カテゴリー「(010)小説No.226~250」の50件の記事

[No.250-2]寂しげな雪だるま

No.250-2

「その彼とは?」
「雪だるまと同じように、春になったら溶けちゃったみたい」

はっきり、“別れた”と言っても何も問題はない。
それなのに、何となく綺麗にまとめてしまった。

「そうなることを予感してたのかな」
「どうして?」
「その雪だるま・・・どこか寂しげに見えたの」

私の心境がそう見させたのかどうかは分からない。
その時は、そう感じた。

「あの雪だるまと同じ」

さっきみつけた雪だるまも、どこか寂しげに見える。
理由は昔も今も分からない。

「・・・私は分かるわよ」

そう言うと、その雪だるまの所に走り出した。

「ちょ・・・ちょっと!・・・何するの?」
「まぁ、見てて!」

数分後には、その雪だるまの隣にもう一体雪だるまが並んだ。

「これなら、どうよ!」
「あの時は雪が少なかったからよ」

本来、並ぶべき雪だるまがあったはずだ。
仕方ない・・・そう結論付けるとしよう。

(No.250完)

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[No.250-1]寂しげな雪だるま

No.250-1

登場人物
virgo=牽引役(女性)virgo=相手(女性)
-------------------------------
「どうしたの?ボケッとして・・・」
「・・・うん・・・ほら、あれ見て」

昨日から降り出した雪も朝にはすっかり止んでいた。
何年振りかのまとまった雪ともなると・・・。

「あっ、かわいぃ!」

辺りを見渡せば予想通り、いくつか雪だるまが立っている。
どれも子供たちが作ったのだろう。
思い思いの姿は、大人じゃそうはいかない。

「雪が降ると、どうしても作っちゃうよね!」
「・・・どうしたの、浮かない顔よ?」

友人のはしゃぎっぷりに、どう反応して良いか迷っていた。
さっき見つけた小さな雪だるま・・・。
昔、彼が作ってくれたのを思い出した。

「・・・そうなんだ」
「つらい思い出?」
「う、うん・・・そんなんじゃないけど」

当時付き合っていた彼が旅先の北海道からメールをくれた。
偶然にも初雪に遭遇したようだった。
でも、雪は気持ち程度しか振らなかったらしい。
写メで送られてきた雪だるまがそれを物語っていた。

「必死でかき集めたんじゃないかな」

決して純白・・・とは言いがたいものだった。
けど、その気持ちが嬉しかった。

(No.250-2へ続く)

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[No.249-2]汽笛

No.249-2

「ある場所?駅の近くなら、どこでも聞こえそうだけど」
「そうだけど・・・」

駅の近くではなくても、聞こえると言えば聞こえる。

「その時の姿勢というか・・・」
「姿勢?」

多分、あることを考えているだろう。
私がどんなアクロバティックな姿勢で汽笛を聞いているかを。

「それじゃないわよ」
「ん?違うの?」
「どうせ、とんでもないこと考えてたんでしょ!」

どうやら図星のようだった。

「姿勢って言うから・・・」
「まぁ・・・言い方も良くなかったけど」

とにかく、汽笛を聞いた。
ある場所、ある姿勢で・・・。

「話からすれば・・・寮・・・で?」
「そう、場所は合ってる」

会社の独身寮は駅のすぐそばにある。
そして、私は汽笛を聞いた。
布団に包まりながら・・・。

「・・・なんとなく分かる気がする・・・」

あの汽笛は、私にとって不安や寂しさの象徴だった。

「私はね・・・トイレだったんだ」

(No.249完)

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[No.249-1]汽笛

No.249-1

登場人物
virgo=牽引役(女性)virgo=相手(女性)
-------------------------------
3月になると思い出すことがある。

「汽笛・・・って、あの?」

つい、「どの?」と聞き返してしまいたい衝動に駆られる。

「多分、その汽笛」

但し、どの乗り物かは言っておく必要がある。

「・・・列車のね」

駅のホームで聞こえる独特の甲高い音。
ドラマや映画でも、よく効果音として使われている。
どちらかと言えば悲しい場面が多い。

別れのシーンを象徴するかのような音とも言える。

「貴子って、鉄ちゃんだった?」
「違うわよ!汽笛だけで随分、話を広げたわね」

今から10年前の3月・・・社会人生活をスタートさせた。
就職先が地元ではなかったため、同時に寮生活も始まった。
何もかも不安だらけの船出だった。

「船出?・・・さっき、列車って言ったよね?」
「それはことばのあや!」

そんな時、汽笛を聞いた。

「駅のホームで彼と別れた?」

さっきまでのボケぶりから、一変して鋭い質問を投げてきた。

「でも・・・違う、そんな色気のある話じゃないの」

確かに汽笛を聞いた・・・ある場所で。

(No.249-2へ続く)

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[No.248-2]未来日記

No.248-2

「未来日記は嫌い?」
「ううん、そうじゃなくてユニークだと思ってる」

一般的には、現実に起きたことの方が記事にしやすい。
それが“起こる前”だと、想像力も必要になる。
それにウソの記事になってしまうこともあるだろう。

「でも、すごいでしょ?」
「なにが?」
「的中率!」

予測可能とは言え、書いたことがそのまま現実になっている。
並みの預言者も真っ青の的中率だ。

「100%・・・と言っても過言じゃないだろうな」
「でしょ!」
「今日のデートも・・・ほら未来日記通りじゃない!」

麻衣(まい)の声のト-ンが一段上がる。
待ち合わせ場所、ランチの店、そして頼んだメニュー・・・・。
全て未来日記に書かれていたことだ。
麻衣だけでなく、僕の言動も・・・。

「映画、何見る?」
「そうだなぁ・・・ほら・・・話題のアクション映画なんてどう?」
「それも書いてあった通りぃ!」

それからも日記通りの展開が続いた。
日記によれば、そろそろデートが終了する。
そして、次の言葉で締めくくられていた。

    『彼がプロポーズしてくれる』

「ねぇ、この場所・・・」
「あぁ、日記上、プロポーズされる場所だろ?」

そう・・・僕は未来日記の彼、そのものだ。
だから、その通りに行動すれば100%的中するのは当たり前だ。

「結婚して欲しい」

僕は麻衣にプロポーズした・・・指輪を渡すと共に。
その時、初めて未来日記がハズれた。
No248
(No.248完)

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[No.248-1]未来日記

No.248-1

登場人物
shadow=牽引役(男性)virgo=相手(女性)
-------------------------------

タイムカプセルに託すほど未来の日記ではない。
数時間・・・数日後には現実がやってくる。

「最近、更新多くない?」
「だって・・・書きたいことがいっぱいあるの」

麻衣(まい)のブログが頻繁に更新されている。
それ自体は大歓迎だ。
ただ、たまにこんなことが起こる。

「コメント書いてたら、更新メールが来た」

ブログが更新されると、それを知らせるメールが届く。

だいたい僕は夜中に麻衣のブログにコメントを付ける。
そのせいか、その最中に午前0時を過ぎることも多い。

「迷惑?」
「迷惑になるなら届かないようにすればいいだろ?」

迷惑どころか、更新を心待ちにしている。

「昨日に夜、更新したろ?」
「そうだよ」
「その数時間後・・・今日になったら、メールが来た」
「あー!やっちゃったぁ~」

投稿する時間指定を間違ったらしい。
昼の1時と夜中の1時とを・・・。

「ごめん・・・」
「あっ!そうな意味じゃなくて」

更新も間違いも全然OKだ。

「ほら、内容が・・・未来日記って書いてあっただろ?」

時々、内容に“未来日記”という言葉が登場する。
予定していること、そうなるであろうことが書かれている。
記事が投稿された時点では、まだ未遂なのだ。
だから、未来日記だと・・・。

でも、この未来日記にはある秘密がある。

(No.248-2へ続く)

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[No.247-2]BGM

No.247-2

「ふ~ん・・・ズバリ!失恋した・・・違う?」
「・・・違う」

やせ我慢でも何でもない。
今の私は、失恋のしようがないからだ。

「ただ、その曲を聴きたいと思っただけ」

なぜ、その曲を選んだのかは分からない。
心境なんてそんなものだ。

「だったら、やっぱり服と同じだよ」

さっき広がらなかった話にもう一度戻った。

「じゃあ、さぁ・・・今日、どうしてこの服を選んだの?」
「そ、それは・・・」

恋人も意中の男性も今は居ない。
だから、異性の目を気にすることもないが・・・。

「特に理由はないけど」

さすがに前の日と同じだと、あらぬウワサが広まる。

「あなたの場合は、広がったほうがいいけどね」
「言わないの!」

服の話と曲の話が入り乱れて混乱し始めた。

「私は意中の男性の目を気にしてるわよ」
「そう?じゃ、朋子(ともこ)にはこの曲を贈るわ」

もう一度、朋子の耳にヘッドホンを押し付ける。

「これ、さっきの曲じゃないの!」
No247

(No.247完)

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[No.247-1]BGM

No.247-1

登場人物
virgo=牽引役(女性)virgo=相手(女性)
-------------------------------
自分の好きな曲のみセレクトしている。
そのせいか、バラエティに富んだ選曲とは言えない。
でも・・・。

「不思議なんだよね」
「なにがさ?」

好きな曲を集めても、日によって聴きたい曲が変わる。

「毎日、同じ服で通勤しないのと同じ」

朋子(ともこ)が、もっともらしいことをいった。
聞いた瞬間だけ・・・だが。

「同じ曲ばかり聞いてるから“飽きた”とかじゃなくて」

そう・・・聞き飽きたのではない。
自分のことなのに理由が上手く説明できない。

「日によって心境が違うでしょ?」

ようやく、マシな答えを聞いた。
確かに毎日何かしら起こる。
小さなことから大きなことまで・・・。

「その時々で自分に必要な曲があるんじゃない?」
「・・・言うなれば、BGMね!」

ドラマではシーンによって様々な曲が流れる。
それだけで、何でもないシーンが“らしく”見える。

「・・・で、今朝の曲は?」

朋子の耳にヘッドホンを押し付けた。

(No.247-2へ続く)

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[No.246-2]大人な私

No.246-2

お世辞抜きに、同世代と比べて気遣いもできている。
それに、話す内容も的を得ている。
ただ、それが大人な対応であるかは別だ。

「無理してないか?」

それには答えず、僕をじっと見つめる。

「もう、無理するなよ」

彼女が見せる“大人”は、僕には強がりとしか見えない。
でも、見栄を張るためではない。
言うなれば、生きるために必要だった。

「無理なんかしてへん!」

そもそも周囲が彼女を大人にした。
けど、それと引き換えに多くのものを失った。
あるところは大人でも、あるところは子供のままだ。

「うちは、大人や!」
「みんなが子供でうちは大人や!」

そう言うと、大声で泣き出した。
・・・が、すぐに何かを思い出したように、ピタリと止まった。

「・・・うちも子供のときがあるわ」

ようやく冷静になってくれたらしい。

「だろ?今だって子供のように泣きじゃくってたもんな」
「まぁ、あんたの前だけやけどな」

それからは僕の前だけは子供に戻った。

(No.246完)

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[No.246-1]大人な私

No.246-1

登場人物
shadow=牽引役(男性)virgo=相手(女性)
-------------------------------
彼女は多分、気づいていない。
“自分の方”が、そうだと言うことを・・・。

「普通、そうやろ?」

奈海(なみ)が怪訝そうな顔をする。

「・・・そうだな」

同意の返事ではなく、否定できなかったのが本音だ。

「“ありがとう”とか言うやん!」

奈海がいうことも分からなくもない。
感謝されることを目的としてなくても、礼儀は必要だ。
一言、ありがとうで済む。

「言いそびれたとか、照れもあるんじゃない?」
「せやかて、常識やろ?」

訳があり、奈海は高校生の時にひとり暮らしを始めた。

その経験が彼女を大人にした。
礼儀とかに拘る理由は、そんな所にあるのだろう。

ただ、それがクラスで孤立する原因のひとつでもあった。

「とにかく、そんな人、嫌いやねん!」
「まぁ、そんな人も居るって・・・あまり気にするなよ」

社会人とは言え、二十歳そこそこには難しいのも現実だ。
まだまだ学生気分が抜けきっていないだろうし・・・。

「でも、もう子供とちがうやろ?」

ある意味、一番返事に困る問い掛けだった。

(No.246-2へ続く)

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