カテゴリー「(032)小説No.776~800」の50件の記事

[No.800-2]僕のポジション

No.800-2
recycle
ある日、彼女がLINEで写真を送ってきた。
彼女が飼っている犬の写真だ。

『急に寒くなってきたよね!』

その犬は毛布のようなものに、くるまっていた。
実際、ここ最近、急激に気温が下がっている。

「また、いつものパターンか・・・」

特に意味があるとは思えないスタンプが返ってきた。

『風邪には気を付けてね』

こっちも当たり障りのない返事を返す。
すぐに、話の流れとは無関係なスタンプが返ってきた。

「しばらく文字を見てないよな・・・」

会社では、文字による会話が成立してる。
けど、LINEだと、写真かスタンプしか送ってこない。

(嫌われてはいないと思うけど・・・)

嫌われているなら、頻繁にLINEしてこないはずだ。
ただ、文字がない分、全く感情が読めない。

「僕って、どんなポジションなんだろうか・・・」

彼女の気持ちに気付いていないだけ?
物思いにふけるには丁度良い季節かもしれない。
S800_2
(No.800完)
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[No.800-1]僕のポジション

No.800-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
『質問があるんだけど』

忘れた頃に、こんな連絡が入る。

『どんなこと?』

メールではない。
言わば、チャットのようなソフトだ。

『・・・について聞きたいんだけど』
『あぁ、それなら・・・』

個人的に入れているわけではない。
業務用として正式にインストールされている。

『・・・すればいいよ』

仕事の話だけが淡々と進む。

『ありがとうございます』

世間話が入るわけでもなく、話が終わる。
業務中だから、当たり前と言えば当たり前だけど。

『また、何かあったら連絡して』

隣近所も居るのに、わざわざ僕のところに問い合わせしてくる。
特別、僕が仕事に精通しているわけじゃないのに。

(No.800-2へ続く)

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[No.799-2]犬の目線

No.799-2

「たまには散歩もいいでしょ?」
「まぁ・・・ね」

どちらかと言えば、いやいや散歩に付き合っていた。

「土日だけでもどう?」
「話をすりかえないの!」

本音を言えば、悪くない提案だ。

「気が向いたら、付き合ってあげるわ」
「そうこなくっちゃ!」

目線が変わると、聞こえてくる音さえ変わる気がした。
風の音や川のせせらぎさえ、聞こえてきそうだ。

「小さい頃は、いつもこんな目線だったよね」

もっと草花が身近に感じられた。
そこで暮らす生き物たちも。

「それに、色んなものを拾ったり・・・」

私の場合、きれいな石を見つけては宝物にした。

「そうそう!何か落ちていないかな・・・」

昔を思い出して、辺りをゴソゴソしてみた。
ぬるっとした感触が手に伝わる。

「・・・ん?うわぁ!!!!」
S799
(No.799完)
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[No.799-1]犬の目線

No.799-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「わぁ・・・きれい・・・」
「あら、ほんと」

友人と犬の散歩に出掛けた道中で見つけた。
とても小さな花だった。

「なんて花?」
「知るわけないじゃん!」

きれいな花であっても、見るからに名も無き花という感じだ。
雑草感は半端ない。

「立ったままなら気付かなかったよね」

老犬だけに、やたら休憩が多い。
それに合わせて、私も腰を落としていた。

「こうして、犬の目線になってみると・・・」

別の世界が広がっていた。
小さな花もそのひとつだった。

「ほら、模様も・・・」

よく観察すると模様のひとつひとつが手に取るように見えた。
とても繊細で、色鮮やかだ。

「遠目じゃ、全然わからないよ」

草花をこんなに間近で見たのも久しぶりだ。

(No.799-2へ続く)

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[No.798-2]210円の切符

No.798-2

「半年前かな・・・」

今日のようなシチュエーションを目撃した。
電車を降りた女性に、高校生の女の子が声を掛けた。

「“切符、落としましたよ”ってね」
「そしたら・・・」

その女性は“私のじゃない”と足早に去って行った。

「事実なんだから、その女性を責められないけど」

その女の子は何ともバツが悪そうに席に戻った。

「褒められるべき行為なのに」

車内には微妙な空気が漂った。

「・・・だよね」
「意外に尾を引くのよね・・・こんな経験」

これからは落ちている切符を見つけても躊躇するだろう。

「だから、私は受け取ったの」
「・・・私のじゃなくても」

彼女たちの行為をムダにしたくない。
それに親切心がないのは、むしろ私達“大人”のほうだ。

「210円の切符だけど」

彼女達はそれ以上の価値を生み出したんだ。
S798
(No.798完)
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[No.798-1]210円の切符

No.798-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「ICカード・・・だよね?」
「そうだよ」

友人がおそるおそる聞いてきた。

「しつこいけど、“今も”だよね?」
「そうよ」

友人がなぜしつこく聞いてくるのか、理由は分かっている。

「だったら・・・さっきの・・・」
「別に彼女たちをだましたわけじゃないからね」

さっき、高校生らしい女の子二人組に声を掛けられた。
電車から降りた直後に。

「けど、その切符、あなたのじゃないでしょ?」
「もちろん!だってICカードだもん」

彼女達からこう声を掛けられた。
“切符を落としましたよ”と。

「だったら、その切符、どうするつもり?」
「とりあえず、駅員さんにでも届けておくわ」

友人が何か言いたそうだった。

「“なぜ違うと言わなかったの?”・・・なんて顔ね」
「だってそうなるでしょ!?」

これにはちゃんとした理由がある。

(No.798-2へ続く)

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[No.797-2]避けるのが上手い

No.797-2

「目の前の弾を避けるだけじゃなくて・・・」

彼がテクニックを語り始めた。

「避けた先の先も見据えておかないと」
「・・・追い詰められるんでしょ?」

彼が驚いた顔をしている。

「・・・詳しいな?」
「あれ、話してなかった?」

ゲームは男性だけのものじゃない。

「ゲーマーなの?」
「その昔ね」

今は、スマホでぬるいゲームをたしなむ程度だ。

「・・・とか、得意だったわ」

さらに彼が驚きの表情を見せた。

「今度、一緒にゲーセンに行かない?」

シューティングゲームには、もうひとつ上達するものがある。

「いいわよ」

たった今、彼は私に撃墜されたのだ。
S797
(No.797完)
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[No.797-1]避けるのが上手い

No.797-1

登場人物
virgo女性=牽引役  shadow男性=相手
-----------------------------
「へぇ~、運動神経がいいのね」
「まぁ・・・な」

すれ違う人波を、器用に避けて歩いている。

「よくぶつからないわね!?」

サッカー選手がドリブルで敵陣を突破するのに似ている。
大袈裟な表現だけど。

「得意なんだよ、こんなこと」
「何かスポーツでもしてたの?」

身のこなし方は、なかなかのものだ。

「いいや・・・でも、今はスポーツかもな」
「・・・今は?」

彼が、その理由を話してくれた。

「昔からシューティングゲームとか得意でさ」

簡単に言えば敵に撃墜されないようにするゲームだ。

「だから、避けるのが上手くなった?」
「あぁ、それは間違いない」

確かに、通ずるものはあるだろう。
弾幕を避けるには、相当のテクニックがいる。

(No.797-2へ続く)

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[No.796-2]上には上がいる

No.796-2

「・・・悲劇?」
「あぁ・・・」

僕の速さは、陸上部では“普通以下”だった。
ハッキリ言えば、一番遅い。

「これくらいなら、まだいいけど・・・」

本当の悲劇はこの先にあった。

「地区の大会に出た時なんて・・・」

それこそ、全員の中でも一番遅かったかもしれない。
予選落ちどころか、本来なら予選すら出れるレベルじゃない。

「厳しい世界ね・・・」
「あぁ、自分の実力を痛感したよ」

世の中、上には上がいる。
自分が一番上なんて、よく考えなくてもあるはずがない。

「クラブ活動は続けたの?」
「あぁ・・・それでもちゃんと3年間続けたよ」

大きな成果は出なかったけど、それなりに速くはなった。

「世の中、誰もがそうじゃない?」
「・・・そうかもな」

そして、そこから新たな一歩を踏み出すのだ。
S796
(No.796完)
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[No.796-1]上には上がいる

No.796-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
小中では、いつもクラスの代表だった。

「へぇ~、すごいじゃん!」

スポーツ万能ではなかったが、とにかく足だけは速かった。

「クラス対抗戦では、いつもアンカーでさぁ」

そのため運動会では大いに目立つことができた。
リレーのアンカーは運動会の花形とも言える。

「随分、もてたでしょ?」
「まぁ・・・な」

年中・・・ともまではいかないが、運動会シーズンはもてた。

「陸上部に入っていたの?」
「いいや」

小中と、陸上部には所属していなかった。
ほかのスポーツ部にも・・・。

「じゃぁ、天性のものね」
「良く言えば、そうなるかな」

これを生かさない手はない。

「・・・で、高校の時、陸上部に入ったんだよ」

そして、悲劇はここから始まった。

(No.796-2へ続く)

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