カテゴリー「(031)小説No.751~775」の48件の記事

[No.774-2]ひまわりとセミ

No.774-2

「ほら、見てん・・・」
「・・・セミだよね?」

多分、死んでいる。
ひっくり返ったような体勢で、ピクリとも動かないからだ。

「まだ、夏が始まったばかりやのに」

対照的だった。
どちらも、夏の代表的な風物詩だ。

「ひまわりはいきいきしてるのにな」

一方、セミはその短い生涯を終えた。

「悲しいね」

そう言うと、拝むかのように手を合わせた。
つい、僕もそれにつられる。

「これでよし!」

そう言うとその場から立ち上がり、ひまわりを見つめる。

「セミの分も生きなあかんで!」

ひまわりの茎を小突いた。

「・・・だよな!」

彼女は、かつてそのセミだった。
けど、今はひまわりとして生きようとしている。
S774
(No.774完)
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[No.774-1]ひまわりとセミ

No.774-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「いきいきしてるやん!」

通りすがりの道端に、ひまわりが植えられていた。
皆、太陽を見つめるかのように咲いている。

「黄色がまぶしいな」
「せやね」

まるで黄色のお手本のような色鮮やかさだ。
虫じゃなくても、つい近寄りたくなる。

「これなんか、うちより背が高いやん・・・」

そういうと、その場で軽くジャンプをした。

「それでも、負けてるし!」
「・・・だな」

よほど悔しかったのか、そのひまわりに“ガン”を飛ばす。

「まぁ、ゆるしてあげたら?」
「せやね・・・」

そう言うと、葉っぱに手をかけた。

「なにしてるの?」
「仲直りの握手!」

この際、手ではないことは気にしないでおこう。

「・・・あれ?」
「どうした?」

急にその場にしゃがみこんだ。

(No.774-2へ続く)

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[No.773-2]思い出の品

No.773-2

「小さい頃に遊んだボールなの?」
「多分な・・・」

遊んだ記憶はあっても、そのボールだったかは覚えてない。
ただ、わずかながらその痕跡が残っていた。

「痕跡?」
「あぁ、とっても分かりやすい痕跡が・・・ね」

マジックで書かれたであろう文字がうっすらと残っていた。
たった一文字だけ。

「それって・・・」
「思ってる通りだよ」

そこには僕の名前が書かれていたのだろう。
最初の一文字だけが何とか読み取れた。

「昔はそんな習慣があったよね」

そのお陰で、捨てられずに済んだのかもしれない。

「両親に感謝ね!」
「で・・・そのボールは?」

持ってこようかとも考えた。
けど、そのまま物置に置いてきた。

「せっかくの思い出の品じゃん?」
「だからこそ、置いてきたんだよ」

もちろん、僕にとっての思い出の品だ。
でも、それは同時に両親の思い出の品でもある。
S773
(No.773完)
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[No.773-1]思い出の品

No.773-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
壁に、いい感じの段差があった。
recycle
「それって、今で言う“おひとり様”?」
「まぁ・・・そうだね」

向かいの壁にボールを投げる。
その跳ね返ってきたボールをキャッチする。
ひとり遊びの定番だった。

「壁に段差があって」
「そこに当たると、色んな角度で戻ってくるんだよね」

“フライ”もあれば、“ゴロ”もある。
変化に富んだ動きが、子供心を刺激した。

「へぇ~なんだか面白そうね!」
「例えば・・・ほら!あんな壁とか」

理想的な壁だ・・・1cm程度の段差がある。

「確かにこれなら、どんな動きをするか読めないわね」
「だろ?」

日が暮れるまで夢中で遊んだ。

「何で今頃、思い出したの?」
「先日、実家に帰った時・・・」

物置を片付けている時に、ボールを見つけた。
見るからに古いものだった。

(No.773-2へ続く)

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[No.772-2]仕事終わりの・・・

No.772-2

「・・・楽しみ?」

札幌からだと空路を使うしかない。

「まさか、飛行機に乗るのが楽し・・・」
「子供じゃあるまいし・・・違うわよ」

その楽しみは、最後の最後に訪れる。

「最後に・・・?」
「そう!東京を離れる最後にね」

商談が上手くいったとしても、いかなかったとしても・・・だ。
それは東京出張における一種のルーティンとも言える。

「・・・ということは空港だよね」
「そういうこと!」

緊張の糸が切れ、良くも悪くも身軽になる。
半面、いろいろな意味で喉の渇きもある。

「それって、もしかして・・・」

同僚が右手を“グー”の形にして、“クイッ”とそれを上に動かした。

「あったりぃ~!」

普段は付き合い程度しか飲まない。
飲めないわけではなく、飲みたい気分にならないからだ。

「でも、その時だけは無性に飲みたくなるのよね」

自分を自分で労っている・・・そんな感じだ。
仕事終わりのビールとシュウマイで。
S772
(No.772完)
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[No.772-1]仕事終わりの・・・

No.772-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
「クゥ~きくねぇ・・・」

思わず声が漏れた瞬間、周りの男性の視線が集中した。
recycle
「昨日はお疲れ~!」

同僚が開口一番、労いの言葉をかけてくれた。

「うまくいった?」
「もちろん!」

商談のために、昨日、東京に出張していた。

「けど、いいわよね~」
「またその話・・・」

いつも東京への出張を羨ましがる。

「遊びに行ってるわけじゃないんだから・・・」
「でも、話題の店とかには行ったんでしょ?」
「あのね・・・」

全くその気がないわけじゃない。
けど、時間があるようでないのが現実だ。

「えっ!?そうなの・・・つまんない」

話題の店どころか、食事さえままならない。
大切な商談の前は、いつもそんな感じだ。

「あら・・・案外大変なのね」

そんな中でも、密かな楽しみを持っている。

(No.772-2へ続く)

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[No.771-2]エチケットブラシ

No.771-2

「特に男子なんてさぁ」

女子以上に気にしていた。

「分かる分かる!」
「ほんと色気づいちゃって」

もちろん、女子だって色気づいてはいた。
けど、女子はもっと前からだ。

「暇さえあれば、ブラシでゴシゴシ・・・」

一体、何を期待しているのかと思うくらいだ。

「あれで、もてるとでも思ってたのかしら・・・」
「当時はそれがオシャレのひとつだったんじゃない?」

今、振り返れば可愛いと言うか・・・。

「けどさぁ、それはそれで懐かしいよね」

丁度、異性を意識し始めた時期でもある。
男子の行動は、良くも悪くも刺激にはなった。

「中学生の時、彼氏は?」
「居るわけないでしょ!?」

居るほうが珍しかった時代だ。

「まぁ、私もだけど・・・」

そんな男子達を冷ややかな目で見ていた。
けど、その中の一人だけは違っていた。
S771
(No.771完)
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[No.771-1]エチケットブラシ

No.771-1

登場人物
virgo女性=牽引役  virgo女性=相手
-----------------------------
懐かしいものを目にした。
もしかしたら、中学生以来かもしれない。

「エチケットブラシ!?」
「そう!久しぶりに見たよ」

ぼんやりとネットを見ていた時、それが目に入ってきた。

「懐かしいね~」

今でも現役で売られている。
だから、レトロな商品というわけではない。
むしろ、進化しているようだった。

「よく使ってたよ」
「私も」

学生服の素材の影響もあるだろう。
とにかく、小さなホコリが付着する。

「気になるよね~」
「そうそう!一度、気になり始めたら・・・」

とことん取らないと気が済まなくなる。

「でも・・・」
「思うほど取れないでしょ?」

効果がないわけじゃない。
けど、すっきりするほど綺麗には取れない。

(No.771-2へ続く)

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[No.770-2]誰のせい?

No.770-2

「昨日は、朝からデートだと知ってたでしょ?」
「あぁ、あれだけ何度も聞かされれば」

僕達は恋人同士ではない。
単に“似た者同士”の友人に過ぎない。

「わざと?」
「えっ!?ま、まさか・・・」

デートを台無しにしようと考えたと思っている。

「せめて、昨日は家に居てくれなきゃ・・・」
「ハァ・・・」

反論したくてもできない自分がいる。
自分の“雨男力”を知っているからだ。

「初デートだったのにぃ!」
「ご、ごめん」

確かに、何度も不安定な空を刺激したことがある。

「買ったばかりのワンピースも・・・」

最後まで聞かずとも分かる。

「昨日は午後から出掛ける用事があったので・・・」

なぜだか、申し訳なくしゃべってしまった。

「えっ!?午後から・・・」
S770
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[No.770-1]誰のせい?

No.770-1

登場人物
shadow男性=牽引役  virgo女性=相手
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「・・・最近どう?」
「微妙・・・だな」

何の前触れもない話でも通じ合えている。

「梅雨時期だからな」
「それもそうね」

自分は雨男だと自覚している。
科学的根拠はないが、実績がそれを物語っている。

「君は?」
「私も似たようなものよ」

それでも、梅雨に“貢献”している可能性は否定できない。
昨日も、大雨の上を行く、土砂降りの雨に変えた。

「それって微妙どころか、ストライクでしょ?」
「でも、もともと不安定な空だったろ?」

青空を土砂降りの雨に変えたのなら、そうかもしれないが。

「だから、昨日は梅雨のせいだよ」
「・・・そうなのかな」

あくまで僕を犯人にしたいらしい。

「おいおい・・・梅雨も僕のせいにするつもりか?」
「そうじゃないけど・・・」

なんとも歯切れの悪い口ぶりだった。

(No.770-2へ続く)

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