で起きてしまった。

「ちょっと聞いてくれる!?」
「め、珍しいわね!?あなたの方からなんて」

いつもとは逆の立場だ。

「今思い出すだけでも恥ずかしい・・・」
「えっ・・・何したのよ?」

行為自体は、非常に小さい。
何かをした・・・というには程遠いほど、ささいなことだ。

「以前、LINEの“あるある動画”の話をしたじゃん?」
「あぁ・・・あの面白かったやつね」

LINEにまつわる“あるある”を再現した動画だった。

「女の子の演技が良かったよね~!」
「表情なんて最高・・・・って、おい!」

勢いで、ノリつっこみをしてしまった。

「もぉ!話が違う方向に行っちゃうじゃない・・・」
「・・・で、その“あるある”が実際に起きちゃって」

もちろん、“あるある”だけに、誰にでも起きる可能性はあった。
けど、実際起きて見ると、その恥ずかしさたるもの・・・。

「結局、何が起きたって言うの?」
「・・・たまたま・・・ね」

(No.846-2へ続く)

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