カテゴリー「(011)小説No.251~275」の51件の記事

ホタル通信 No.256

小説の舞台裏やエピソード、作者の想いを紹介します。

小説名:No.205  特別な関係
実話度:★★☆☆☆(40%)
語り手:男性

“冬のホタル”らしい作品です。発表時期はNo.205と比較的
時間は経過していますが、エピソードは初期のものです。

前半はほぼ実話です。彼氏の悪口を本気で言う、彼女。
それを聞く立場の僕・・・。
その時、僕は一言で言えば「信頼されている特別な立場」
の人間だと思っていました。
誰にも話せないことも含めて話してくれる・・・もしかしたら
信頼以上のことが何かあるんじゃないかとを期待していま
した。
小説にも書いた通り、その特別感は一種の優越感でもあり
本気で「彼氏に勝った」と思っていました。前述した通り、信
頼以上の期待、つまり“好意”を勝ち取ったのだと勘違する
ことになった瞬間でもあります。

後半は創作で、前半の実話を回想する形で展開して行きま
す。話は反れますが、今では珍しい登場人物が3名のパタ
ーンですね。
女友達から女子の立場でアレコレ意見も貰って、色々と気
付かされて行きます。創作ですからもちろんそんなやりとり
は実際には行われていません。あえて“気付かされる”過程
を描いてみました。
前半に登場する人物は、冬のホタルの主役と言ってもいい
「せいじゅうろう」シリーズに登場する、“菜緒(なお)”なんで
すよ。
ただ、作者は“菜緒”なのか、“僕”なのかは想像にお任せし
ますね。
T256_2

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[No.275-2]何が見えるの?

No.275-2

「コホン」

漫画に出てきそうな、ベタな咳だった。
改まって何かを言おうとしている。
でも、僕にはその必要はない。

「それ、それ」

菜緒(なお)より先に、彼女の胸を指差す。

「気付いた?」
「気付かないほうがおかしいだろ?」

2日前の俺と同じように、ポッケにせいじゅうろうを入れている。

「何が見えるんやろ?」
「・・・何が・・・?」

最初は意味が分からなかった。
聞けば胸ポケットから見える風景のことらしい。

「せいじゅうろうが見てる風景ってこと?」
「そうやで」

言うなれば巨人のポケットに居る人間。
確かに、どんな世界が見えるのだろうか・・・。

「せいじゅうろうに聞いてみたら?」
「せやな・・・なぁ何が見える?」

菜緒がせいじゅうろうに語りかける。
それにタイミングを合わせ俺が答える。

「空が青いですな」

胸が大きな菜緒のポッケ・・・。
せいじゅうろうは、窮屈そうに大空を見上げていた。
No275
(No.275完)

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[No.275-1]何が見えるの?

No.275-1   [No.07-1]せいじゅうろう

登場人物
shadow=牽引役(男性)virgo=相手(女性)
-----------------------------
「それ、ええやん!」

最初、何を誉められているのか分からなかった。
別にそれを意識していなかったからだ。

「えっ!なに?なに?」
「ポッケのせいじゅうろう!」

ケータイをズボンのポケットに入れようとした。
けど、小銭がじゃらついていた。
ケータイが傷付くのを恐れて、どこかないかと・・・。

「・・・で、胸ポケットに・・・」

だから、何かを狙ったわけでもない。
その時は、そこがベターだった。

「だからぁ~あ?」

声が思わず裏返ってしまった。
結論を言う前に、菜緒(なお)がゴソゴソし始めたからだ。
理由は・・・想像が付く。

「別にマネしなくても・・・」

男性の場合は、Yシャツを含め、胸ポケットは自然だ。
でも、女性の場合・・・そうはいかない。

「・・・ポッケないわ」
「服にもよるけど、女性用はあまりないんじゃない?」

菜緒が不服そうな顔をする。

「ポッケ付きの服を探す!」

菜緒と再会したのは、それから2日後だった。

(No.275-2へ続く)

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[No.274-2]気になる写真

No.274-2
appli02
昨日、撮った写真をパソコンに保存した。

「どれどれ・・・」

改めて、大きな画面で見るためだ。

「あっ・・・」

画面に映し出された写真に、思わず声を発してしまった。

(光量不足・・・それに)

確かに撮影場所は、多少薄暗かった。
でも、フラッシュはAUTOでも光らなかったほどだ。

「なんだよ・・・」

大きな画面で見ると、全体的に荒さが目立つ。
デジカメの小さな画面では、さほど気にはならなかったのに。
けど、それより、もっと気になることがあった。

(微妙な・・・表情・・・だよな)

那央(なお)の表情は少なくとも笑顔ではない。
でも、自分もそうだが満足行く表情なんてそれほどできない。
だからこそ、逆に大切な一枚が欲しくもなる。

『写真、撮り直さないか?』

那央(なお)にメールを送った。

『どうして?』
『光量不足で、ちょっと暗く写ってるんだ』

本心は隠した。

『ええよ!でも、また結婚式を想像したら緊張するやん』
No274
(No.274完)

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[No.274-1]気になる写真

No.274-1

登場人物
shadow=牽引役(男性)virgo=相手(女性)
-----------------------------
デジカメで写した、ある一枚の写真を見ている。
パソコンの画面で見て、初めてそれに気付いた。
撮った時は気付いていなかった。
appli02
「なぁ・・・写真撮らない?」
「写真?いっつも撮ってるやん」

デジカメが主流になってから、写真は気軽な存在になった。
つい意味も無く撮ってしまうことさえある。

「ごめん、主語が抜けてた」
「一緒に撮らない?」

よく考えなくても、那央(なお)ひとりの写真しか持っていない。
僕が写真嫌い・・・というのも理由のひとつだった。

「撮ったこと、無かった?」

那央とは友人とも恋人とも言いがたい、不思議な関係だ。
近すぎず、遠すぎず・・・の答えのつもりでいた。
一緒に写真を撮らないことが。

「だめか?」
「別に、かまへんよ」

ただ、関係が長くなるにつれ、多少気持ちに変化があった。
だから、その答えとして写真を選んだ。

「じゃ、ケータイも一緒に」
「・・・どうして?」
「同じストラップ、ついてるやん!」

確かに、お互い那央が好きなキャラクターをぶら下げている。

「まぁ・・・いいか」

携帯を手に、デジカメのシャッターが切られるのを待った。

(No.274-2へ続く)

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[No.273-2]傘の中

No.273-2

「それを期に、何となく距離ができてしまって」
「・・・そうなるわね」

今のように学生がケータイを持てる時代ではなかった。
だから、自然消滅なんて、いとも簡単だった。

「結局その時は、謝るでもなく、訂正するわけでもなくて」
「で・・・現在に至るってわけね?」
「それが、そうでもなくて」

実は、卒業してから彼と逢う機会があった。

「・・・というより、彼に手紙で謝ったんだ」

それから、何度か便りを重ねた。
それで逢う機会が生まれた。

「どんな話をしたの?気になるぅ~」

女同士なのに甘えた声で迫ってくる。

「改めて、照れ隠しだったことを口にしたわ」
「彼の反応は?」

彼は彼で照れ隠しに気付く余裕がなかったことを詫びた。
それは手紙にも書いてあった。
決して、彼が悪いわけじゃないのに・・・。

「・・・素敵な人ね」
「まぁね・・・」

友人の言葉通り、本当に素敵な男性になっていた。

「その後はどうなったの?」

正直、ヨリを戻すつもりはなかったし、それは彼も同じだった。

「えっ~、もったいない!」
「それより、自分のことはどうするのよ?」

話の本題はそこにあった。

「そうね・・・あの時のあなたと同じセリフ言ってみるよ」
「ただ、主語は変えるけどね」

No273
(No.273完)

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[No.273-1]傘の中

No.273-1

登場人物
virgo=牽引役(女性)virgo=相手(女性)
-----------------------------
私にとっては、軽い照れ隠しのつもりだった。

「照れ隠し?」
「うん・・・本当に深い意味はなかったんだけどね」

最近、彼氏とすれ違いが続く、友人の相談に乗っていた。
その流れで、高校の時の苦い経験を思い出した。

「場の空気が変わったから、つい・・・言っちゃって 」

ある雨の日、私たちはひとつの傘の中に居た。
ふいに会話が途切れ、雨音だけがやたら耳についた。

「・・・で、彼が、その・・・」
「キスを迫られたんでしょ!」
「まぁ・・・そんな感じ」

“未遂の未遂”・・・と言えば良いのだろうか?
実際に迫られたわけでもないし、それに似た行動もなかった。
直感的に、そんな感じがしただけだ。

「それで・・・」
「なんて言ったの?」
「“友達と居るほうが楽しい!”って」

何の脈略もなかった。
なのに、あのタイミングでなぜ、そんなことを言ったのか・・・。
その答えは今でも分からない。

「また・・・すごい一言を言ったものね」

本音でもなく、日頃から思っていたことでもない。
それなのに・・・。

「今で言う、テンパッてたんじゃない?」
「そうだと思う・・・」
「もちろん、彼もよ」

友人が言うには彼もそうだったと言う。

「彼に余裕があれば、笑い話で済んでたかもしれない」

私の照れ隠しに気付いてさえくれていたら・・・。
つい、自分に都合の良いように考えてしまう。

(No.273-2へ続く)

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[No.272-2]夏の微笑み

No.272-2
appli02
「観覧車は特に密室感があったな」

わざわざ苦い想い出が残る遊園地へ友人と出掛けた。
気乗りはしなかったものの、無料チケットに負けた。
今と同じように、昔、彼とこのゴンドラで外を眺めた。
結局、遊園地でのデートは終始、盛り上がることはなかった。

「到着前に、そんな感じだったもんね」
「お互い緊張もあったしね」

彼だけのせいじゃない。

「あら、やさしいのね?」

私だけでも、もっと感情を表した方が良かった。
そうすれば、笑い飛ばすことだってできたかもしれない。

「デート後、つきあいは自然消滅したわ」
「別れの言葉も無し?」

デート後、私は彼からの連絡を待った。
彼は、きっと私からの連絡を待っていたと思う。

「まぁ、幼い恋ということで・・・あっ、それより!」
「な、なに、急に変な顔するのよ!」

できる限りの変顔を作った。

「ほら・・・見てよ」

隣のゴンドラのカップルがキョトンした顔でこちらを見ている。

「あの時の私たちのようだったから」

それから、ゴンドラを降りた2人は楽しそうに人ごみに消えていった。

(No.272完)

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[No.272-1]夏の微笑み

No.272-1

登場人物
virgo=牽引役(女性)shadow=相手(男性)virgo=相手(女性)
------------------------------------------
(ねぇ・・・何か、しゃべってよ)

さっきから、ずっと無言が続いている。
理由は・・・分かっている。

「近くだと思うから、歩いて行こうよ」

30分前にそう言われた。
ただ、今は歩き始めた頃と状況が違う。

「おかしいなぁ・・・」

彼が小さな声でつぶやいた。
どちらかと言えば困っているというより、焦っている。
近くだと思っていた場所が、遠いどころか見つからない。

「無理しなくていいよ」

歩き疲れたことより、彼の気持ちの方が気になる。

「もうすぐなんだ、もうすぐだから」

無言の時も、そんな表情をしていた。
デートプランを立てた責任感もあるのだろう。
単純に男の意地だけなのかもしれないけど。

「あっ・・・あったぁ!」

彼の心中を考えていた時、歓喜の声で現実に引き戻された。

「ようやくたどり着きそうだよ!」

まだ、相当距離はあるものの、彼の言葉通りだ。
遠くからでも観覧車が見え始めた。

(No.272-2へ続く)

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[No.271-2]笑顔

No.271-2

「それにしても、着眼点がすごいわね」

そもそもどうしてこんな展開になったのか気になる。
笑顔を作らなければならない理由でもあるのだろうか。
そうであれば、当然・・・。

「近々、泣く予定でもあるわけ?」
「まぁ・・・ね、展開次第では」

その言葉だけでも、全体像は見えてくる。

「でも、泣きたい時には泣けば?」

多少、ドライな言い方をした。
私なら、きっとそうする・・・というより、そうなる。

「ありがとう、でも・・・」
「彼に負担を掛けたくない?」
「そんな感じ」

作り笑顔にならないことを祈るだけだった。
appli02
「どうだった?」

後日、その結果を聞いた。
極力、さりげなく・・・そしてストレートに。

「練習が無駄に終ったみたい」

それが全てを物語った。

「そんなことはないわよ」
「今度の合コン、セッティングするから」

そう、その時に練習の成果を披露すればいい。
No271
(No.271完)

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